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真っ黒なKeyballをつくりたい② -着色・組み立て-


これまで

ロープロファイルで真っ黒なKeyball44を作るため、パーツの選定と着色方法の調査・準備をした

今回は実際に各パーツを着色し、組み立てる

PCBトッププレートの塗装

トッププレートはマットブラックでラッカー塗装をする

手順

 ① プレートをアルコールシートで拭き、脱脂&汚れを除去する
 ② プレートを乾拭きし水分を取る
 ③ スプレー缶をぬるま湯につけ温める
 ③ ダンボールにプレートを置き、屋外でスプレーを吹く
 ④ ムラのないよう乾燥と重ね吹きを繰り返す
 ⑤ 乾燥が完了するまで数時間放置する

塗装直前にスプレー缶を40℃程度のお湯につけて温めると、塗料の粒子が細かくなり塗装のムラを抑えられる(らしい)

仕上がり

塗装をしたPCBプレートの仕上がりはこんな感じ
ツヤ消しなのも相まって、未塗装と比較すると引き締まった印象になった気がする

上:今回塗装したプレート
下:未塗装のプレート(Keyball39のもの)

塗装中に缶の中身がなくなり、塗料が泡のように散ってしまって少しポツポツと跡がついてしまったが、キースイッチを装着すればほとんど見えなくなるので良しとすることにした

PCBミドルプレートの側面塗装

未塗装の問題点

今回、各種チップの実装がされているミドルプレートに塗装はしない
塗装自体が難しいということもあるが、トッププレートが上に重なることで表面が見えなくなるので無理に塗装する必要がないと判断したためである

しかし、プレートの側面は見えてしまうので何も手を加えていないとPCBそのものの色が目立ってしまう

未加工のPCB側面

真っ黒化のためにはこの側面もしっかり黒くしてあげなくてはならない
PCB側面の着色は油性ペンが使われることが多いようなので、それに倣って黒の油性ペンで着色することにした

仕上がり

側面を着色するとこんな感じになった
他のパーツと組み合わせても馴染むようになったのではないだろうか

キーキャップ・トラックボールケースの染色

キーキャップとトラックボールケースは「プラ染め太郎」を用いて染色する
ついでに、キースイッチの外装も塗装できるかテストする

手順

 ① 各パーツを中性洗剤で洗い、水でよくすすぐ
 ② 染料をビーカーへ移し20倍希釈したものを1500ml作る
 ③ フライパンへ希釈した染料を移し80℃まで温める
 ④ 洗ったパーツをザルに移しフライパンに入れる
 ⑤ 常に軽く撹拌しつつ、パーツの染まり具合を確認する
 ⑥ 好みの色に染まったら引き上げ、ぬるま湯に中性洗剤を入れよく洗う
 ⑦ しっかり乾かす

素材によっては低温加熱でも変形することがあるので、定期的に温度計で染料の温度を確認するようにした

今回染色する素材の特性は以下のような感じ
 キーキャップ
   素材:PBT
   変形温度:240℃程度から
 トラックボールキャップ
   素材:ABS
   変形温度:70℃程度から

トラックボールキャップは染色中に変形の可能性があるので慎重に温度管理をする

作業風景

染色前の洗ったパーツたち
染色中の様子

仕上がり

トラックボールケースは1、2分程度でしっかり染色されたので、すぐ引き上げた

キーキャップは80℃程度では染色がイマイチ進まず、黒豆の煮付けみたいな赤みがかった黒色からあまり変わらなかった
そこで、90℃程度まで温度を上げたところ染色が一気に進み、しっかりと黒く染まってくれた
計15分くらい染料に入れていたのではないだろうか

染色して洗浄後に乾燥している様子

キーの印字は、角度を変えればうっすら見えるかもという程度まで見えなくなってしまった
今後印字が必要と感じたら昇華印刷に挑戦してみようと思う

キースイッチのボトムハウジングはしっかりと黒く染まってくれたが、トップハウジングは若干くすんだ黄色になったのみだった
本体に組み込むとボトムハウジングはほとんど見えなくなるので、今回の染色はあまり旨味がないと感じた

左:染色したキースイッチ
右:未染色のキースイッチ

分解の際に中のリーフが変形するリスクもあるため、今回キースイッチの真っ黒化は断念することにした

アクリルプレートの染色

アクリルプレートもキーキャップ同様に「プラ染め太郎」で染色する

手順

手順は全く同じなので省略

仕上がり

染色前のアクリルプレート
染色後のアクリルプレート

しっかりと黒く染色できた
写真ではわかりにくいが、完全に真っ黒という訳ではなく、向こうが透けて見える状態で黒く染色できている
OLEDのカバーとしても問題なく機能しそうで安心した

組み立て

全パーツの準備が整ったので組み立ていく

PCBトッププレートやアクリルパーツといった面積の大きいパーツが黒くなったおかげで統一感が増してカッコよくなってきた
そしてやはり、トラックボールケースが黒くなったことで印象が変わったようにも感じる

パーツは染色時の変形もなく、トラックボールの固定も回転も問題なかった

全てのパーツを組み立てるとこんな感じ

結構カッコよく仕上がったんじゃないか?

OLEDの表示もきちんと透過され、オリジナルよりもマイルドな明るさになっている
この透け具合は正直かなり気に入った

手元のKeyball39と比較すると、違いがもう少しわかりやすいかも
オリジナルの眩しさが少し抑えられたのと、OLEDの境界が少し見えにくくになったことでアイコンが印象的に見えるようになったと思う

左:未塗装のOLEDカバー(Keyball39)
右:今回塗装したOLEDカバー

ただ、アクリルプレートがPCBミドルプレートよりも一回りサイズが小さいようで、ほんの少し表面の白いところが見えてしまうのが気になるポイント
側面の黒塗装がうまく他パーツと馴染んでいるだけに少し残念

側面同様に油性ペンで黒く塗ることも考えたが、綺麗に濡れるか怪しい部分があるので一旦保留とした

ロープロファイル化も試して正解だったと思う
打鍵を比較するとやはりストロークが楽になったと感じ、長時間タイピングしても疲労が少なくなったように感じる

左:一般的な高さのキースッチ (Keyball39)
右:ロープロファイルキースイッチ

打鍵音は思ったより静音だが少しチープな感じがする
個人的にはコツコツといった感じの打鍵音が好みなのだが、このスイッチはカシャカシャと聞こえるイメージ

今後静音化のカスタマイズにも挑戦して好みの音に近づけてみたい

まとめ

自分専用カスタマイズのKeyballが欲しいというところから
 ・真っ黒化
 ・ロープロファイル化
の2つに挑戦した

パーツの選定や染色の方法などいろんな知見を得ることができた

結果、かなり満足のいく出来になった
まだ細々と試してみたいカスタマイズが残っているので、少しずつ挑戦して理想のキーボードへ近づけていきたい

おわり

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