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あの日

 寒さに慣れてきて温もりが恋しい、徐々に日が長くなってきた。周りを見渡すと外出している人が増えてきた気がした。
 この季節を待ってましたと黄色い声が辺りから溢れている。そんな声と裏腹に私は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
 とうとう来てしまった。誰もが1度は通る道。これからの人生を大きく左右してしまうであろう一大イベント。就活だ。

 この一大イベントのために新しく卸したリクルートスーツに身を包み、この先の不安さ以上に気だるさ、めんどくさい気持ちが勝ってしまう。
 人はなぜ競うのか。大手企業の切符を掴むために闘争心剥き出しにし人の皮を被った化け物だ。大手企業が偉いのか。常に疑問に感じていた。今思えば強がりなのか、僻みなのか。分からないが過去を振り返ってもしょうがない。

続く


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