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フロムゲー初心者のSEKIRO感想記③『弾きと体幹を語ろう。河原田直盛と15回の激闘』

※この感想記はこちらの記事の続きです。↓

※ゲームのスクショは、この記事のために再度チャレンジしたもので初回プレイ時のものではありません。

「弾き」と「体幹」について語ろう

ここまでで既に2つも記事を書いてしまっていますが、ようやくです。
ようやく、SEKIROの核となるシステム「弾きと体幹」について語れる時がきました。
このシステム、本当に面白いです!
どれぐらい面白いかというと「唯一無二すぎて他のフロムゲーでも代替品がない面白さ」なんです。
実際、私は現在エルデンリングで遊んでいますが「あ、やっぱりSEKIROとは違うんだ」ということを、ひしひしと感じています。

どちらが面白いとかいう話ではなくて、全く違う手触りだなと感じるのです。
同じスポーツでも、サッカーと卓球ぐらいの違いがあると思います。スポーツやらないけど。

ちなみにこの「弾きと体幹」、面白いですが前記事で述べたような「SEKIROが難しいと言われる理由の一つ」だとも思います。
それこそ「マジで無理な人には無理なシステム」の域だと思うぐらいです。それぐらい独特です。
でも、独特ということは逆に言うと「ハマるとヤバいぐらい楽しい」ということ。
そして私も、そのヤバさに見事にハマってしまった一人というわけです。
唯一無二、万歳。人を選ぶ、どんと来い。

そんな「ここでしか味わえない味」を持ったゲームに出会えた時は、ゲームをやってて良かったと思います。

閑話休題。

では、「弾きと体幹」とは何か?見ていきたいと思います。


日本刀アクションをゲームとして実現させたシステム

ドラマや映画で時代劇を見ていると、カキーン!カキーン!という日本刀同士がぶつかるチャンバラアクションをよく見ます。
ただ、実際のところは、日本刀で刃と刃が交わると必ず刃こぼれを起こすそうです。
鋭くて薄い鉄と鉄がぶつかってるわけですから、まあ当然ですね。
なので映画のように頻繁に斬り結ぶということは難しいそうで、だいたいの日本刀は数回ぶつかるだけで、ダメになってしまうのだとか。

しかしやはり、フィクションだからこそ斬り結びは「かっこいいいいい!!!」と熱くなるロマンが詰まっています。
その斬り結ぶロマンを、これでもかという程に詰め込んだのが、「弾き」です。
「弾き」はザックリ言うとカウンターのようなもので。
敵が攻撃をしてくる時に、タイミングよくガードボタンを一瞬おすことで発動します。
弾きの成功時はオレンジ色のエフェクトが出るので、それが目印です。

すごくブレブレだけど弾きの成功エフェクト

ではこの「弾き」を成功させた時に何が起こるのかというと、実はこれでは相手の体力は減りません。
じゃあ何が減るのか?というと……。
「体幹ゲージ」が減るのです

「体幹」は体力とは別でゲージが設定されているものです。
この画像の↓敵の頭上に表示されている2本のゲージのうちの下側にあるゲージが「体幹ゲージ」です。

では「体幹」とは何か?
元々の語意としてはザックリ言うと「手足、頭、首を除いた、体の胴体の部分」を指すのだとか。
なるほど、「体の幹」というぐらいですから、体の中心部分をイメージするとわかりやすいようです。

そしてSEKIROにおいての「体幹ゲージ」は「体を支えることができる力」を指しています。
敵の「体幹ゲージ」「弾き」を成功させることで徐々に減っていきます。
相手の攻撃をうまく凌ぐことで、その力を逆に利用して体勢を崩させるというイメージかもしれません。
「体幹ゲージ」が切れると敵は、大きく態勢を崩します。
こうなると、体力に関係なく一撃で倒せる「忍殺」を発動させることができるのです。

体幹ゲージを削り切れば、一撃で相手を倒せる忍殺が発動する

「敵の攻撃をうまく「弾き」、「体幹ゲージ」を削り、「忍殺」で一気にとどめを刺す」
これがSEKIROの戦闘における基本的な流れになっています。
それと、「体幹ゲージ」は普通に相手の体力を減らすことでも、少しずつ削れます。
ダメージをうまく与えて相手の体勢を崩し、大きなチャンスを作る…というのも可能なわけです。
これだけ聞くとシンプルに見えますが、実はこの「体幹ゲージ」には1つの特徴があります。

「体幹ゲージは放っておくと、徐々に回復する」ということです。

体幹を減らしても、そこから更に攻撃や、再度の弾きをしないままだと、少しずつ相手の体幹ゲージは回復していってしまいます。
(これは主人公も同じです)
救済措置として、体力が減れば「体幹ゲージ」はそれに比例して回復しづらくなるので、全く努力が無駄になるというわけでもありません。
しかし様子を伺ってばかりでは、いつまで経っても体幹は減らせず、逆に攻撃を受ければこちらの体幹を減らされる。
自分の体幹ゲージがなくなってしまうと、大きく体勢を崩してしまい大ダメージをもらってしまいます。
こうなると、どんどん不利になるばかり。ジリ貧です。

これによって、どんな戦闘が起こりうるのか?

相手の攻撃を躱す!防ぐ!時には受けて弾く!
思い切って攻める!体幹を削る!
でも、放っておくと相手の体幹は回復する!
だから素早く追い討ちをかける!

そしてまた相手の攻撃を見切り、弾く!

この一連の流れが物凄い勢いで繰り返され、まさに映画で見たような日本刀アクションが実現されるのです。
本当はSEKIROのアクションを形作るものは他にも沢山あるのですが…ひとまず、今回はここまで。
残りは「弾きと体幹」のシステムを踏まえて、私にとって思い出深い一人の中ボスについて語りたいと思います。

SEKIROの先生、河原田直盛と15回の激闘

私のSEKIRO体験を語る上で、決して忘れられない中ボスが一人います。

めちゃくちゃ小さくしか撮れなかったけど、宿敵の河原田直盛

それがこちらの「河原田 直盛」です。

ゲーム中ではメインストーリーの2番目に出てくる中ボスという立ち位置で、もしかしたら、人によってはあっさり倒せた方もいるかもしれません。
ですが、私はこの中ボスに物凄く苦戦しました。
具体的には15回ぐらいやられたと思います。
ぶっちゃけ「私のSEKIROチャレンジ、もう終わるのか?」と思った程です。
でも、本当に本当に、この中ボスと戦って良かったと今でも思います。
それについて語らせてください。

先に述べたように、河原田直盛はストーリー中で2番目に戦う中ボス。
普通のゲームですと、これぐらいにでてくる序盤のボスというのは、ちょっと頑張れば倒せるぐらいの緩い練習相手というイメージです。
が、そんな私の甘い考えは粉々に砕かれてしまいました。

た、倒せない…!!!何度やっても倒せない!!!
積み重なる「死」の画像。ゴーンというゲームオーバーの音。
今までの雑魚敵のようにゴリ押しも通用せず、わけもわからぬうちに倒されてしまう。
「こ、これは……本格的に攻略方法を考えないといけない…!」
「調べよう!」
もちろん自分で攻略法を確立するのもありですが、私はフロムゲーどころかアクションゲームの経験値すら殆どありませんでした。
(モンハンとかデビルメイクライしかやったことない。しかもゴリ押し)
自分がなんでやられるのかわからないし、そもそも自分がなにをやってるのかもわからない。
言うなれば教科書も見ずに国語を習っている状態。文字の読み方すらわかっていないのです。
そんな状態で悪戯に負けの回数だけ重ねても、成長はありません。
こうなっては、恥も外聞もあったものではない。
教科書を見よう!と思い立ちグーグル先生の叡智を借りることに。
検索ワードはもちろん「河原田直盛 倒し方」です。
すぐさま攻略サイトへ飛び、既に河原田直盛を倒している先輩諸氏の攻略方法を拝見しました。
そして、たくさんの学びがそこにあったのです。

パソコンも使える忍者の鑑

学び①:「解答」を探し、攻めることを恐れない

まず大前提として、SEKIROでは全ての敵の行動に対して「正しい対処法」があることを学びました。
例えば、
下段攻撃はジャンプして上へ避ければ、相手を踏みつけることができる。
掴みかかられそうになったら、後ろへステップ回避。
などなど。
「この攻撃がきたらこの対処をすればいい」という「解答」が決まっているのです。
シンプルな斬撃ひとつをとっても、やみくもに逃げては無意味です。
相手が振り回しているのは日本刀です。妙な方向へ逃げても刀の長さゆえに、捕まってしまいます。
(しかもいやらしいことに、敵の刀は狼さんの刀より大きめに作ってあります)
回避するにしても、避ける方向をきちんと見極める。
あるいは、下手に避けるよりあえて受けてガード、弾けばいい事もあります。

河原田直盛は、序盤にしては技のレパートリーが多く、翻弄されがちです。しかしその全てに、適切な対処法、解答が用意されている。
「これがきたら、こう!」
それはさながら、ジャンケンを高速で繰り返すイメージです。
相手がグーを出そうとしたら、すぐにパーを出す!

ひとつひとつの解答を、素早く積み重ねること。
最初はその速度についていけないかもしれない。
でも解答と、その解答を繰り出すタイミングを覚えればどんな強力な攻撃も、反撃のチャンスに変えることができる。

また、相手の技が多いからといって様子見ばかりしていてはいけません。
それでは逆に、相手の技ばかりを出させることになり、相手のペースに持ち込まれます。
すると、こちらは守勢に回ってばかりで、いつまで経っても決定打をだせないのです。

だから、あえて攻める。攻めれば向こうは防御姿勢を取る。これが大事です。
日本刀で戦うからこそ起きうる現象。
刀で刀を防ぐからこそ、攻めれば相手の技を封じることができる。
そ、そうだ。これが日本刀のアクション…!
攻撃こそ最大の防御!凄いロマンだ…!!!
これはマジで目から鱗が100枚ぐらい落ちました。
SEKIROの、唯一無二のアクションがこれなんです。

学び②:一度に100点を出そうとするな。60点、30点、10点を積み重ねて、100点にしろ。

攻略サイトを見ていて、こんなことが書かれていたのをよく覚えています。「弾き」は連打すると成功確率が下がる。タイミングを覚えてないうちは、ボタンを押しっぱなしにしてガードに繋げよう。
みたいなことです。

前述したとおり、「弾き」は敵の攻撃に合わせてタイミングよく、ガードボタンを一瞬押すことで発動します。
でも一瞬押せばいいからと言って、連打すると「弾き」の成功確率は下がるように作られているのです。連打対策ですね。
だから慌てて「弾き」をやろうと連打して失敗するより、きちんとボタンを押しっぱなしにしてガードする。
「弾き」はその時にタイミング良く発動すればラッキーぐらいの意識にした方がいい、ということです。

「そういえば…」と思いました。
思えば私は「ジャンプしたら踏み付けを発生させよう」とか「弾きを必ず成功させよう」とか、一つ一つの動きに完璧を求めすぎていました。
しかしそれらはあくまで勝つための一つの方法であって、勝ちそのものではありません。
完璧な結果を求めすぎると、力んで緊張してしまい、本来果たすべき目的も見失ってしまいます。
おまけに私は相当な緊張しいです。それで死んでいては本末転倒。
いちいち小さな失敗に狼狽えてしまい、普通ならできることもできなくなってしまう。
目的は100点を取ることではない。60点、40点、あるいは小さな10点、5点を出し続けること。
見苦しくてもいいから、生き残る。
それさえできれば、死ぬことはない。死にさえしなければ、次へ繋げられる。
これを続ければ、結果的に「勝利」という本当の100点を掴むことができます。

この「一度に100点を出さなくていい」という考えは、今後のSEKIROを遊ぶ上で私の大きな糧になりました。

勝利、けれども不安

さて、そうやって成程成程と、攻略サイトを見ていた時です。
驚くべき事実が発覚しました。

河原田直盛は、1ゲージ目を相手に気づかれず、背後忍殺で楽して削れるのです。

SEKIROのボスは、そのほとんどが忍殺ゲージが2個設定されています。
なので普通の雑魚敵とは違って、一度「忍殺」を決めただけでは倒れず、2回目の「忍殺」を決める必要があるのです。

そして河原田直盛は、ステージの特定のルートを通れば、気づかれずに背後をとれる。
そこから「忍殺」してゲージを一本削ることができるというのです。
さすがにこれは心が揺れました。
だって既に、ここまでで私は10回近く死んでいます。
それをちょっとでも楽して、忍殺ゲージを削る方法があるなら、利用するのも手ではないかと。

「で、でも……」

「でも…忍殺は全部、戦闘で削ってみたい…!」

確かに楽できるかもしれない、戦略としてはそれは決して間違っちゃいない。
でも、でも。
でも、練習してたら一本、忍殺を取れたんだ。
だったら二本とるのだってできる筈だ。

もうここまできたら意地です。
幸い、攻略サイトのおかげで河原田直盛がどんな技を繰り出してくるかは把握できました。
あとはとにかく挑戦回数を重ねる!生き残ってちょっとでも経験値を貯めること!
剣戟を凌ぎ、下段攻撃を回避し…!

とった!一本!
残り一本!焦らなければいける!大事なのは死なないこと、積み重ね!

そして…もはや緊迫感で息を止めてプレイしながらついに……!

た…………………
倒せた……………………!!!!!!!

河原田直盛…………いや、河原田先生と呼ばせてください………!!!!!
ありがとう、本当にありがとう。
この戦いで数えきれないほどの学びを得た気がします。
苦しかったし大変だったけど、それ以上に倒せたという興奮と達成感が満ち溢れていました。
しかし、すぐに胸中には嬉しさよりも不安が渦巻いていました。

「今から15回近くもやられていて、今後大丈夫だろうか……」

だって相手はボスですらない、中ボスです。そこでこんなに苦労してるのです。
結構ゴリ押しだし、弾きとかまだ甘いし。相手の攻撃だって完全に見切ったとは言えないし。
できないことは山積みです。

「でも、こんな自分でも15回戦えば、河原田直盛を倒せた」
「だったらラスボスも、100回でも500回でも挑めばいけるんじゃないか?」

どんなに負けても「一度でも勝てた」という結果がつくと、妙な自信がわいてきます。
「ひょっとしたら、次もいけるんじゃないだろうか」と。
何はともあれ、まずは一歩前進。
「次は50回死ぬのかな…それとも100回だろうか…500回とか…」

「まあ、それぐらいやれば1回ぐらいは…いけるかなあ……」

大きな不安と、しかしその中で掴んだ僅かな希望を糧に、旅は続きます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーではでは、今回はこの辺で。次回へ続きます。
次回更新は4月24日(日)20時の予定です。よろしければ、また読んでいただけますと嬉しいです。

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