スピーチ難民に贈る、簡単スピーチのコツ

学生さんでも社会人でも、人間が社会を構築する生き物である以上、一生に一度くらいは『人前に出て何かしら話す』機会が与えられます。年長者となればなるほどその機会が増え、学生時代はモブで社会に出てから空気でも、少人数グループのリーダーくらいなら務めることがあるでしょう。

そこで表題。スピーチ難民の皆さまに筆者の独断と偏見で『スピーチのコツ』をご紹介致します。高度な技法は載せていませんので、1つなりと取り入れてみてください。

ではでは、まいりましょう!


●原稿丸読みはせず聴衆を見る

スピーチ難民にありがちなのが、事前に書いた原稿をそのまま丸読みして、聴衆に全く配慮がなされないこと。その原稿、誰のために書きましたか? 貴重な時間を割いて書いたのは、演台に話し掛けるためでしょうか?

それでは聴き手に全く届きません。なぜならスピーチは、聴衆とのコミュニケーションであるからです。聴衆は話し手が壇上に上がると、大人のマナーとして聴く態勢を取ってくれます。話し手の話題に添い、それぞれに意見や感想を持たれ、人によっては後でフィードバックもしてくれます。

そこへ投げられたのが、俯いて原稿しか見ず、聴き手に一切視線を投げ掛けない、丸読みの棒読みであったなら……ツマラナイですよね。わざわざ聴きに出掛けた甲斐がありません。原稿のコピーをもらって早々に解散したほうがまだマシです。

俯きの丸読みスピーチはただの独り言ですから、原稿ではなくしっかり聴衆を見ましょう。原稿は参考程度とし、話すことを度忘れしたときにちょっと見る程度で十分です。

●聴衆に身体を動かしてもらう

スピーチ上手は聴衆に『運動』をさせます。代表的なものは「○○な方は挙手ください。……はい、ありがとうございます。お下げください」。人間は身体を動かすと目が覚めますし、一対多数の『対話』において、いちばん簡単なコミュニケーションの取り方と言えるでしょう。

また、笑わせることも『運動』のひとつに数えられます。笑わせるネタは何でも構いませんが、聴衆の属性によって半分くらいの人が分かるものだと良いでしょう。近くの席の人が笑えばつられて笑う人も出るので、全員が笑わなくても大丈夫ですよ。

退屈に堪える訓練を受けていない普通の人間の集中力は諸説ありますが、15分をワンセットとして周期的に上下します。このワンセットの中に『小波』が5分ワンセットで3回起こるため、スピーチ上手は5分に1回『運動』をさせることで休憩を取らせています。

●フランクさを上手く挟み込む

さて、ここまで真面目クンな文体で書いておりますが、ぶっちゃけオモシロイっすか? 堅苦しくてだんだんダルくなりません? 長文乙って思いません?

そうだという方、そうでもない方、どちらもおられるはずです。noteユーザーは比較的慣れているでしょうが、それは文章だから。同じ話を同じ話しぶりで無作為に集めた不特定多数の聴衆の前で行えば、過半数はすでに寝ていると思います。

そこで、急に方言を入れるとか、タメ口を混ぜるとか、小学生相手ならうんこ系ワードを入れるとか、要はフランクさを挟み込んで「あおっ急にどうした」と意識を向けさせるわけですね。

世の中にはフォーマルな雰囲気が嫌いな人も多数おられ、国会中継を退屈に感じる方などがそれにあたります。そうした人の耳を拝借するには、真面目クンでいすぎてもダメなのです。

●見た目をととのえる

見た目と言われると顔立ちや体型を意識される方は多いでしょう。それも勿論大事ではありますが、見た目には服装や起居振舞、表情も関わっています。スピーチは聴衆の前に出るために歩くところから始まっているので、みすぼらしい話し手が自信なさそうに現れると、聴衆は聴く気を失くしてしまいます。

例えばお坊さんの話しぶりはゆっくり淡々としています。信者でもなければ眠くなりそうなものですが、黒衣やお袈裟などを着けた『ありがたそうな』格好で堂々と姿勢良く話すため、聴衆もあまりダラけた気持ちになりません。お寺という場所柄が与えるも大きいですけれどね。

話術をまだ会得していない段階でも、簡単にできるのが見た目をととのえることです。髪にはきちんと櫛を入れ、自分の体型に合ったスーツ、糊の利いたワイシャツを着用し、背筋を伸ばして颯爽と登場すればツカミはばっちりですよ。

【おわりに】

スピーチと聞くと「上手に話さなければならない」「間違えてはならない」と考える方がおられますが、そのようなことはありません。完璧なスピーチとは、自分の伝えたいことが聴衆に伝わるスピーチを指しますので、教科書通りの文法通りでなくても構わないのです。

ですので怖がらずに人前に立ってみて、まずは話してみましょう。聴衆を巻き込んでも全然問題ありません。もし噛んでも「車掌しゃんが……失礼!車掌さんが」と仕切り直せばノープロブレム。

究極的には、人前に出ることを楽しみながら話せば大丈夫です。もう少し感情論的に言えば、集まってくれた聴衆全員に『感謝のキモチ』を持つと捗ります。キモチは自然に態度に表れますから、聴衆も楽しんでくれますよ。

それでは、よきスピーチライフを!

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