「考え方」の考え方という本

指南役 著の『「考え方」の考え方』という本を読了。
昨年末の市の図書館リサイクル市にてもらってきた。
中身は見なかったが、なかなか面白そうなタイトルだとピンと来たのを覚えている。
少し寝かせた後、ようやく読み始めたが、これがなかなか面白い。
アイデアマンの指南役という3人のメンバーで構成された著者。
なんでも、さまざまな企画を考えるオーディションに応募して大金を得る、という賭けみたいな生活をしているらしい。あ、これは私の勝手な印象か・・・。
しかし何度も企画を採用され、賞金を手にしていることは間違いない。
そのアイデアを現実に出すまでの方法、アイデア、考え方の考え方を紹介した本である。
具体的な例を挙げながら非常にわかりやすく書かれていて面白かった。

印象に残っている内容を少し紹介する。

【初めにゴールを見る】
メディアクリエイターの佐藤雅彦さんは、何も映っていないテレビを眺めて、ここからどんな画や音が出てきたら観ている人が驚くか・・・とみている人たちをイメージしてCMのアイデアを考えたそう。つまり、ゴールとするものを視野に入れて考えていた。そこから生まれた数々のCMは、面白い視点から描かれていて、感心せずにはいられない。

【アイデアはある日突然ノックする】
コンコン。とそれは突然やってくるらしい。その時に備えて、一秒でメモ帳を取り出せるようにしておくことが重要だと言っている。確かに。しかし私のところには、車を運転している時や入浴中、寝る前にやってくることが多い。メモ帳・・・。無理~。クリエイティブな人の中には、音声で記録している人もいるらしい。なるほど。すぐに去っていくそれに備えて一時も気が抜けない。

【締め切りはクリエイティブの原動力】
これは漫画の神様・手塚治虫の言葉らしい。まだ1ページも描けていないのに、締め切りは明日。という追い込まれた状態で、手塚治虫は名作をつくってきたという。同じようなことをキングコング西野も今朝聴いたvoicyで言っていた。『やる気という幻想と締め切りというガソリン』というテーマだった気がする。バリバリ働く彼とて、決してモチベーションを原動力として仕事をしているわけではない。締め切りがあるからこそ良い作品が作り出せるのである。
 これと似た話が、先ほどの佐藤雅彦さん。大学で教鞭をとっていた際に、大学生に条件付きで課題を出した。すると、ものの5分で面白いアイデアが学生の中からいくつも飛び出した。そこで今度は、条件なしで自由にアイデアを出すように指示したところ、一向にいいアイデアが出なかったらしい。
このように、無期限・自由に!と言われると、逆に人間はいいアイデアは浮かばないものなのだ。

【説明しすぎない】
三谷幸喜が日本喜劇協会の授賞式で引用したグルーチョ・マルクスの有名な言葉というのを紹介している。
『玉ねぎは人を泣かせることはできる。しかしながら人を笑わせる野菜はまだ開発されていない』というもの。要するに、喜劇を作るのは悲劇を作るよりも難しいということを面白おかしく言っているらしい。なるほど。
1から10まですべて説明するのでは面白みに欠ける。聴いている・観ている人に考える猶予を与えることの必要性を述べているのだ。
 
【引き算することでプラスになる】
考える猶予、という点とも関連するのが引き算の美学について述べられている章だ。そこで紹介されている面白い例を一つ挙げるとすると、スピルバーグ監督の映画『ジョーズ』。2時間4分の映画のうち前半の1時間2分も、主役ともいえるジョーズの姿を映さなかった、という話。姿は見えないジョーズという存在が、観ている人の恐怖を誘ったのだそう。
う~む。面白い。
そのほか、スタバやキティーちゃんの引き算の話も紹介されており、これらもなるほど、と思わずにいられない内容だった。

【逆転の発想】
作用反作用の法則というものがある。例えば、子供に「早く宿題をやりなさい!」と言えば言うほどやらない。癇癪を起こす幼児に泣き止むように言えば言うほど癇癪はひどくなる・・・といったこと。
そこで逆の発想。「宿題なんてやらなくてもいいよ。昨日もやったんだから今日は休みなさい。」と言うと、子供は宿題をやり始めるのだ(私の子供で実証済み)。逆転の発想というのは面白い。私もこの方法で、クリニックにマスクを着けてこない患者さんにむけたポスターを書こうかなと思っている。

【プラクティカル・ジョーク】
人に迷惑をかけない、他愛もないイタズラの事らしい。
ここで面白いなーと思ったのが、エレベーターのイタズラ。よくこんな事思いつくなー。しかも誰も傷つかないし困らない。

この人の考えることは、視点が違う。本当に面白い!!なんなら、「おもしろい!!」と声に出しながら読んでいたと思う。(子供に何度か聞き返された。)実家の父や、仕事で接するクリエイティブな子供たち、たくさんの人の顔が浮かび、あの人もこの子も、きっとこの本好きだろうなー。と思いながら読了した。
いや~相性のいい本に出逢えた時の喜びといったら。今夜もいい夢が見られそうです。おやすみ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?