「食堂み」の女たち16

「ご挨拶が遅れてすみません。キョウコの…富岡響子の親でございます」女性の方が一歩前に出て一礼した。

「ご両親…」光恵が響子をみた。
響子はすっくと立ち、なんか用かという顔をして二人を睨んだ。
「そろそろ帰ってきなさい」父親が言うと「うちは一人で暮らすって言うたやん。いっつもしつこいな。帰って!」「何言うてんの。いつもひとりひとりって。これまでみなさんにどんだけ迷惑かけてきたと思てんのよ。いつ警察のお世話になるかと思うと気が気でない親の気持ちにもなってよ」
母親が涙を溜めて言う。
響子は横目で一瞥しただけで、二人の横を足早にすり抜けようとした。父親が響子の腕を掴んだが、思いっきり振り払い出て行ってしまった。

二人は「また同じことの繰り返しや」とため息をついた。


続きは明日

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