ウクライナ、2月にモスクワ攻撃計画-万が一なされていたら、今頃私たちはどうなっていたか?-

  「今こそ停戦を」の記者会見第二弾です。
伊勢崎賢治さんはTwitterを使っています: 「【劣化ウラン弾供与停止】と【即時停戦】がなぜ同時に要求されなければならないのか。羽場久美子教授が解説しています。 https://t.co/IWo2LgqKjh」 / Twitter
 「劣化ウラン弾供与停止と即時停戦がなぜ同時に要求される必要があるのか」も羽場先生(青山学院大学名誉教授)が解説なさっています。
 劣化ウラン弾がどこで使われるか?といえば、「ウクライナ領土内」です。使われた場合人体・土地への影響は膨大です。「たかが領土」発言には反発する意見も数多くありましたが、それに反発するなら劣化ウラン弾供与がなされ使われることはどう考えるのでしょうか?同時に「劣化ウラン弾供与停止と即時停戦」は同時に要求されるべき、とも改めて思いました。
 「今こそ停戦を」への賛同署名、お願いすると同時に周りにも広げていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。下記サイトから署名は可能です。重ねてご協力の程お願い申しあげます。
キャンペーン · #今こそ停戦を  賛同署名をお願いします · Change.org

 25日今朝から「この2月にウクライナはモスクワを攻撃する計画をしていた」との報道がなされています。
2月に「モスクワ攻撃」計画 米の自制要請で延期 ウクライナ(時事通信) - Yahoo!ニュース(4/25)
ウクライナ、2月にモスクワ攻撃計画か 米要請で中止、機密文書 - 産経ニュース (sankei.com)(4/25)
ウクライナ モスクワ大規模攻撃計画 米軍の機密文書で判明|FNNプライムオンライン(4/25)
「ワシントン・ポストは24日、ロシアのウクライナ侵攻から1年にあたる2023年2月24日に合わせ、ウクライナ国防省情報総局が、モスクワへの大規模攻撃を計画していたと報じた。
 アメリカ軍から流出した機密文書から、明らかになったとしている。 
 アメリカ政府は、「プーチン大統領が核兵器の使用に踏み切る可能性がある」として、自制を求め、攻撃直前の22日に計画は延期され、その判断のくわしい経緯は不明としている。
 アメリカは2月13日に、国民に対してロシアからの退避を勧告していて、ウクライナの攻撃計画との関係も指摘されている。」(FNNの記事より直接引用)
  2/24にモスクワ攻撃を計画していて、「計画の延期」がなされたのは直前の22日、2/13にはアメリカ政府はアメリカ国民のロシアからの退避を勧告しており、「計画の延期」がなされず実行される可能性がかなり高かったのではないか、とも思われます。
 万が一これが実行されてしまったらそのあとはどう展開していったか?
「ロシアの核使用→NATOなどの参戦により世界大戦→核戦争」となっていった恐れも否定できません。なおNATOなどの参戦となったら「日本はNATOには入っていませんから関係ありません」とはいかず、当然日本もそれへの参加もしたことでしょう。その場合、今頃私たちはどうなっていたのでしょうか?
 「ある朝起きたら世界大戦・核戦争になっていた」も杞憂とはいえない、「ぞっとする」話です。
 ロシア・ウクライナ戦争を続けたら、世界大戦・核戦争の恐れがある、というと、「そんなことはほとんどありえない」という反論もなされます。しかし私も下記の野口先生のツイートの中で紹介されているミアシャイマー教授のように考えます。
野口和彦(Kazuhiko Noguchi)さんはTwitterを使っています: 「ウクライナ戦争でロシアが核を使用するリスクについて、ミアシャイマー氏は、薬室が100あるレボルバー銃が自分に向けられ、そこに5発(あるいは1発)の弾をこめられて引き金を引かれることを考えれば、よく分かるはずだと語っている。核戦争のリスクは甘く見るべきではない。 https://t.co/JUY6j4s9Oz」 / Twitter
 ミアシャイマー教授が出されている例では、自分に向けて引き金を引かれても、95%ないし99%は安全です。だからといって「自分に向けて引き金を引いていい」となど言えるでしょうか。それはリスクを考えるとき「起こる確率」だけでなく、「起こったときの被害の重大さ」をも当然考慮に入れるからです。
 世界大戦・核戦争など生じたらその被害は甚大、想像もつかないほどです。単なる「起こる確率」だけでは論じられません。さらに「モスクワ攻撃」がなされていたら、その「起こる確率」自体も高まっていたでしょう。それが2月時点で私たちが全く知らないところで生じていたわけです。
 なおこれらの報道で気になったのは「計画の延期」と書かれている報道もある点です。ということはこうした計画は、完全になくなったのではなく、今後も実行に移される恐れある、ということではないでしょうか。もちろん計画は秘密裏にすすめられるでしょうから、突然「モスクワ攻撃→ロシアの核使用→NATOの参戦→核戦争」とあっという間になってしまう、そして「その後は・・・」、という危険は戦争が継続する限り常にあることになります。
 「世界大戦・核戦争」は「起こる確率」ではなく「起こった場合の被害の甚大さ」で考えるべき、そして「起こる確率」も戦争継続で高まっている、ということは深刻に考えるべきでしょう。
 ロシア政権による侵略は不当で全く許容される余地はない、その点は強調します。しかし「世界大戦・核戦争」は絶対避けなければなりません。このままウクライナに軍事支援をして抗戦を支援する、でいいのか、その先の「世界大戦・核戦争の危険」をも考えるべきではないか、と思います。
野口和彦(Kazuhiko Noguchi)さんはTwitterを使っています: 「アブラムス氏「西側諸国が取るべき行動で、少しでも擁護できるものは1つしかない。それは ウクライナに勝利に必要なものを与え、今すぐそれを実行することだ」←エスカレーション・リスクやトレード・オフなどの制約を考慮しない「学者」の政治スローガンは虚しいだけだ。https://t.co/1WfFfyvnos」 / Twitter
 アブラムス氏の主張への野口先生の「エスカレーション・リスクやトレード・オフなどの制約を考慮しない「学者」の政治スローガンは虚しいだけだ。」というご批判には全く同感です。ただアブラハム氏のような考え方は、この間決して少なくないのも事実です。しかし私は「ウクライナのモスクワ攻撃計画」において使用される予定の武器は何だったのか、「ウクライナの勝利のためとして、ゼレンスキー政権に供与された武器も含まれていなかったか」、同時に「今後供与される武器が将来のこうした計画に使われなないといえるのか」、という点が大変気になっています。軍事支援容認はこうした危険も考慮してのものなのでしょうか?
 「ウクライナの戦いの継続を支持し軍事支援を行う」がもたらすおそれのある数々の深刻な危険を考えなくていいのか、そのことを突き付ける事柄と思います。
 なお繰り返しますが報道によっては「計画の延期」と書かれており、こうした計画が完全になくなったともいえない、今も進められているかもしれない、ということは重ねて強調しておきます。

白井邦彦
青山学院大学教授

 
 
 
 



 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?