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韓国・釜山の国際広告祭AD STARS 参加レポート②

東京と同じぐらい暑い釜山で8月24日から26日まで開催された、韓国最大級の国際広告祭「AD STARS」に参加してきました。3日間に渡って開催されたイベントのレポートを二回にわたってお伝えいたします!

【AD STARS 基本情報】
開催時期:2017年8月24日から26日まで
開催場所:釜山国際コンベンションセンター(BEXCO)*アジア最大の釜山国際映画祭と同じ会場です。

今年で10回目を迎える国際広告祭。アジアだけなく、世界中の広告を取り扱う。今年のエントリーは約2万にも及ぶ。日本は韓国に次いで二番目に多い。



AD STARSの特徴の一つは、エントリーの多さ。今年は昨年比の約20%増加で56カ国から21,530エントリーも集まりました。やはりアジア作品が多いのは現実としてありますが、審査員のラインナップは非常に国際的。今年のBranded Shorts グローバルカンファレンスにもご登壇いただいたPeter Grasse(Dictionary Films)も審査員で参加されていました。AD STARSの副委員長にお話を聞く機会がありました。「私たちの広告祭は、(予算が比較的ゆとりのある)巨大ネットワークや大きな広告会社、制作会社しか参加できないような広告賞ではなく、学生やノンプロも参加できるようなものを目指しています。そのためエントリー費は無料とし、誰もが参加可能なようにしているのです。」確かにイベント会場に行くと、学生の姿を多く目にします。日本からも大学の学生たちが多く参加しているようでした。またメインコンペティションであるAd Starsのほかに、Young Stars(30歳以下もしくは広告業界に在籍3年以下)や、New Stars(学生部門)があったりと、若い人たちが広告の知識と経験を得るためのコンペティションがありました。「若手育成という点では、ショートショートと概念は似ているのかもしれませんね。」と、締めくくりました。

フィルム部門などの映像はスクリーニングルームで見ることができます

最終日は会場近くのホテルでアワードセレモニーが開催されました。きらびやかな会場には、審査員はさることながら、世界中から集まった広告業界の人々が集結します。Ad Stars(18カテゴリー)、New Stars、Young Starsの中から、グランプリ・ゴールド・シルバー・ブロンズがそれぞれ選ばれるという多くのアワードがあるAD STARSなので、発表はどんどん進行していきます。受賞作品の中には、今年のBranded Shortsでも紹介した、「#TackleTheRisk」(AIG Japan)や、今年のカンヌライオンズでも話題に上った「GRAVITY CAT 重力的眩暈子猫編」(株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント)のフィルム部門グランプリなど、日本作品も数多く受賞されていました。国別では2つのグランプリと12のゴールドと、参加国でトップの結果でした。

フィルム、フィルムクラフト、ビデオスターカテゴリーの審査員長を務めたWain Choi氏(Cheil Worldwide)は審査を振りかえってこう言述べられました。「エントリーの中から私たち審査員が特に注目したポイントは、オリジナリティ、ブランドとの関連性(relevant)、そしてどのように実行(execution)されたか。」
ここでフィルムクラフト、ビデオスターのグランプリをご紹介しましょう。


フィルムクラフトカテゴリー グランプリ

Girl in the Mask(Operation Smile)

大気汚染された町で、人々は外出の度にマスクを着用している。一人の少女はマスクをしながらも、外で遊んでいるが、家に戻ってマスクを外すと、実は少女は口唇口蓋裂の患者だった。そしてタグラインが映し出される。

“With my mask on, I look like everyone else.”
Every 20 minutes, a child is born with a cleft condition in China.
「マスクをしていると、私は他の子たちと変わらない」

20分に一人、中国では口唇口蓋裂病で生まれている


ビデオカテゴリー(Branded Entertainment) グランプリ


Single Mask(The Glenlivet)

シングルモルトの父といわれているウィスキー「ザ・グレンリベット」のブランデッドムービー。タイの名匠アピチャッポンを彷彿させる、16分にもわたる作品。

以前広告会社の方が、広告祭はパーティーが大事とおっしゃっていたのですが、AD STARSも然り。毎晩のように場所を変えパーティーが開かれていました。広告業界ではまだまだ認知度が高くないBranded Shorts、なんでショートフィルム映画祭がここにいるの?と思われることも多かったのですが、期待を寄せる声も多く聞くことができました。


参加してみて考えたこと

以前博報堂ケトルの木村健太郎さんがアドタイへの寄稿記事で、AD STARSの国際広告祭としての姿勢を評価されていましたが、私も参加してみて、多少偏りはあるものの、国際色を組み込もうという姿勢は素晴らしいと思いました。そして、その中でどれだけ「オリジナリティー」を出せるのかが重要だと感じました。Branded Shortsも、国際映画祭から生まれた広告賞として、「オリジナル性」をきちんと確立していかないといけないと、改めて身が引き締まりました。そして、ネットワークが大事!ということ。短編映画祭には多く参加しているのもあり、短編映画業界ではそれなりの人脈があると思っているのですが、広告業界ではまだまだ…三年目を迎えるにあたって、これからも皆様からたくさんのアドバイスをいただくためにも、たくさん広告祭に参加しなくては(笑)!

AD STARS参加レポート①はこちらから!