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ラブリースマイル

勇輝  『好きな女性のタイプですか…


いつも聞かれるから困るんですけど(^_^;)




さりげなく気遣いが出来る人、笑顔が似合う人は欠かせないですね(^_^)



あ、一番…重要なのは、




俺を


俳優


'前島勇輝’



ではなく



1人の男




‘まえしまゆうき’



として





接してくれる人ですケドね(^∇^)』






テレビをつけたら、彼が話してた。







無邪気な笑顔に心を掴まれ、




私は瞳を奪われた。






なんて、落ち着く声なんだろう…。






当たり前の日常の中に



まぶしいぐらいの光がさしたように思えた。





祥吾 『俺以外の男は見ないってルールだろ?』






心愛(ここあ) 『祥吾…』





祥吾 『心愛はすぐに浮気するね』






痛いぐらいに抱きしめられた身体。






たまに、祥吾が怖くなる。






気持ちが真っ直ぐで重みがあって



うかつに本音を言えない。





‘良い彼女は疲れた’







口が避けても言えない。







祥吾 『心愛…?




何考えてるの、俺を見て?』





心愛 『…ゴメン、仕事の事気になって(^_^;)』






祥吾 『本当に仕事の事???






さっきのテレビの男じゃないの??』




心愛 『本当に仕事の事。




今は、芸能人とか興味ないし…』





言葉を濁すように話す。




祥吾 『じゃ、証拠は?』




私は、祥吾にキスをした。





私の行動に嬉しそう。



祥吾は、いつものようにマーキングをつけた。




赤黒くマーキングされた首すじが、ヒリヒリと痛かった。




そしてこの痛みがあるかぎり祥吾の愛から目を背けてはいけないんだ。







3日後。







仕事が終わり家に帰る途中。



最寄り駅の一部に人だかり出来ていた。



何気なく目をやると


ドラマの撮影してるみたいだった。




祥吾の顔がちらつき早く帰らなければと



人込みをすり抜けようとした。






『行くな!お前が好きなんだ!!!!』






あの声は…




私は、振り返ると



‘前島勇輝’がいて



監督 『カット!オッケー♪』



勇輝  『ありがとうございました!』



監督 『今日の撮影はこれにて終了でーす』



私は、瞳が離せなかった。



勇輝  『みんな、気をつけてかえってね~』


集まった野次馬に手をふる。



心愛 『やっぱり、安心する声…』


胸がきゅ~っと締め付けられた。



野次馬が去ったあとも私は動けずにその場で立ち尽くしていた。




(駅員の控え室から出てくる)



マネージャー『バレないようにかえって下さいよ』


勇輝  『大丈夫!変装してるし、大人しく帰るから』


マネージャー 『じゃ、明日の9時に!』



勇輝   『9時に~(^_^)/~~』




(マネージャーと離れて勇輝は、小さく鼻歌を歌いながら心愛のそばを通る)



心愛 『勇輝さん…?』



勇輝   『えっ…?』



(駅の構内で見つめ合うように立ち止まった)



心愛 『あれ…違いますか?』



勇輝   『正解、、やっぱりバレてる?(^_^;)』


心愛 『少なからず、私はすぐにわかりました』



勇輝『マジか~f^_^;


周りには秘密でお願い(^人^;)』



心愛 『誰にも言いま…』




祥吾 『心愛…?』



ざわつく人混みでもすぐに気づいてしまう、


祥吾の声は


嫉妬にも似た怒りの声だった。



心愛 『祥吾…』



祥吾 『こいつ誰?


俺に隠れて男と会ってたんだ?



心愛…信じてたのに・・・・。』



祥吾は私をじっと睨む。




心愛 『違う…



この人は・・・・』




勇輝 『すみません!


探してた携帯ポケットに入ってました!



わざわざ、手伝ってもらったのにお騒がせしました!!


でも、彼氏さんは羨ましいですね、


こんなに可愛くて気が利いて優しい彼女さんに愛されて(^_^)』



祥吾『……



探し物を手伝ってただけならそう言えよ、心愛。




変なところを見せてすみません。


携帯見つかって良かったですね。』





勇輝  『はい、ありがとうございます(o~-')b』


祥吾『じゃあ、帰ろうか…心愛♪』



祥吾は、痛いぐらいに手を握りしめて、勇輝さん


に軽く頭を下げる。



勇輝は、手を振り私たちを見送った。



勇輝   『あっ、彼女のストラップが切れて落ちたんだ…』


知らない顔の祥吾がいた。



祥吾 『二度とあいつとは限らずに俺以外の男と会うな!!


もう、俺を傷つけないでくれ・・・・』


何度も私を求めなきじゃくる。


心愛 『もう…疲れちゃった。。』



隣で眠る祥吾を眺めながら呟く。。



どこまで我慢すれば、いいの?



祥吾…私、、、イイコではいられない。。



勇輝   『お前が好きだ!』



一瞬、私の頭に“勇輝”さんの声が響く。。



自由な笑顔が私の心を癒してくれる。



いつか、あなたみたいに自由に羽ばたきたい。


次の日の朝。


祥吾 『気をつけて行くんだよ。



やっぱり、…駅までついて行こうか?』



心愛 『大丈夫だよ、祥吾はせっかくの休みだから


ゆっくり寝てて?』


祥吾 『わかったよ。でも


他の男に絡まれたらすぐに電話して?』



心愛 『ありがとう、じゃあ行ってきます』



無理やりな笑顔を作って駅に向かう。



改札口の前で



勇輝   『あの…』



振り替えると笑顔の“勇輝”さんがいた。



勇輝   『昨日、これ落としてたから…


ここで待ってたら会えるかなって思って!』



心愛 『わざわざ待っててくれたんですか?!』



勇輝  『わざわざって、ほどじゃないよ!


ただ、君に会いたくてって言ったら嘘に聞こえる?(^^)』


彼の優しい声と暖かい心が私の何かを壊した。。



涙が止めどなく溢れて、


立ってるのもやっとだった。。



心愛 『・・・・ご、、めんな、、、、』



(何も言わずにタオルを差し出して)



勇輝  『泣くのはいけない事じゃないよ?


我慢せずに時には、泣いてもいいんだよ(^^)/』


時間を忘れたい。。


ただただ、笑いたい。




勇輝   『今から海行こう♪

来て!!』



(心愛の手を引っ張り、改札口を越えて湘南に向かう電車に乗り込んだ)



勇輝   『改めまして


俺は、まえしまゆうき。

きみの名前は??』


心愛 『…櫻井心愛です』



ゆうすけ 『心愛ちゃんだね!


よろしくね!』



少し強引なのに…


とっても居心地がいい。。



私は、会社に休みの電話をした。


これが夢みてるように思える。


でも、現実なんだと隣で


勇輝さんの笑ってる横顔を見つめる。


一瞬、祥吾の言葉がよぎる。



“あいつに限らずに男とは会うな”



脳裏に浮かぶのは、祥吾の睨み付けるような顔。。



心愛 『祥吾。。ごめ・・・』



勇輝   『おーーー!海キター!』


一瞬で嫌な事を忘れるぐらい綺麗な景色が広がっていた。


女性 『あの…前島勇輝さんですよね?


ファンなんです、握手とか写真いいですか(^^)?』



(駅に停車した)


勇輝  『ごめんね、今日はプライベートだから受

け付けてましぇ~ん♪』


(心愛の手を握り改札口まで走る)


心愛 『ちょっと待っ…』



ヒールだと足が縺れそう。


勇輝 『しょうがないな~(^_^)』


(勇輝は心愛を抱き上げる)



心愛 『キャ!』


勇輝 『しっかり捕まれ(^^)』



私の耳に彼の息がかかる。


くすぐったくて恥ずかしい。




(途中トイレに立ち寄る)



心愛『お待たせしました。』



ゆうすけ 『心愛ちゃん、これ♪』



(紙袋を心愛に渡す)




心愛 『ん…?



これって…』




勇輝さんからもらった紙袋には、



白を基調に桜の花びらをモチーフにした可愛らしいワンピースとサンダルが入っていた。




ゆうすけ 『スーツ汚すわけにいかないでしょ♪??』


心愛 『えっ…でも』



勇輝   『それにそのワンピースは心愛ちゃんに似合うと思って、


そこのお店で買っちゃった!


良かったら今、着てみて(^m^)』



ズルい程の笑顔で私の顔をのぞきこむ。




心愛『あっ、、ありがとう。』



私は、トイレに逆戻りをしてワンピースに着替える。


勇輝  『すっげぇー似合うじゃん!』

着替えを終えて出ていくと頭を撫でながらほめてくれた。


心愛 『ありがとうございます。。』


勇輝 『いいよ~お礼なんて!

よし、行こうぉ♪』



心愛 『…はい(^^)』



勇輝  『あと…敬語使わないで(^O^)♪



せっかく友達になれたんだし!』





心愛 『でも…』



勇輝  『約束だよ?(^^)』


小指と小指を絡めて笑う。



小さな約束に嬉しさが込み上げてきた。




勇輝  『海はすぐそこだから行こう?』


ちょっと急ぎ足で海辺に向かう。



海の家に荷物を預け



勇輝 『心愛ちゃ~ん、


気持ちいいから早く来なよ!』


無邪気にはしゃぐ勇輝さんに


引き込まれていく自分がいた。



誰かといてこんなに楽しくて自由なのは本当に




心愛 『ひさしぶり過ぎ…』




ため息まじりに浮かぶ、現実。




勇輝 『心愛!


(至近距離で顔をのぞき込んで)



ほら、行くぞ♪』



彼はまた、私を軽々と持ち上げ歩いた。



勇輝 『今は、今を楽しむことだけ考えろ(^m^)』



海辺におろされ感じる。



サラサラと足に絡む砂…




波がひんやりと冷たくて気持ちいい…



心愛 『綺麗・・・』




日差しが海に反射してキラキラと宝石のように輝いている。



勇輝 『♪~波は心を洗い

太陽は、心を癒してくれる

キラリと光るダイヤモンドは君に笑顔をもたらすぐらいのパワーがある~♪』


歌を口づさみながら、遠くを見つめる勇輝さん。


その声に身体を預けた。


ただ、ただ




時間を忘れて…



気がつけば、もう夕暮れ になってた。




勇輝  『そろそろ帰ろうか?』


心愛 『zzZ』




勇輝  『寝ちゃってる…


今日はとっても楽しかった。


ありがとう、心愛・・・』



(勇輝は心愛の頭を撫で、そのまま抱き上げ海の家にはいる)



勇輝  『すみません、


タクシー1台お願いします☆』(小声)


ユラユラとゆられてる。


心愛 『ん…』



心地良い揺れに目をあける。




あたりを見回す…



タクシーには私だけ?


心愛 『あの…』



状況が読み込めずに運転手に問いかけた。



話を聞き、ふと足にかけられたタオルに触る。



白い生地に黒ペンで何か、書かれている…?




心愛 『(いつも笑顔でいて、


どうしても気持ちが晴れなかったら電話して?090☆)』


素直に嬉しかった。。



こんなに惹かれた人…


初めて。。。。。


胸の高鳴りを忘れたくない。


それでも現実はやってくる。


私は、最寄り駅のトイレで着替えて家路に歩く。



夢から覚めたくない。。



心にまた、モヤモヤがうずき出す。




祥吾 『…香水変えた?』



心愛 『!!!!


祥吾!?びっくりしたぁ!』




背後からいきなり聞こえた声。



振り向かなくてもわかる。



祥吾 『…においがいつもと違うけど?




香水変えた?



それとも…』




心愛 『ど、同僚がね、オススメって


振りかけてくれたの!


この香り嫌い????』



慌てて言い訳をした。



祥吾 『うん、嫌い!』



なんだか、目をあわせるのが怖い。



心愛 『ごめん、、


早くかえってお風呂でにおい消すね』


祥吾 『俺が綺麗に洗ってやるよ…』



手を握りしめようとした祥吾を無意識で振り払ってしまった。


心愛 『イヤ!!!!』



祥吾 『…』




心愛 『祥…吾、ごめん、ちが…』




祥吾 『やっぱり、怪しい!


こっちこい!!!』



急ぎ足で家に向かって歩く。


心愛 『祥吾、痛いって。。。』


何をいっても離してくれず…


ただ無言で歩き続けた。


玄関の鍵をあけて、荷物を放り投げ


寝室のベッドに倒される。




祥吾 『身体は正直だよね??

今日は隅々まで調べて…

ついでに“危険日”だけど…子供作ろう。。ね?』




馬乗りで両手を縛られ身動きが取れない私に祥吾は笑いながら、、



服を切り裂き、



祥吾 『アイシテル…』




を繰り返した。



じっと堪えた涙はあふれ、瞼の裏側には



笑顔の勇輝さんがいた。




(隣で寝る、心愛を見つめる)



祥吾 『このまま…死のうか???』




(にやけながら首を触る)



心愛 『ん…』




祥吾 『裏切った時は…本気だからね。。(不適笑)』




その日から祥吾は、私の家に居着き、



監視するようになった。。




息が詰まる。。



帰宅時間も買い物も一緒で



メール、着信も全て報告しないといけないルール



もちろん、夜は毎晩…義務のように求めてくる。。




拒否すれば、、暴れて


奇声を浴びせられる。



だから、私が“我慢”すればいい。



あの日からもう3ヶ月がたった。



勇輝さんはもう、私の事なんて忘れてる。

深くため息をつく。


あのワンピースとタオルも会社のロッカーに入れたまま。



携帯がなる。



表示●祥吾●

“今から、上司と取引先の人と飲み。だから遅くなる。まっすぐ帰れよ。”




私は、“わかった。気をつけてね”と返信をして


少し、重たかった荷物をおいた。



心愛 『また海がみたい…』


思い出にふけいる…


会社を出て、駅に向かうと


売店で“勇輝”さんが表紙の雑誌を見つけて…


手に取る。




特集ページを開く。


インタビュー記者【今、会いたい人っていますか?】

勇輝【います♪

海の女神に会いたいです♪】


インタビュー記者 【海の女神?】



勇輝【そう♪

白い生地に桜の花びらのワンピースが似合う女神(^^)】



インタビュー記者 【実在する方みたいな言い方ですね?(笑)】


勇輝【それは海に行けば、女神に会えますよ♪

ちゃんと“夏の歌”を聞いてからイメージしたら


夢で会えます♪】



勇輝さんは、覚えていてくれていた。


嬉しくて胸が熱くなった。


今、どうしても言いたい。

ありがとうって



その雑誌を買い、走って会社にもどる。




ロッカーの中に隠してた


ワンピースとタオルを取り

そのタオルに書かれた番号に電話した。




プルル~


プルル~



プルル~



なかなか出ない電話の向こう。


やっぱり。。


今じゃ無かったかな。


4回目のコールで諦めかけた…



勇輝『もしもし?』



心愛 『あ…あの』



勇輝『心愛…


ちゃん?!』




心愛 『は…い』



勇輝 『すっげー久しぶりだね!


元気だった???


俺はね~』




心愛 『…』



勇輝  『どうした?』


声を聞いた瞬間に涙が止まらなかった。






とめどなく溢れる感情は…



勇輝『今どこ?』



しばらく黙ってた勇輝さんが聞く。


会社の名前を告げると電話は切れた。



私は、ひとしきりないて落ち着くまで、


一時間がたった。



それからワンピースとタオルをロッカーから取り


崩れた化粧も直さず、会社をでる。


駅に向かってとぼとぼと歩いてると


勇輝  『心愛!!!』


黒のJEEPが少し手前にとまりおりてきたのは


勇輝さん。


びっくりして身体が動かない。


忘れられてると思っていた人が、今私を呼んでる。



勇輝 『こっちにおいで(^^)』


車まで小走りで行くと、


頭をポンポンとなでて


勇輝 『大丈夫?


これから気分転換もかねてドライブ行こうっか?』



助手席にエスコートされるように乗り


車は、あてのないドライブに走った。



勇輝 『少し痩せたね!


ちゃんと食ってる?


彼氏となんかあった?』



何気ない会話の中で



祥吾の話題になる、


身体がビクッとなる。



その瞬間に言葉が蘇る。



祥吾“裏切ったら本気だから”



勇輝 『無理しないで、


話したくなったら聞かせて(^^)?』



私の震えた右手にそっと



勇輝さんは、自分の左手を重ねた。



顔をあげ、勇輝さんの横顔をみると



勇輝 『鼻くそでもついてる?爆笑』


笑わせてくれた。


緊張した雰囲気がガラッと変わり自然に笑えた。



それから車は、どこかの港に止まり海風に当たる。




心愛 『かぜ、、気持ちいい…』



勇輝 『ホントだよなー』


ブーブー


勇輝さんのポッケの中で携帯がなる。



でも、出る気配はない。



心愛 『…出なくていいですか?』



勇輝 『うん?

あーいいの、いいの!

誰からかわかってるから(^_^)』



不思議な顔でいると、


勇輝 『マネージャーだよ


今日ね、打ち合わせがあったんだよね…(^∇^)』



心愛『あっ…』



そうだった、勇輝さんは…芸能人。


忙しい人なのに…



私のわがままで仕事に穴開けてしまった。



勇輝 『心愛ちゃん、気にしなくて大丈夫だよ♪


俺が自分で決めて“今”ここにいるから。


それに、心愛ちゃんにまた、会いたかったし!』


ふわりと抱きしめられる。



心愛 『…あ』



勇輝 『一人で苦しまないで…


俺に話して?』



勇輝さんの吐息がすぐそばで聞こえる。



心愛 『ゆう…』




勇輝 『話してくれるまでずっとこうして


逃がさないよ?』


意地悪っぽい言い方をしてるのに…


腕の力が強くなる。



勇輝 『初めてあった時から…すごく惹かれて。


二度目に一緒に海に行った時には



もう、恋に堕ちてた。



それから、すっげー携帯とか気にして



待ってたケド…なかなか、来なくて



会いたいのに声が聞きたいのに…



それが出来なくて。



やっと、声がきけたら…


電話の向こうで泣いてるし。



今、こうして抱きしめることしか


俺には出来ないかもしれないケド…


絶対、守ってやるから

だから、、、』



(心愛の着信音)




勇輝 『…笑ってよ


好きなんだ、、心愛が…』



私の胸はドキドキして止まらない。



私も……

(心愛は勇輝の腕を振りほどき…振り向くと口づけをした)



心愛 『大好きです…



でも、、、



祥吾をうらぎれないから。。』



今、裏切れば…絶対に祥吾は勇輝さんを傷付ける。



私が…我慢したら…



勇輝 『じゃあ、何でさっき泣いてたんだ?


彼は、心愛を笑顔にさせてないじゃん。

本音で言って?』


また、抱きしめる。


今度は、強い。


心愛 『勇輝…さ』


勇輝 『言ったろ?

ちゃんと話してくれるまで逃がさないって(^^)』



我慢しなくていいの?



甘えても…いいの?



また、あふれた涙が頬を流れて



勇輝さんのTシャツを濡らす。 



それでも…抱きしめられた身体は心地が良かった。



心愛 『ありがと

…本当は、もう良い“彼女”には疲れちゃってるの。。

私は、自由に羽ばたきたいのに…


“愛”って言う名の呪縛が私を押し付けて逃げられない。。

言い訳にしか聞こえないかもしれない・・。


祥吾と向き合う事を怖いから避けて。


私には、“祥吾”しかいないんだって


言い聞かせて、良い“彼女”演じて…



でも、それも今は限界なのに…


祥吾に言えないでいる。』



勇輝 『…』



心愛 『それでも…



私は、、、勇輝さんが好き。


ズルいよね…私。』


勇輝  『心愛…おれっ』


心愛 『ごめんなさい、これ以上は出来ない。。


勇輝さんを巻き込みたくない。。


祥吾は何をするかわからないから…』


勇輝  『大丈…』



心愛 『これでも…大丈夫って言える?』



(ボタンを外し首もとを広げた)



勇輝   『っ!!!!!!』



心愛 『あの日、一緒に海をみた夜から…


祥吾は毎晩のように


身体を求めて来る。。




そして私が嫌がれば…



笑って首を絞めたり、



殴ったりする。



“裏切ったら本気だよ(笑)”って…



だから・・・・・』




勇輝 『ふざけんな!!!!



なんで、ここまで我慢するんだよ…(;_;)


大切な身体を傷付けてまで…



我慢しないでくれ。。


これからは俺が守るから!



そんなクソ野郎と別れて


俺と付き合ってよ。』


溶けてしまうほどの熱いキス。


息継ぎする事を忘れる…


心愛 『…っん』




勇輝 『返事は♪♪♪♪』




真剣な眼差しが私に向けられた。



心愛 『何もお互い知らないから…』



視線をそらす。



勇輝 『じゃあ、ダチになって!


それからお互いをしればいい。


とにかく、彼と別れるべきだ!』



勇輝さんの気持ちは痛いほどわかるし


祥吾が危険なのは間違いじゃない。



勇輝 『心愛が…大切なんだよ。。


俺には、心愛の笑顔が必要です!』



心愛 『勇輝さん…』



ここまで言ってもらえる。



私は、きっと幸せなん…












祥吾 『やっぱり、裏切ってたんだ。。』




  







冷静なトーンで話しかけてきたのは、まぎれもない。




祥吾だった。。


心愛 『祥…どうして?!』



言葉を失った。。



勇輝 『あとつけてまで、


心愛を監視したいって…

よっぽど、心愛を信頼してないし


かなり、キモいよ?』


祥吾 『信頼?


はなっからそんなものは、してない。


心愛は俺の可愛い“ペット”なんだよ。



“ペット”は大人しく“御主人様”の言うことだけを


聞けばいいんだ。



心愛…こっちへ来い。』



身体が動かない。



祥吾 『早く来い!!!』


(走って近づき、心愛の肩を掴もうとする)



バシッ!


勇輝『俺の大切な人に気安く触んな。


純粋さが汚れる!』


祥吾 『心愛は俺のだ!!!』


勇輝『違う!!!



心愛は誰の“もの”でもない!!!



ふざけるな



!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』





祥吾 『お前と話してもラチがあかない。


目障りだから、消えろ。。


(勇輝を投げ飛ばし、心愛を引き寄せる)


心愛、本気だと言っただろ?』



ザクっ。



心愛 『しょ……ご………』




ナイフは、私の太ももを貫通した。

 

祥吾 『次はココ(心臓)だー!!!!!』


勇輝 『止めろ!』



私の視界が暗くなる。



恐る恐る目を開けると…



勇輝  『っく…』


さっきまで私の太ももにいた、


ナイフは勇輝さんの喉仏に刺さっていた。



心愛 『勇輝さん?!』




足を引きずりながら、勇輝さんに駆け寄った。


祥吾 『くそぉーー!』



(気が狂ったようにどこかへはっていく)


心愛 『勇輝さん…』


溢れる涙を必死で拭いながら、


救急車を呼んだ。


心愛 『お願い、死なないで』



もう一度、名前をよんで…


私、何も答え出してないのに…



病院に急ぐ救急車の中、


勇輝さんは私の手を握りしめた。



心愛 『勇輝さん…?』


うっすら目を開けて、



ゆっくりと瞬きを五回した。


まるで、“大丈夫”とか“泣かないで”



そんな言葉を伝えてくれてるみたいだった。


こんな時まで、私の心配するなんて…


優し過ぎるよ…


手術室の灯りがつき、慌ただしく


看護師や医者が出たり入ったりしてる。



私は、ただ…何も出来ずに



心愛『ごめんなさい、


勇輝さん。

神様、私ならどんな罰も罪も受けます。


ですから、勇輝さんをお助け下さい。』


謝りの言葉と


祈る言葉を


くり返すだけだった。


マネ 『あの…貴女が心愛さんですか?』



声をかけられて振り返る。


ラフな服装の男性がたっていた。


心愛 『…はい』



マネ 『僕は、ゆうすけのビジネスパートナーの佐藤です。

いや、話よりは可愛らしい方で驚きました』


心愛 『…?』


佐藤 『失礼!

度々、仕事をすっぽかしがあるので…理由を聞いても“寝坊”と言い張って本当の理由を教えてはくれなかったので


ちょっとばかし調べさせてもらい、そしたら“全て”貴女が関わっていると聞いていた


矢先にこれですか…。

困るんですよね、


商品に傷をつけたら…


稼ぎ頭なんですから!』


心愛 『商品って…勇輝さんは』


佐藤 『綺麗事だけで、この業界はやってけないんです。


ちょっとでも“忘れ”られたら、


取り戻しずらいんですよ!



勇輝も自覚してると思ってたのに


かなり失望しました。




貴女も貴女で勇輝は、


“芸能人”


と言う仕事に選んでるんだと


理解してくれたら、


突き放すことも出来たはず、


そしたら、こんな事にはならなかった』





責めるような目で私を見る。



佐藤 『もう、勇輝には会わないでもらいたい、、


どうぞお引き取りを…』



手術室の灯りが消えた。


勇輝さんが出てきた。


麻酔がきいて、ぐっすりと寝てる。


佐藤 『お願いします、帰って下さい』


深々と頭をさげた。


私は勇輝さんを見れずに



“今までありがとう”と心でつぶやきながら。。。




私は、家に戻り…泣き崩れた。



祥吾のこと、、





勇輝さんのこと、、


私は…どうしたらいいの?



☆朝7時25分☆



いつの間にか、朝になっていた。



重たい身体をおこ
し、テレビをつけた。




ニュースは、昨日の騒ぎを知らない。







はずなのに…騒ぎの事を大きく報道している。


そして…


レポーター 『こちらが、俳優の“前島勇輝”さんが


入院されていた病院です。


喉仏に鋭利な刃物を刺されて、

搬送され、すぐに手術したそうで、


命には、別状無いものの…


声を出すまでには時間がかかり、

今無理をすれば、

声を出す事が出来なくなるぐらい


大変な事態になると担当医は


おっしゃっていました。


そんな状況で、早朝に病院を抜け出した、



前島勇輝さんは今…どこにいるのでしょうか???


そして、前島勇輝さんを刺した犯人はどこに消えて行ったんでしょうか!!!!



事情を知っている一般女性…』


ピンポ~ン


玄関のチャイムがなる。


刑事 『警察です、少しお話をお聞きしたいのですが…』


玄関をあけると、警察と佐藤さんが立っていた。



佐藤『勇輝!!!

隠れてるんだろ!?』


心愛 『ちょっと、、』


佐藤さんは、部屋の中を探し回る。


心愛 『勇輝さんはここに居ません!』


佐藤 『勇輝は、あんたに会うために


…病院から抜け出したんだ!!!


だから、絶対に…!!!!』

警察 『落ち着いて下さい、佐藤さん。』


(心愛の携帯がなる)


心愛 『とりあえずお引き取りください!


なにか連絡ありましたらお知らせしますので』


(ドアを閉めて電話にでる)



もしもし?』


受話器の相手『構内での…』


電話に出ると、どこかの駅のアナウンスだけが鳴り響いていた。



心愛 『…

もしかして、

勇輝さん?』



そう問いかけると受話器の向こうから


“コンコン”と二回音がなった。


心愛 『心配したんだよ、、』


泣きじゃくった私の声が響く。


受話器の相手 『もちもち…あたしは今から

おにぃちゃんのこえなるからに

聞いてくだちゃい、おねえちゃん


ちんぱいさしぇてごめんなさい


おねえちゃんとはなちたくて…


びよういんにげてきたよ。

であいのえきでね、


いるからきてほしい。


じゅっとじゅっとまってるからねだって


おにいちゃんね、いまわらってるよ♪』


途中で電話が切れ


私は、急いで


勇輝さんの待つ駅に向かった。


覚悟を胸に偲ばせて。


駅構内を見る。


人が多く、勇輝さんを探せない。


いきなり後ろから腕を引っ張られる。


振り返ると笑顔の


心愛 『勇輝さん!?』


ふと見えた包帯は赤くなり滲んでいた。


勇輝さんは、私に携帯の画面を見せた。




勇輝 “佐藤になに言われたか想像はつく。


でも、俺は…心愛を守りたいんだ!


身体がボロクソになって、


俳優の道がなくなっても、


一生、声が出せなくても

それでも、


この腕で抱き締めて、、


笑顔で癒して、キスで気持ち伝えてくから


心愛のそばにずっといたいし

心愛にそばにいて欲しいんだよ!


お前が大好きだから…


だから、勝手に俺から離れんな!!


約束だからね♪”


(ゆうすけはニコニコとわらいながら心愛を強く抱き締めた)


心愛 『(溢れた涙を抑えきれず)・・・・・・・・

・・・・・・・勇輝さん…


私も聞いて欲しい事がある。


このままでいいから、、


私、、祥吾と


別れる。


…だから、、今は病院に戻って?


ちゃんと勇輝さんの声で気持ちを聞きたいから。。』



こんなにストレートに気持ちを伝えてそれを行動にしてくれる人…



初めてで、だからこそ今は…治療に専念して欲しい。



勇輝さんは、首を縦にふりまた、


携帯の画面を見せてくれた。



勇輝 “病院には、戻る。

けど…心愛が一緒にいてくれないと嫌だ!”



勇輝さんは私の止まってくれない


涙を唇で拭ってくれた。



心愛 『わがままな人…』


私は勇輝さんとタクシーに乗り込み…


病院に向かった。



病院の前にタクシーが止まる。




心愛 『凄い…人だかり』




報道陣がたくさんいて中に入るのは、難しそうだった。



勇輝 “俺にまかせて♪”


私の手をつなぎ、堂々と記者の前に立つ。



押し寄せる記者に焦る私。



隣で勇輝さんは報道陣からスケッチブックを


借り何かを書いている。



記者① 『前島勇輝さんと一緒に来られたと言うことは…』



記者② 『貴女を奪い合って、前島さんは怪我をしたと言う事実で良いんですよね?!』




心愛 『あっあの…えっ…』



スッと目の前が暗くなる。



私の前に勇輝さんは立ちふさがった。


勇輝 “皆さん、ご迷惑かけてすみません!


そして、声が出せないので筆談で気持ちを話すことをわかって下さい!


今回、俺は…自分の我が儘を突き通した形で仕事をドタキャンしたりして怪我をしてしまいました!


本当にごめんなさい!


そして報道されてるように、この怪我に絡んでる女性が、今…俺の後ろにいる人です!


彼女に会って、

同じ時間、

同じ空間、

過ごして…

笑顔が似合い、

俺を1人の男として見てくれた。

俺は彼女に恋しました♪

俺が彼女の笑顔を守っていきたい、

幸せにしてやりたい。

そう願い

きちんと告白し…

今にいたります♪

正式にお付き合いは、、ちゃんとしてからですが、

お互い両おもいなんで、そっとしてておいて下さい(^o^)/

今日はありがとうございました♪”


(一礼する)


手をつなぎ病院の中に入った。


勇輝 “ぜってぇ、ついてこいよ!”


心愛 『はい』


もう我慢しない。


迷わない。


負けたくないから…強くなりたい。


佐藤 『勇輝!!?』


駆け足で佐藤さんがむかってくる。



佐藤 『勇輝…無事か!?


心愛さん、やっぱりあなたは.....』


(そっと勇輝は心愛の手を握った)


勇輝 『こ…あは…るくな』


無理に話そうとする勇輝が急に倒れた。


心愛 『勇輝さん!?』


傷口が少し開き、

熱を出したのと先生が処置をしながら笑った。


医師 『傷口を少し縫ってガーゼも変えましたので。

あとは、点滴が終われば少し回復しますよ!

でも、こんなにびっくりさせられる人は初めてです(^_^)』

佐藤 『すみません…』


医師 『謝らないでください、


私は勇輝さんを誉めてるんですよ(^^)』


佐藤 『え?』


医師 『こんなに傷をおっても1人の女性を守り、


むちゃくちゃな事をして怒られても、


声が出ないはずなのに言葉をはなし、


意識がなくても、こうやって…


今も手を握ぎり続け離さない。



普通は出来ないですし、


こんなに想いを伝えられてる貴女は幸せでしょ?(^^)』


心愛『はい…幸せです』


佐藤 『…』


しばらく黙ったままの佐藤さん。


相変わらず、手を離してくれない…


勇輝さん。



佐藤 『私は、一度会社に戻ります。』


突然、立ち上がりドアをあけ出ていく。


心愛 『あ…』


佐藤 『心愛さん、、これから先…

バカな勇輝を末永くよろしくお願いします。。』



声を震わせながら佐藤さんはドアをしめた。



心愛 『ありがとうございます。。』



それから、数ヶ月たち。



すっかり…元気になった勇輝さん。


声を出す事も許可してもらった。


医師 『ゆっくりでいいので何か話してください(^^)』

勇輝 『……あ…り…が…と…』



心愛『勇輝さ…ん(;_;)』


医師 『お熱い二人にようやく戻れますね。

経過は、順調なので退院は明日でも大丈夫ですよ』



心愛 『ありがとうございます、先生…』


(医師と看護婦は病室を出ていく。)


笑顔を見せてくれた。


私は、自然と勇輝さんを抱き締めていた。


心愛 『ありがとう…』


ぎゅうっと抱き締め返されて。


勇輝 『こ…こ…あ』

私を抱き締めたままベッドに倒れ込み。

お互いの身体の体温を感じて。

勇輝『…ま…た…う……み…い…こう…』


生きている嬉しさを実感するように。

見つめ合う。

心愛 『海行きましょう(^^)』


ゆっくりと顔が近づいて。。


佐藤 『勇輝、、明日の時間…』


勇輝  『!』

心愛 『!!』


突然、部屋に入ってきた佐藤さんにびっくりして飛び起きた。


佐藤 『…明日のお昼に退院だから今日までしっかり休むように』


勇輝  首を縦にふる。

佐藤 『じゃ、明日…迎えに来るから(-_-)/~~~』


ドアをしめるように

佐藤 『それから、キス以上の事は…退院してから自分の家でしなさい』


ガチャ。


心愛 『…(赤面)』


勇輝『笑笑』


心愛 『…はずかしぃ。』


何気ない会話で笑い合う。




この瞬間を私は壊したくない。


ケジメをつけなければ強く思った。





--半年後--



勇輝 『心愛~!』



久しぶりのデート。


思い出の海に向かう為に待ち合わせ。


あれから、幾度となく話し合い…


世間も私たちを認めはじめてきた。 


笑顔もふえて、


祥吾にも怯えることもなくなってきた。


このまま、ずっとずっと…



勇輝さんのそばにいたい。


(車内の会話)


勇輝『早く俺の部屋に引っ越してこいよ、心愛』


心愛『うん…わかってるよ。

でも…』


勇輝 『あいつとまだ話したいのか?』



心愛『やっぱり、ちゃんと気持ち伝えて…


私と勇輝の事を理解してきちんと別れたい。』


勇輝『だからって、あの家に住み続ける意味ないだろ?』


心愛『そうだけど…』



勇輝 『だいたいさ、心愛は、まだ祥吾が好きな…』



どうして…そんな風に言うの?


心愛『勇輝さん、本気で言ってるの?!

私が…祥吾の事をまだ好きだなんて!』


勇輝 『心愛…ごめん!


俺はただ、、』


心愛『ただ?

いくら仲良いからっても言って


良い事と悪い事あるよね?!』


勇輝『ちょっとたんま!

仲良いって俺ら付き合ってるのに、


仲良いって表現おかしくない?!

心愛の中では、まだ俺は“お友達”なわけ!?』


心愛『もう、いい!

頭冷やしたいから

降りる、車止めて!』


(車をわきに止めた)


勇輝 『…』



心愛『最近、イライラして…ごめん。


5分だけ、外の空気吸って落ち着いてくる。。』


バタン。


(車から少し離れ…深呼吸をする)



勇輝さんにいつ話そう。



八つ当たりしてもダメなのに。。。



(心愛の前に知らない車が止まる)



心愛『ん…?』



(窓が下がり顔をのぞかせる)


祥吾 『心愛…帰ろう?』


幼い子供に向けられたナイフを見て


私は、祥吾のいいなりになるしかなかった。


祥吾 『心愛、、一緒に逝こ?』


車は、二人で過ごしたあのアパートに


止まり部屋の中へ入る。


人質の子供が怯えている。

心愛 『今のままならそれは出来ない。

この子を逃がして?』


祥吾 『ダメだ!』


心愛 『どうして?

この子には、関係ないよ?』


祥吾 『嫌だ、心愛もこいつも…』


心愛 『わかった、じゃあ…こうしよう。


私、祥吾と逝くから両親に


最後ぐらい手紙を書いてもいい?


それをその子に一瞬外に届けてもらってすぐに戻ってきてもらう。

どうかな?』


渋々頷く祥吾。


私は、勇輝さんへの気持ちを書いた。



今の気持ちを全て隠さずに。


心愛 『じゃ、これ…』



手紙を書き終えて、子供に渡す。



祥吾の手が緩んだ、


‘今だ!’


心愛 『こっち!』



人質の子供を私の背中に隠す。



祥吾 『どーいうつもりだ!』



心愛 『やっぱり、この子は関係ないし、こんな事しても何も変わらないよ!』



息が荒くなった、祥吾はジリジリと私たちに迫ってくる。


(心愛は玄関前の廊下で立ち止まり、ポケットから電話をする。)



心愛 『助けて!』


(迫り寄る、祥吾に鞄を投げた!)



祥吾 『心愛!!!!!!!』



今にも正気を失いそうな目をしてこちらを睨む。



パトカーのサイレンが聞こえ始めた。



(心愛は祥吾に飛びかかった)



心愛 『今のうちに逃げて!!!




そして、その手紙を…ゆ・・・(ザクッ)・・・う

きさ…んに…早く…にげ』






子供 『・・・・・・』


(子供は心愛の血だらけの姿を見る事なく泣きながら…部屋の外へ走った。)



祥吾 『心愛…ちゃんとトドメさしてあげる


そしたら俺も今から…逝くから…』



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



(逃げ出した子供は、外にいた警察に保護された)


勇輝『心愛!!!!


心愛は!?』


警察 『落ち着いて下さい!』


(警察を押しきり、部屋に乗り込もうとする)



子供 『お兄ちゃ…ん、これ』



勇気  『手紙…?』


子供 『おねちゃんから…』



(手紙をあけて読み始めた。)


【勇輝へ】


さっきは、あんなに怒ったりして、ごめんね。

勇輝に話さないといけない事があって…

でも、不安や恐怖が先に来て

ずっとずっと言えなかった。

でも、ここに書くね。


私、妊娠してるの。


今日でちょうど3ヶ月目…。

大好きなあなたの子供を宿したからこそ、

祥吾との事をあやふやにしたくなかった。

きちんと勇輝と向き合いたかったから。

言うの遅いって感じだよね。


ごめんなさい、勇気がなかなか出せなくて。


本当なら直接言って喜びをわかちあいたかったね。


勇輝の全てが私にとって幸せの象徴だったよ。


ありがとう。


いつもどんな瞬間も笑顔をわすれないで。


大好きだよ…。


心愛より。


勇輝 『心…愛…!』


(手紙を握りしめて、、部屋まで走る。)


ガチャ


勇輝 『勝手な事してんじゃね~!!!!』


(祥吾は首をつり、パタパタともがいていた。)


祥吾 『逝かせてくれ!』


勇輝 『ふざけんな!!!!』


(警察も突入し祥吾を取り押さえる)


勇輝 『お前を一生許さない!

けど、罪を投げ捨てるように死ぬのは、

もっと許さない!!

生きて生きて人より長く生きて、


自分がしてきた事を考えろ!!!!』



祥吾 『…心愛』


(警察につれていかれた、祥吾)


勇輝『心愛…大丈夫か????』


心愛 『…』


(問いかけに反応しない心愛の身体を起こし頬と頬を寄せあった)


勇輝 『いつまでも寝てんじゃねぇ~よ。。


心愛…まだ温かい…。

待ってろ!すぐに病院まで連れてくから!!!』


(お腹と心臓からの大量の、出血が止まらない。)


勇輝  『お前があんとき電話で

‘助けて’って

こんな不甲斐ない俺を頼ってくれたの

スゲー嬉しかった…

だから、ちゃんとお礼を言わせてくれるよな?


そのためにも、まだ…

サンズの川は渡んなよ!!!!』


(警察車両に乗り込み、病院まで急ぐ)


遠くなる意識の中で、


聞こえてくる勇輝の声が響く。

【神様、俺に魔法を使わせて下さい。

そうしたらもう一度だけ今日の朝に戻したい。

ちゃんと抱きしめて、心愛をもう二度と一人にしないと離さないと誓いたい。

心愛の天使のような笑顔を取り戻したい。

神様、マジで要るなら俺の願いを聞いて下さい!

心愛とお腹の子をこれから先も守りますから。】

ねぇ、勇輝。


魔法は使えてるよ?


私にとって貴方の笑顔が声が、

愛が幸せの魔法なんだよ?


勇輝『先生、心愛は!?』


医者『手は尽くしました。』







-12年後-


勇輝 『心愛、ただいま(^^)』


心愛 『・・・・』


(目を閉じたままの心愛の頬に触れる)


勇輝『純代さん今日も変わった事ありました?』


純代 『いえ、何も変わらずでしたよ。』


勇輝 『そうですか…』



純代 『今日でもう12年ですか…私がこちらににお仕えして。』


勇輝『もう、そんなにたつんですね…。


もし今…心愛が目を覚ましたら俺、おじさんになったって幻滅されないかな?』


純代 『幻滅なんてしませんよ、ますますイイ男になって惚れ直すはずですよ(^^)』


勇輝『だと、嬉しいですケド(-.-;)』


純代 『あらあら、自信持って下さい(^^)


それでは勇輝さん、私はこのへんで失礼しますね。

ゆっくりお休みになって下さいませ、では明日』

勇輝 『ありがとう、純代さん!

気をつけて帰ってください(^_^)

また、明日よろしくです!』

(世話係の純代は玄関を出ていった。)

勇輝  『心愛、、隣すわるな。

あのさ最近思うんだ。

あんとき…医者は“手は尽くしました。”って


赤ちゃんは失ったケド…


こうしてお前を救ってくれた。

すっげー感謝してるでも

“一生目を覚ます事はないかもしれない。


抵抗したときに脳を大きく打ったりしてるから

覚悟して下さい”

そう言われてわけわからなくて

覚悟って…なんだよ。。


楽にしてあげる=死って誰が決めたんだよ。。

心愛は、今もこうしてあの頃のままの姿で、、

ただ寝てるような、、、

姿でちゃんと呼吸してるのに…


な…?』


心愛 『…』


勇輝 『…

また、あのワンピース着て海行こうな…。

そして……

笑顔をみせ………



・・・・・ゴメン。


…泣かないって……



約束したのに・・・・。』


(勇輝は、涙を拭うタオルを取ろうと立ち上げた)





心愛 『・・・・行か…ない…

で…ゆう…

き…。』

勇輝 『!!!!

心愛!!!』


眩しく光ライトの中に大好きなあなたが見えた。


顔はぐしゃぐしゃになってる。


ねぇ、どうして涙が溢れてるの?


いきなり抱き締めたら…苦しいよ?


勇輝 『やっと直接言える!

心愛が世界中で1番、大好きだよ。。』


心愛『わ……た……し…も……だ………よ(^^)』

重ね合わせた唇は、とどまる事を知らなかった。

ずっと変わらないままの愛し笑顔。

勇輝。

ただいま。


‐END‐

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