【短文】電車でお手製の前方後円墳をいただいた話

どもども、GW明けても忙しい慈岳です。本日は通院日で、ナマグサ慈岳はめんどくさくてそこのハンガーラックに掛けていたいつもの作務衣✕白足袋で都心へ出ました。

行きは怖くて帰りはよいよい。往路の時間帯は直通でも途中からでも特急がないので、バス含めたら3回乗り換えのタイムアタック。どのタイミングでも接続時間が短すぎてトイレにも行けないので、朝は飲食なしで出発です。

医療過疎な田舎における、発達障害者&双極性障害者の移動については以下ご参考のほど。

前半戦は今回も無事に完了。今次遠征も朝からの運動会となりますが、地の利の血糊(メンタル的に)で『いつもの座席』を獲得。

そしてのらくらと半分眠りつつ乗り換えたのち、目的地から乗り換え駅を見て3分の2ほどのところに位置する某駅にて、明らかに背骨が曲がったおばあちゃんがご乗車されました。

今日は体調が良かったため、残り40分を立っても耐えられるとみて、どこで降りるかは分からないけどおばあちゃんと座席を交代します。

結果的に、降りる駅はおばあちゃんも私もターミナルでした。

主治医から『せっかち』を毎回指摘される私は、1つ前の駅から扉ベタ付けで到着を待っていましたが、そばに件のおばあちゃんが寄ってきます。

おばあちゃん「助かりました。これ、受け取ってください」

おばあちゃんのリュックに付いていたお手製アクセサリー

おばあちゃん「年寄りの拙い手縫いなのですが……」
慈岳「これはありがとうございます。前方後円墳でしょうか?」
おばあちゃん「はい。よくご存知ですね」
慈岳「フェルトとビーズでお作りとは……有り難く頂戴致します」

このアクセサリー、実は元々おばあちゃんのリュックに付いていたものです。使い込まれた愛用のリュックに飾っていたほどですから、恐らく日頃からハンドメイドをされている中でも、かなり愛着を持たれていた品だと推察します。

しかしそれを、ただ座席を交代しただけの名も知らぬ初対面の私に、何の惜しみもなく譲ってくださった……。

コロナもどこへやら、車内はそれなりに人がいてわちゃついており、会話はそれっきりになってしまいました。それぞれの乗客が降車準備をする中で、おばあちゃんのそばにおじいちゃんが寄り添うのが視界の端に映ります。どうやらおばあちゃんの旦那さんのようでした。

旦那さんと一緒なの今気付いたですゴメンナサイ(遅すぎ案件

その後診察+もろもろ済ませ、『帰りはよいよい』の特急で一息付いた私は、改めてゆっくりと、おばあちゃんが笑顔で恵んでくれたお手製アクセサリーを眺めます。

どんなにプレミアが付いた高級ブランドの限定品でも、電車内で刹那的に発生した人間的なやり取りとともに手元に来てくれたこのフェルト作品に敵いはしないでしょう。あのおばあちゃんが、チクチクと針を運ぶ姿が目に浮かびます。

私などまだまだ自己中でワガママなヒヨッコ。
あのおばあちゃんのようにならねばな、と。

そう感じた出来事でした。

おしまい


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