ソー ラブ&サンダー 鑑賞後感想 【ネタバレ注意】

公開初日の朝イチで見てきました、ソー ラブ&サンダーです。
結論から書くと粗が目立つ映画だなぁと思いました。面白いかったんだけど、ところどころで気になるところがあって素直に楽しめなかったのは否めませんでした。

あらすじ
アベンジャーズ/エンド・ゲームのあと、ガーディアンズオブギャラクシーの皆と自分探しの旅に出たソー。道中の厳しいダイエットの結果、再びムキムキマッチョに。ある日ガーディアンズの元に届いた、アスガルドでのかつての戦友、シフからの救難信号を受け取り、ガーディアンズと別れシフを助けに行くことに。シフから神を全員殺すことを目標とする神殺しのゴアの存在を知らされ、ゴアを止めるため奮闘することに。戦いの最中、前作マイティ・ソー バトルロイヤルで破壊されたはずのムジョルニアを武器に闘うソーの格好をした人に出会うが、なんとその正体はかつてのソーの恋人ジェーン・フォスターであった…。

冒頭で粗が目立ち楽しめなかったと書きましたが、良いところもたくさんありました。ムジョルニアが一度破壊されているというところから、ムジョルニアの破片がバラバラに飛び散り攻撃するのはすごくカッコよかったですし、新鮮でした。
中盤で影の国と呼ばれる世界でゴアと戦うのですが、この戦闘シーンもスタイリッシュですごくカッコよかった。色のない世界なので基本的にモノクロなのですが、ソーの雷などは色が残っていて単純に映像として美しく、映えていました。
エンドゲーム後のソーを見ることができるだけでもMCUファンとしては見る価値がありますし、さらにはナタリーポートマンがマイティ・ソーシリーズに復帰してくれて、またジェーンが登場してくれるだけでも嬉しいですよね。

一方やはり個人的には「?」が浮かぶところが多く、楽しめなかった原因となったものがいくつもありました。
まずはやはりギャグとシリアスが水と油のように分離してしまっていて、お互いがノイズになっていたように感じました。

前作バトルロイヤルでも、ソー/ロキの父であるオーディンが死んでしまう、ヘラというソー/ロキの姉に当たるキャラクターが登場しアスガルドで殺戮を繰り広げるなどという展開はかなりシリアスでしたし、終盤ではアスガルド自体もラグナロクによって滅ぼされてしまうというショッキングな展開でした。その一方で皆さんご存知の通りコメディタッチなシーンもかなり多く、とくに中盤のバトルロイヤル、ハルクの登場、コーグとの出会いなどの一連のシーンはかなりコミカルに描かれていました。この間にソーとハルクの関係やソーとロキの兄弟間のわだかまり、ヴァルキュリーとの出会いなど人間関係の描写を描くことで、観客にわかりやすく登場人物の魅力を伝えることに成功していました。つまり、前半のシリアス展開の後にコミカルな展開を挟み、最後はシリアスに幕を閉じるという絶妙なバランスで成り立っていたのです。しかし本作では、コミカルさとシリアスさがジェットコースターのようにごちゃ混ぜになっており、まあ感情が忙しかったです。もちろんそう言った構成があっている作品もたくさんあると思いますが、本作はそのような構成はあまり合っていないように思いました。

他にも全体を通して描写が一貫性を成していないところがいくつもありました。
例えばヴィランとしてゴアの恐怖を描くのであれば「神を殺せる武器"ネクロソード"はやばい」という部分を強調すべきなのに、ソーがあっさりと万能の神ゼウスを殺してしまう(ミッドクレジットで死んでいないことが発覚しますが)展開はゴアの怖さを半減させてしまうのではないでしょうか。それにゼウスがあまりにも無能な感じで描かれているので、神々に対して同情できず、むしろゴアに感情移入してしまい、「こんな神たちなら別に守らなくても良くね?」とさえ思わせてしまうのはヒーロー映画としては致命的だと思います。まあアスガルドの子供たちが誘拐されている、という点がソーの大体の動機なわけですが。
また、本作ではジェーンが元カノであるという微妙な関係に準えて、ムジョルニアが元相棒であることに対して現相棒であるストームブレーカーがムジョルニアに嫉妬するという描写が多くありました。どうやらストームブレーカーやムジョルニアは人間の言葉を理解し、コミュニケーションが取れるみたいです。だとするならば、ゴアにあっさり利用されてしまうのはいかがなものかと思いました。もうちょっと抵抗しようよ…。そもそもインフィニティーウォーで急遽作ったストームブレーカーのビフレストが大昔からあるエタニティの門の鍵というのも納得いかないです。そもそもビフレストが鍵とは…?
最終決戦直前でヴァルキュリーは「多分私が行ったら死んじゃうから行かない。行くなら一人で行って。死なないでね」と言うのですが、いやさっき3人がかりで戦って倒せなかった相手のところにソーだけで行かすの?もはや信頼してるとかじゃなくないか?
ゴアの娘に罪がないのはわかるけど、ジェーンと引き換えにという展開が合ったのはわかるけど、でもそんなに愛することになるのは唐突すぎないか?その間の描写は何にもないの?などなど…

細かいところのモヤモヤが大きくなっていって、一度気になったらずっときになってしまいました。ただ全く面白くなかったかと言われればそういうわけでもないというなんとも言い難い映画でした。前作ラグナロクが面白かったことと、今年のマーベル映画がNWHとMoMだったことから単純に期待値が上がりすぎていたのかな…。いくつかのモヤモヤは私の勉強不足によるものかもしれないので、あくまで個人の感想として受け止めていただければ幸いです。


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