King Gnu THE GREATEST UNKNOWNで沼落ちしたにわかヲタクのレポ

King Gnuのライブに初めて参加してきた。めちゃくちゃよかった。明日円盤発売がいいし残る全公演入りたい。アジアツアーにもついていきたい。気持ち的には韓国や台湾で手を振りたいと思っている。気持ち的には。でもお金的に無理なのでこれからFCに入り来年のツアーを狙う予定である。

彼らのことは「名前は知っている、楽曲も知っている、なんならアルバムやシングルもちょいちょい買っていた」というくらいの認識。音源は知ってるけど、自分が元々ライブに頻繁に行くタイプでもないため楽曲を楽しんだり、テレビに出ていたら見るくらいだった。それが色々あって初めてライブに行けた。ライブに行けた結果、想像の倍以上楽しくて凄い勢いで沼落ちしている。

今、「音源は知ってるけどタイトルはよくわかってなかった曲」や「音源は知ってるけどMVを見たことなかった曲」などを色々見ている。SPECIALIZのMVで釘を打ち続ける勢喜さん最高すぎる。
たぶん、今一番楽しい時期なので沼落ち初期のにわかヲタクとしてライブの感想等々を綴っておこうと思う。


 


参加することとなったきっかけは友人からの誘いだった。King Gnuライブの注釈付きの席の一般抽選がありよかったら一緒に行かないかと言われた。以前からアルバムを買っていたので「行く行く~」ともろ手を挙げて申し込んでもらった。

結果、当たった。小躍りした。別の友人に話すと「当たるんだ!?」と驚かれた。
私もそう思う。

そこからKing Gnu月間が始まった。家にいる時はアルバムを流し散歩している時、音楽を聴きたい時は全部King Gnuにした。音楽の全てをKing Gnuに全振りした。この曲の後はこの曲!という順番も作りたくなかったのでランダムで聞いた。でもやっぱりお気に入りはいくつかあって大体「逆夢」か「SPCECIALIZ」から始めることが多かった。我ながらミーハーなやつめと思う。

ライブTシャツも買った。予習の一環ではあるものの、ガチガチの陰キャなので自分の服装にいまいち自信が持てない。変な恰好で浮くのも嫌で現場ごとにファンや会場、劇場の雰囲気に合わせてそれっぽい服装を組み合わせている。
今回も「King Gnuファンってこういうビジュアルしてそう」に頑張って寄せた。陰キャすぎて「陽キャのコスプレだぜ…ぐへへ」とか思ってたけど最近は他のファンへのリスペクトも込めてドレスコードと呼ぶようにしている。ドレスコード楽しい。

当日、King Gnuファンっぽい恰好をして友達と合流した。最寄り駅に到着するとライブTやキャップ、鞄を持っている人が増えてきた。意外だったのは年齢層が幅広いことだった。なんとなく若者が多いと思っていた。金髪やピンク、ピアスだらけのミニスカートの似合う女の子。そういう人達で溢れていると思っていた。
ただ実際にいたのは白髪の中年男性、大学生くらいの女性とその母親、カップル、男5人くらいの集団。子連れは少なかったかな?でも色んな人達がいた。常田さんそっくりな人もいて二度見した。
ドームに向かう彼らを見ながら「あぁ、こんなにたくさんの人達がこの日を楽しみに待っていたんだな」としみじみしていた。自分と同じように、にわかかもしれないしドームという大きい箱に立つ彼らを誇らしげに見上げる古株かもしれない。でもその場にいる人達全員が等しくこれから始まるライブを楽しみにしていてそれが伝わってきて胸が躍った。アーティストって凄い。

会場入りして席に着く。注釈付きと聞いていたのに全然いい席だった。メインステージの右側。ステージの全ては見えないが、まったく見えないわけではない。のちにライブが始まって分かったが、常田さん、井口さん(ほぼ背中)、ドラムの勢喜さんが見えたので注釈付きというのはめちゃくちゃいい席だったと思う。当ててくれた友達ありがとう。

印象深かったのは公演が始まる前、スタンド席、アリーナ席で数人のファンがスマホのライトをつけて振っていたことだ。モールス信号のように瞬かせる人もいれば両手に持って大きく振っている人もいた。決して話せる距離ではないファン同士。彼らがこれから始まるライブを、同じ空間を楽しむためにコミュニケーションを取っているみたいで新鮮だった。
にわかなのに「楽しんでね」と声を掛けられているような気持ちになった。嬉しくなってスマホを取り出しライトをつけて振ってみた。前の席の人がちょっと迷惑そうな顔をしたので慌ててやめた。でもその一瞬だけでもこの空間の一員になれて嬉しかった。



ここからネタバレあります。
















 


ライブが始まった。凄かった。とにかく凄かった。凄すぎて記憶があまりない。
最初の曲は「SPECIALIZ」だった。イントロが始まった瞬間、ドームが揺れた。歓声が上がり友達と手を取り合い震えながら歓声を上げた。大好きな曲だったからだ。
音源で予習してきたものとは全然違う音。広い会場で反響して会場の歓声と混ざってぐわんぐわん響いていた。
スクリーンに映し出された井口さんの顔。そこから紡がれる歌声。それを見て思った。

か、かっこいい~……

古株ファンでもない人間が言うのも変な話なのだが、井口さんのことは「おい井口~」というノリで見ていた。突拍子もない行動も多いしラジオでもリスナーとプロレスしていたイメージだったからだ。
印象的なのは菅田将暉のオールナイトニッポンのゲストで来た時のことだ。その時の企画は「全人類は、常田になりたい。どうしたら常田になれるか考えようぜ」という常田選手権。井口さんゲストなのに常田選手権。
当然のように井口さんは菅田将暉、スタッフに噛みつき、リスナーからの常田アゲ、井口サゲメールにプロレスを繰り広げ最終的にボコボコにされていた。そういう彼のキャラクターを知っていたので「おい井口~」みたいなノリでずっと彼を見ていた。それを許してくれる雰囲気もあったと思う。

でも実際の歌声を浴びて「ハチャメチャに恰好いいですやん」となった。

なんなんですか。聞いてないんですけど。あんなに格好いいとは思わなかった。「おい井口~」とか思っててすみませんでした。「井口さん」と呼ばないといけない。
でもANN面白かったのでまた機会があればやってほしい。ゲストでもホストでもどっちでもいい。
そんで「おい井口~」っていじらせてほしい。


メンバーで言うならば同じくらいベースの新井さんも印象的だった。

彼はどんな曲でも心地よさそうな、穏やかな表情でベースを弾いていた。例えるならKing Gnuというグループが台風で、その中心でひとりだけ日向ぼっこでもしているみたいだった。激しい曲調でもバラード系でも彼はいつも心地よさそうに天井を見上げてベースを奏でていた。
なんでそんなに余裕なんですか?恰好よすぎんか?刺さり過ぎて辛かった。たぶん一番沼の深そうな人だなと思った。

新井さんで一番好きだったのがキーボードを弾く場面だ。
初めて見た時「え!?ベースは?」とよく見たら背負ってた。背負うんや……ギター侍やん。いやベースだけど。
ベースを背負ったままキーボードを叩く彼は誰よりも恰好よかった。やっぱり沼やん。


他の場面も凄かったのだが、断片的にしか覚えていない。
ただ、カメレオンが始まった時、凄い勢いで泣いてしまったことを覚えている。井口さんの歌声が美しすぎて、世界観が凄すぎて。ダバーって感じ。
カメレオンが主題歌として使われていた「ミステリーと言う勿れ」は毎回見ていた。ドラマのエンディングで登場人物の心が変化していく様を、カメレオンのイントロが彩ってくれた。毎回もれなく泣いた。たぶん条件反射。ちなみにミスなかは原作もずっと追っている。最高な作品すぎる。映画化された広島編は何度読んでも泣いちゃう。

今回のライブで印象的だったのはスクリーンをメインとして使っていることだった。見てほしいのはメインステージではなくスクリーン。スクリーンと音源さえ捉えられればどこの席でも楽しめるライブという印象だった。これが新鮮だった。
以前、京セラドームでアイドルのライブに入ったことがある。スクリーンも使われていたが、あくまでもステージに立つ彼らが主役。スクリーンは補佐的な役割を果たしていた。
アリーナは神だが天井近くは双眼鏡が必須。もちろん入れれば万々歳だし天井近くだってペンライトの海を堪能できる。別に文句を言ってるわけじゃない。そういうのが普通だと思っていたという話。

King Gnuのライブはスクリーンがメイン、逆に言うとメインステージを見るよりもスクリーンを見てほしいという思いを感じた。ドームという大きな箱で、誰もが楽しめる演出。最高だった。


映像の中でも一番好きだったのがBOYの演出だ。
MC暗転後、明るくなったスクリーンに現れたのはメンバーではなくBOYのMVで出てきた少年達だった。井口さんの歌に合わせて全力で歌っている。

笑った。めちゃくちゃ面白かった。

実はライブの時はMV未視聴だったのでBOYのMVの子達だとは知らなかった。ライブで流れてきた時も「すげぇ~!井口さんの概念子役解釈一致!」と思った程度だ。帰宅後MVを回していたら彼らが出てきて「あ!これか!!!」と驚いた。MVの彼ら、特に井口さん(?)は小さかったのでライブ映像を思い出して「大きくなったねぇ」と感慨深い気持ちになった。

キッズ井口はTeenager Foreverで着ていたタンクトップにうさみみ帽子を被っていた。歌って身体を揺らすたびにうさみみが揺れて可愛かった。そして井口さんってそういう解釈なんだなぁと思った。めちゃくちゃ解釈一致。

常田さんの子役は同じくTeenager Foreverで身に着けていた帽子とサングラスをかけていた。可愛かった。Teenager Foreverもすきなんだよなぁ。

新井さんはワックスで固めた七三分けにかっちりした服装の少年だった。育ちよさそう。いいところの子という解釈なのかな?でも分かる。お顔もよく似てらっしゃる。どうでもいい話だが、悪そうな仲間達の中に一人だけいるお坊ちゃんキャラっていいよね。

勢喜さんは飛行艇の子供だったと思う(たぶんそうだよね?)。これも後々飛行艇のMVを見て分かったことだったので驚いた。飛行艇ではベース?ギター?を弾いていたので新井さんか常田さんだと思っていた。勢喜さんなんだなぁ。どういう解釈でどういう繋がりなのかもっともっと知りたくなった。
あとこれもどうでもいい話なのだが、勢喜さんのお名前を存じ上げなかったので「King Gnu ドラム」で検索して名前を調べた。初見の感想としては「よ、よめない……」だった。

ライブでは本人映像と子役映像が入れ替わり映り、「子役を!子役を見せてくれ!!」と切り替わる瞬間を楽しみに見ていた。あの演出は痺れた。早く円盤で見直したい~!!


演出の中で印象に残っていることがもう一つ。三文小説の時、舞台下から照明が真っすぐ上に向かっていた。照明はメインステージの一番前に複数台並んでおり連なったことで檻みたいだった。檻のような演出、これはもしかして記憶の中に閉じ込められた、みたいな意味なのかもしれないと思いを馳せていた。
三文小説は35歳の少女というドラマの主題歌だ。10歳の時に交通事故に遭った少女が25年ぶり、35歳になって目を覚まし周囲の人間を巻き込んでいく話。記憶や時間がテーマとなっており主題歌もドラマの世界観に合わせて作られたものだった。

この歌詞をちゃんと読みこんだ時、記憶障害を持つ方とその人を介護するパートナーの話なのかなと感じた。
好きで一緒になった二人。片方が記憶障害となり数年の記憶が抜け落ちてしまった。記憶障害を患ってしまった方からすると世界はめまぐるしく変わっており知っている人達も変わってしまった。急な環境変化に戸惑うパートナーを優しく導く人。一緒に重ねた時間を忘れてしまっても、自分だけは覚えているから大丈夫。そういって「お互い随分老けたね」と笑ってくれる世界。
解釈が色々できるのはこういうことを考えるのも楽しい。三文小説は前回のアルバムに入っていたので聞けないかな~と思っていたので流れた瞬間、めちゃくちゃ嬉しかった。
セトリに入れてくれてありがとう。


 ライブは一瞬で終わった。本当に一瞬だった。彼らがはけていき一度着席した。熱気にやられてぼんやりしていると手拍子が始まりアンコールの声。そのうちスマホのライトをつけるファンが増えていった。暗い会場で瞬くライト。
よくアイドルのライブは「ペンライトの海」と表現されるが、King Gnuのライブは星空だった。彼らのファンが作ってきた文化。その文化がドームに星空を作った。たった一回しか入ったことのない人間なのに彼らが歩んできた歴史を感じた。
King Gnuの歩いてきた道と彼らとともに生きてきたファン。その道のりがこの景色を作っているんだとスマホライトを眺めながら感動した。

感動したのだが……。

にわか的には「これこそファンと推しの軌跡!最高!凄い!綺麗!」という印象だったが、後日SNSで情報を追っているとこのスマホライト演出があまりよく思われてないらしいという事を知り、何ともしょっぱい気持ちになった。
情報を追っているとこのスマホライトはコロナ禍で声出しNGの時のアンコール方法らしい。メンバー側が喜んでくれたこともあり文化として残ったっぽい。(邦ロック好きの先輩に話したら「あ〜たまにあるね」と言われたので他のライブでもやってることなのかな?)
ただ、ライブ中はスマホの電源オフにしてねとアナウンスされていたしスマホライトにあやかって写真撮影していた人もいたという話を聞き「あ~…………」となった。

個人的にはスマホライトよりも終焉後のスクリーン撮影がOKなのかどうかの方が気になった。SNSを見ていると割とたくさんの人があげているしスタッフさんも咎めている様子がなかったので「大丈夫ってことなのかな……?」と思った。ただ、会場で見たものは基本撮影NGと思っているので撮影している人達やSNSに上げている人達を見てめちゃくちゃ戸惑った。
ルールは守りたい。にわかならなおさら。でも私だって思い出は残したかった。撮影OKならOKで「撮って大丈夫やで!」とバカでかい文字で書いておいてほしかった……。

スマホライトを文化だと言ったが、似たようなものでMC中や曲間でファンがメンバーの名前を呼ぶ場面をたびたび目にしたのが新鮮だった。

「ダイキー!」
「常様―!」
「イグチー!」

そのたびにメンバーがちょっと困ったような照れた表情を浮かべていて可愛かった。
また、ベースの新井さんがそれについて「名前呼ばれると嬉しいね^^」と言っていて友達と二人揃って心臓を撃ち抜かれた。
はあ〜!!!ここが沼の底かぁ〜!?


 アンコールは2曲。1曲目はTeenager Foreverだった。イントロが始まった瞬間、テンションが上がった。MVが好きだったので何度も聞いた曲だった。ちなみにこのMVの常田さんが良すぎて北海道で丸サングラスを身に着けワカサギ釣りをしてやろうと思っていた(後々MV確認したらサングラスじゃなくて丸眼鏡だった。NO MORE記憶改ざん!)。
歌詞を意識して聞いたことがなかったが、いい曲だなぁとしみじみしていた。

10代に向けた歌というか10代の頃を経験したすべての大人達への賛歌な気がした。不安定で多感な時期である10代。色んなものに影響され傷付き少しずつ大人になっていった。大人になれば経験も増えるし傷付くことも減っていった気がするけどまったく傷付かないわけではない。
むしろ若い頃よりも傷の回復は遅くなった。一回一回が致命傷になる。
年齢で言い訳できないし失敗のたびに自分で自分が嫌になる。上手くやっている他の誰かをうらやんだり嫉妬したりすることもあるけど、今ある自分を愛するしかない。傷付きも泣き言も全部許容し、その上で前を向くための曲という気がした。

つまるところ人生全肯定ソング。うお~大好きだ~!

二曲目は飛行艇だった。この曲の合間、常田さんが「全部置いていけよ、嫌なことも全部置いていけよ」と言っていてそれだけで泣けてしまった。嫌なことも辛いこともたくさんあるけど、ここに来れてよかった。また次の日から現実が待ってるけど今この瞬間が幸せだった。もうそれだけでいいやって思えた。来年また絶対会いに来よう。そのために毎日生きよう。
うお~大好きだ~!


 アンコール2曲も終わり2時間のライブは本当に終わってしまった。寂しい……辛い……。
寂しかったけど規制退場のアナウンスは「SPECIALIZのSのお客様」「阿修羅のAのお客様」という呼びかけをしていて面白かった。一番笑ったのは「DAREのDのお客様」。

ライブ後、友達と二人で居酒屋に入った。酒を飲みつつ「寂しい」「常田さん格好良すぎ」「新井さんが一番やばい」「FC入ろうかな」「明日円盤発売がいい」「アジアツアーについていきたい」「本当に辛い」「当ててくれてありがとう」「でも辛い」と喚き続けた。
喚く私を友達はウンウンと聞いてくれてまた絶対行こうと言ってくれた。友達が優しくて永遠に喚き続けた。

帰り道、今日のセトリでプレイリストを作った。駅のホームで作っていたが、後ろの男性3人衆もKing Gnuのライブ帰りだったらしく陽気に歌っていた。あ~最高だなぁ~。

King Gnuのことは好きだった。ライブ参戦前からアルバムだって買ってたしシングルも気になるものは買ってた。でも今回のライブ参戦で特別なものになってしまった。推しが増えて嬉しい。でも辛いんだろうな。人を好きになるって辛いもんな。
来年はもっともっと大きく羽ばたいてライブにすらいけないかも。そうなったら寂しいなぁ。でもそれはそれでいいか。なんにしてもこれから楽しみ。


ライブの内容とは全然関係ないが開演10分前、急にトイレに行きたくなり慌てて廊下に出た。出てすぐのところのトイレが鬼のように混んでいて「あ……終わった」と思っていたら後ろから女性が全力疾走してきて既に並んでいた人(多分友達)に「あっち!あっちのトイレ空いてんで!」と声を掛けていた。ダッシュする二人を追いかけガラガラになったトイレに駆け込めた。
「あそこ並んでたら永遠に入れんで!」と話をしている二人と目が合って「なぁ!」と言われたので元気よく「はい!」と答えた。トイレの相互扶助大事。ありがとう。マジでありがとう。

本当に助かったのであの方々にヌーのご加護があらんことを。

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