おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか第一話感想

この話は昭和の固定観念ガチガチの主人公、沖田誠が息子と分かり合うためにゲイの友人を通して価値観をアップデートしていくドラマだ。新しいドラマが始まるらしい、そこに推している東啓介さんが出るらしい、というぼんやりとした情報を得てなんとなく見始めた。
ドラマリンク↓
https://www.fujitv.co.jp/b_hp/oppan/index.html
当初、「おっさんのパンツがなんだっていうんだ」とタイトルを見誤っており「昭和ガチガチの沖田誠が色んな人と交流していくうちに昭和的男の役割に嫌気がさしてカラフルなパンツを履くようになる」みたいな話だと思っていた。違った。タイトル回収はまだ先らしい。

主人公の沖田誠は昭和の男のステレオタイプみたいなやつだ。
「お茶は女性が淹れた方が美味しい」
「男なら野球が好きに決まってる」
「男は強くなければならない、お洒落とかそういうのは不要だし、仕事さえやっていればいい」
そういう偏見ガチガチなので妻の美香がK-POPを推しているのも気に食わない。娘の萌からも冷たい視線を向けられるし息子の翔はそんな父親に嫌気がさして部屋に引きこもってしまった。誠を見ていると「そういうところやで」と「気の毒に……」の二つの感情を抱く。

多様性の時代、なんて言われるが知らないものは知らないし分からないものは分からない。なんなら分からないものは怖いのだ。怖いから距離を置こうとするし怖いから近付かないでほしいと思う。誠は、翔のもとを訪れたゲイの少年、大地に対し「ゲイがうつる」と言い放つ。さすがにヤベェ発言だろとは思うが、ゲイを知らない誠からすると大地という存在がとても怖かったんだろう。得体のしれない存在が息子に近付いてきた。しかも息子はそれに影響されようとしている。息子を守らなければならない。

親心、正義感、庇護欲。そういう感覚だ。

誠の発言はどうかと思うが、そうなってしまった理由は共感できる。野球が好きでお父さんみたいになりたいと言っていた息子。そんな息子と久々に会いマニキュアを塗っていたらさすがにビビる。ビビり倒す。たぶん頬が引き攣って変な笑顔とか浮かべちゃう。
個人的にはビビること自体は別に問題ないと思っている。自分の性に対し正直に生きることは尊重されるべきだ。家族や友人、何よりも自分自身に嘘を吐き続けることは想像よりもずっと辛い。ただ、そういう人を尊重するということは、そういう人に怯えてしまう人がいるという事も尊重しなければならないと思っている。そしてそういう気持ちを尊重するということは安易に「お前は気持ち悪いんだよ」とか口にしてはいけない。
思ったことを口にするのは正直であって誠実ではない。無知は罪なのだ。

誠は翔から「お父さんみたいになりたくない。出て行って」と言われショックを受ける。美香に心配されても「平気だ」と見栄を張る誠。弱さを見せられない昭和の男よ……。気分転換で向かった公園で大地と再会してしまう。気まずそうにしているのは誠だけで大地はどこ吹く風という雰囲気。誠は大地と話しているうちに自分自身が偏見にまみれていたことに気付く。そしてもう一度翔と向き合うには価値観をアップデートするしかないと決意する。誠は大地に頼み、価値観アップデートを行うための決意を固める。

第一話は大体こんな感じ。違うところもあるかもしれないが、許してほしい。ご都合主義的な展開の速さも感じたがそれ以上に、誠から翔への愛情深さのようなものを感じた。特に感じたのが終盤の誠のセリフである。
「翔はあの部屋で本当に生きていたんだ。この一ヶ月間、あいつが生きてるのか死んでいるのか分からなかった。もうあんな思いをするのは嫌だ(うろ覚え)」
正直、こんなにあっさり考えを変えることを受け入れる!?と思うほど終盤は駆け足に感じたが、それくらい誠にとって翔が大事な存在であると分かるセリフでもある。

上手く言葉にできないが、自分を変えるのって大変だ。特に50年近く「正しい」と思ってきた価値観を変えるのは並大抵のことじゃない。でも、誠はそれを覆すことにした。家族のために。翔のために。翔は確かにあの一軒家で生きていたが、誠は翔の姿を見ていない。美香の用意した食事、「入るな!」と書かれた張り紙、他にもあの一軒家にはたくさんの翔の存在を感じるところがあっただろう。ただ果たしてそれが翔が生きている証明になるのかというと話はまた違う。翔が生きているのか死んでるのか分からないような状態に戻るくらいなら自分が変わろうと誠は思ったのだ。翔を失うことに比べたら自分の偏見と向き合うことなんて些末なこと。そうやって変わろうとすることこそ、愛なんだと思う。

一話目は誠が翔のために変わることを決意して終わった。二話目は萌のためにコミケ的なものに参加する話らしい。また濃いところに行くなぁと笑ってしまった。
二話目では東さんが出てくるようなので楽しみに寝ながら待とうと思う。

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