40を過ぎて『大人の発達障害』~ASD特性のメリット~

ASDは生きにくいとよく言われますが、短所は長所の裏返し。使いこなせばむしろ便利であるように私は感じます。本稿ではカウンセラーとのお話から、仕事も含む日常生活でのちょっとした『便利』をご紹介致します。

ASDにも色々なタイプがある(らしい)ため、以下ASD=『慈岳の場合』の話となりますが、息抜きがてらゆるりとお付き合いのほど。


●普通の人だと気遣うこともフツーに話す

良し悪しはありますが、話す内容と話し方を慎重に選択すれば、さほど悩むことはありません。私の場合は、例えば自分がASDであることを必要に応じてカムアウトし、苦手と得意を伝える。また例えば仕事では、人の生老病死などセンシティブな話をするなどです。

目上の人にもどんどんアタックします。値上げしましょうとかここ削りませんかとか、イイがダメかの判断は相手の仕事だと割り切って話しています。相手はもちろん選びますが、きっぱりハッキリ答えてくれる信頼できる目上には、私も遠慮なく意見や質問を持ち込み、あるいは教えを乞うています。

●職場の片隅でマシンと化す

職場では毛筆の仕事をしているか、PC作業に没頭しているかのどちらかがメインです。いずれも一定の裁量権がある一人完結型のデスクワークで、報連相は住職と寺務長の2人だけ。この2人には私がASDだということを話してありますが、仕事が合っているので待遇の変更はありませんでした。

『群れ』に属していないと不安な方や、受け身で指示待ちの方には理解不能かと存じますが、私は適当な責任を与えられて一人で放っておいてもらうのが快適なため、このポジションがちょうどよいのです。

●やりたいこと、好きなものには一直線

私は何度か転職しており、そのすべてが『自分がやりたいこと』と『自分が入りたい職場』の2条件を満たしています。ASDは好きなことや自分が定めた目標に対してマニアックに取り組むので、必然的にその道のヲタクになり、成長が早くなりやすいですね。

現在の仕事は余暇に行う趣味でもありますので、余暇に遊んだことが仕事に活きています。嫌々ながらにガリガリとお勉強しなくても、ヒマつぶしをするだけでスキルアップできるのですから、これほど美味い話はありません。

●コミュ障で陰キャの得意技

同じASDでも『人とのコミュニケーション』に『こだわり』を持つ人は、ともすればコミュお化けになるかも知れません。しかし私はその方面については非常にめんどくさがりで、一日中誰とも話さなくても何とも思わないばかりか、むしろストレスが少なくなります。

ここで活きるのがインドアで一人完結できる趣味。現職でもある『書道』はストイックな自己鍛練が必要で、誰から何を言われても結局は自分がのめり込まねば上手くならないもの。まさにASD向けです。

●鷹揚に構えていることで得られるもの

当事者にとって、人目を気にせず必要な仕事をこなすことは普通の行為です。目立ちたいとか、逆に机の影に引っ込んでいたいという気持ちはなく、やるべきことを淡々とこなすだけなのですが、普通の人にとってはその態度がリーダーに向くと見なされます。

つまり主観的には『普通』にしているだけで、冷静沈着と評価されて『群れ』を率いる何らかの立場が与えられる機会が多いわけですね。リーダー的なポジションに就く人間にそこそこASDが紛れているという説は、そう大きくはハズしていないかも知れません。

●対面での将棋で精神攻撃ができる

クラスや職場などでのお遊びレベルなら、座って将棋に集中するだけで勝てます。将棋に『過集中』したASDは対戦者のキモチに注意を払わないので、対戦者は不安になって変な深読みをしたり、マズい手を指したりしてしまいがち。

対面での将棋は指すときの態度も勝負に影響を与えますから、人のキモチをスルーするASDの趣味として向いているかも知れません。将棋の他には麻雀やポーカーなども面白いですね。

●ASDは目をガン見するか全く見ないかの両極端

目を合わせて話さないと不安になる方に朗報。ASDは『人の話を聞くこと』に『過集中』すれば、イヤというほど目を見て話します。前提としてASDの興味を引かねばなりませんが、ひとたび引けば対話者に集中し、目をガン見します。

一方で、興味が湧かずどうでもよいときや、他の作業に集中しているときは一顧だにしません。生返事も多いです。

ただし『耳』では聞いて頭にしっかり格納しますので、聞いていなさそうで実は取りこぼしなく聞いているということは多々あります。なのでASDがいる場所で、その人を空気扱いして陰口言っていると、ICレコーダーのごとく正確に聞き取られて一方的に情報を握られてしまいます。陰口はASDのいないところでどうぞ。

●おわりに

なかなかセコい内容であったかと思います。しかしそれが、ASDたる慈岳の快適な生き方であり、ロボット的な情報処理にリソースを割いていると思っていただいて良いかも知れません。

ASD当事者で平均以上のスコアが出ている方は得意を伸ばし、苦手は人並みレベルで妥協して大丈夫。長所にまずは集中し、余裕があれば短所に対応すれば良いのではないかと思います。

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