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レアモデル列伝-36 バブルの遺産 LEYTON HOUSE

 LEYTON HOUSE
 Wikipediaによれば、地上げ・オフィスビルやゴルフ場経営・六本木のディスコ経営等の事業を手広く展開していた不動産会社の「丸晶興産」の赤城明氏がスポンサーだったレーシングチーム名、英国はロンドンの特別区にある「LEYTON」という地名を元に「LEYTON HOUSE」と名付けたとされる。

 1980年代後半から1990年代前半の所謂バブル景気期にF-1、F3000、WEC等の国際格式レースで活躍した。また同名のアパレルも一世を風靡したと言われている。

 1991年のバブル景気崩壊と共に資金繰りが悪化し、赤城氏が不正融資事件に関与し逮捕されると、資金提供していた海外の金融会社からの送金がストップし、赤城氏はオーナー権を手放さざるを得ず、事業そのものも悪化、1998年6月に1670億円の負債を抱え破産宣告を受けた。

 オーナーの赤城明氏は2018.08.10に72歳で逝去されている。

 今回、このチームを取り上げた理由は、大手のモデルカー販売店であるRomuSparkに注文したIvan Capelliが駆るマーチ 881 F1で1988 年のポルトガルGP 2位(このチームの決勝最高位)の車がモデル。
 この車の設計者は現在Red Bullで連戦戦勝を重ねるAdrian Newey(エイドリアン・ニューウェイ)、空力の魔術師と呼ばれるが、フロントノーズの下にフロントウイングを通すことでフロントウイングの下面をディフューザーとして機能させ、フロントウィング全面でグラウンド・エフェクトを得るという空力設計手法を開発、車と路面の相性が良いと凄い速さを発揮すると言われていた。レイトンブルーと呼ばれるカラーは現在の派手な塗装の車と比べシンプルで見栄えが良い。

1/43 Spark(SP)製 LEYTON HOUSE 881 Portugal GP 2nd
Romuの特注したレアモデル

 所有しているレイトンブルー車は前述を入れて3台。
 最初に購入したモデルは1989年10月のFuji Grand Champion(グランチャン)(GC)最終戦(第6戦)で関谷正徳が駆ってGC最後の優勝車となったLEYTON MARCH 89GC。 Fuji speedway 50th Anniversary Collectionと名付けられた(Fuji speedwayでしか購入できない)モデルがヤフーオークションにかけられ落札。それまで細々集めていた GC Car(EBBROの計画では全車製作らしかったが、製作が遅々として進まず、その後倒産し、計画倒れとなった)は2座がメインであったが、このモデルは1979年から参戦可となった単座。

1/43 EBBRO(EB)製 左がLEYTON MARCH 89GC 1989 全日本GC選手権
(参考写真) 1989年 GCの最終戦での勇姿

 もう一台はこれにつられて、その後にこれまたヤフーオークションで落札した、これも関谷正徳が駆った無限ホンダエンジンを積んだ1988年にMCS(ムーンクラフトスペシャル)8 LEYTON HOUSE(LEYTON HOUSEの命名法が今一分からないがこのモデルはLEYTONと HOUSEの間に黒人のキャラクターが描かれているので1987年以前の車の様だが、1988年のこの図案は商標登録上の事項により現在も黒人の姿が残されている図案も散見される)戦績は不明。

1/43 MODELER'S製 TOM'S特注のMCS 8 LEYTON HOUSE
 LEYTONとHOUSEの間に籠を頭にのせた黒人が描かれているのは、商標登録上の事項による

 他にもモデルがあるのでそれを案内する。
先ずはF-1、Spark(SP)から1987年の March 871 Monaco GPBelgium GP 参戦車が発売されていた。88年モデルは IXO pour Altayaから上記と同じもでるが発売。
90年にもSPからMauricio Gugelmin がFrench GPで駆ったMarch CG901が発売されているが、購入するにはヤフーオークションやeBayを根気良く探し、高い言い値に納得するか、オークションで落札するしかない。

tay(参考モデル) 1/43 SP製  March 871 Belgium GP 1987
(参考モデル) 1/43 SP製  Ivan Capelli   March 871 Monaco GP 1987
(参考モデル)1/43  IXO pour Altaya製 Ivan Capelli  MARCH JUDO 881  1988
(参考モデル)1/43  SP製 March CG901 Mauricio Gugelmin French GP 1990

WEC参戦モデルは1989年のLe Mans参戦のPorsche 962CモデルがSPから発売されていた。

(参考モデル) 1/43   SP製 Porsche 962C #11 Leyton House, Le Mans 1989

市販車のレース仕上げも数台みられる。
モデル販売大手のKid BoxからはSP特注モデルが販売されていた。
 LEYTON HOUSEの名前を冠したレーシングチームを立ち上げたばかりの1986年4月、チームの顔である萩原光がSUGOでMercedes-Benz 190 Eのテスト中に事故死したモデルが少量発売された(モデルはFujiでのテストカー)。
もう一台はNissan SKYLINE Nismo RS TURBOを目にすることができる。

(参考モデル)1/43   SP製 Mercedes 190E 2.3-16 Leyton House Fuji Test Car 1985 Kid Box特注
(参考モデル) 1/43  京商製   JTCC #6 北野元/影山正彦 Nissan SKYLINE Nismo RS TURBO 1987
(参考モデル) 1/64   INNO Models製   Nissan SKYLINE Nismo RS TURBO 1987

他にminichampsやOnyxからも数台発売されていたし、1/24のプラモデルにも結構な種類が発売されていた。しかしこれらの車は戦績から見ると大して活躍している様に見えない。レイトンカラーに独特な雰囲気があり、単に車だけでなく、アパレル系にも影響した点で、結構な人々の記憶に残っていると思われる。モデル趣味の人間なら1台は持っていたいと思わせるのは、この色の印象が強烈だからであろう。
                               2024.05.26

 編集後記
 最近横浜に住む友人から、近所にあるLEYTON HOUSEの遺構写真が送られて来たので掲載する。会社は無くなったが、建物は今も活用されている様だ。

30年以上経つ様だが、史跡ではなく現役の建物だ

                               2024.05.28
 その後、自転車仲間で不動産関係の友人から報が。それによると、横浜の同潤会アパートがあった敷地に、高級賃貸マンションとして建築。その頃は珍しく英語が話せるフロントコンシェルジュ機能のあるマンションとして、海外からの駐在者に人気のマンションとして常に満室だったとの事で、その記念のテレカ等の写真が添えられていた。

記念のテレカ

結局、赤城氏に会った人や仕事を一緒にした人から、赤城氏を悪く言う人はいない。彼も大手の銀行に踊らされた犠牲者だった様だ。
                               2024.05.29


参考文献
・フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

・ニューズムック Racig on 富士グランチャン No.512 株式会社三栄 
東京 2021.05.01発刊


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