「ジェンダーギャップ指数」(男女性差別実態)が依然根強い二流先進国「日本社会の古きよき慣習」は別姓さえまともに認めない世界のなかでは希有の国柄
※-1 ジェンダーギャップ指数が今年もニュースになったので,その関連する記事を,2024年6月12日の新聞夕刊から6月13日朝刊にかけて,どのように報道されたか(※2以降にもかけて記述)
「 日本の男女平等指数 118位 政治は改善,格差解消道半ば ダイバーシティ『日本経済新聞』2024年6月12日 7:01,https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR11DP90R10C24A6000000/
【パリ=北松円香】 世界経済フォーラム(WEF)は〔6月〕12日,男女平等の実現度合いを数値にした「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。
日本の順位は調査対象の146カ国中 118位で,前年より7位上昇した。政治分野での評価がやや改善した。主要国と比べると管理職に占める女性の少なさなどが目立ち,不平等の解消は道半ばだ。
補注)この段落は瞬間風速的にこの話題を報じているが,日本のこのジェンダーギャップ指数の順位は,正直いってミットモナイほど低い。このそれほど低いという順位である事実を,まず念頭においてこの「男女性差別」の問題を受けとめる余地がある。
その順位そのものの上下変動に一喜一憂するのではなく,なにゆえ,日本は最近100番以下の順位に着けつづけているのか,そのミットモナイ様相に注目しなければならない。
〔記事に戻る→〕 WEFの調査は「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野で男女平等の度合いを毎年分析している。完全に実現できている場合は1,まったくできていない場合をゼロとして各分野ごとに指数化し,総合評価のランキングとして発表する。
日本は政治分野の順位が前年の 138位から 113位に上昇し,総合評価を押し上げた。閣僚のうち4分の1が女性になり,8%にすぎなかった前年調査時点から改善したと指摘した。
経済は120位と前年(123位)とほぼ同水準だった。教育は72位,健康は58位だった。議員や企業管理職の女性比率が低く,似たような職務における男性との賃金格差が大きい点なども依然課題だ。
〔2024年6月〕12日発表の報告書では世界全体の傾向として2023年の調査と比べた男女平等の度合いはほとんど変わっていないと分析し,「現在のデータに基づけば,完全な男女平等の達成には134年かかる」と指摘した。
補注)この「現在のデータに基づけば,完全な男女平等の達成には134年かかる」という指摘を聞いて,なんというか絶句させられる気分になった。この指摘が,かつては「経済大国でジャパン as No.1」と称賛されたはずのこの日本国の現状であり,それも女性差別の実情を調査した〈ある結果〉として報告された中味なのである。
〔記事に戻る→〕 国別の総合評価トップは昨〔2023〕年に続きアイスランドだった。フィンランド,ノルウェー,スウェーデンといった北欧の国々も引きつづき10位内に入った。欧州以外の国ではニュージーランドやナミビア,ニカラグアも上位だった。
以上のように日経が報道した記事には,つぎのような感想が読者から寄せられている。読者といっても以下に登場する人物は,社会層としてエリートに属する人士である。
※-2 2024 ジェンダーギャップ指数を報じた新聞記事の紹介
1)2024年6月12日夕刊発行時における関連の報道
まず,『日本経済新聞』2024年6月12日夕刊1面に冒頭記事として,大きく報道されていたのがこの記事。
この記事,「過去最低から上昇」とも記しているが,このジェンダーギャップ指数が100位以下になってからの日本,いままでずっと,なかなかはい上がれないままで来た。
つぎに紹介する図表は,1年前に『静岡新聞』が作成した「G7各国のジェンダーギャップ指数の推移」である。なおこれは昨年,2023年の6月にこの指数が発表されたときの,記事のなかに出ていた図表であった。
安倍晋三の第1次政権(2006年9月16日から2007年9月16日の1年しかもたなかった政権)の時期から始まっていたが,日本はこのジェンダーギャップ指数に関してならば,G7各国のなかで断然ビリである立場を確固と(持続可能的に?)占めてきたことになる。
もしかすると「G7から日本は落第だ」という印象すら避けられないくらい,実にみっともなく,かつまただらしがない順位がずっと継続してきた。
2) そして,2024年6月12日の『毎日新聞』夕刊の記事。この報道には図表は作成・添付されていなかった。多分,関連の図表など提示したくない気分で,毎日新聞は報じたつもりだったのか?
さらに『朝日新聞』2024年6月12日夕刊(この時刻相当における)の報道。こちらは「日本に比較したらよいのはどの国か」という具合に観てみたいが,その点は表の下に註記的に若干書いてみた。
3) 2024年6月13日朝刊発行時における関連の報道
まず,ジェンダーギャップ指数に関した「図表(順位表)」は添えないで記事を書き,報道していた『毎日新聞』朝刊から紹介しておく。この記事はその1面のほぼ中央に,囲み記事的に配置されていた。
つぎに,『日本経済新聞』2024年6月13日朝刊2面に掲載されていたこの記事を紹介する。
前段のような「図表の付記」(脚注的な説明)に関しては,「日本におけるジェンダーギャップ指数の順位改善のみこみが牛歩だ」といわれるほかなかった事情を説明した,つまり,その順位を年ごと「時系列にその順位を並べた」図表を,下段に紹介してみたい。
この図表の時期は当然,安倍晋三の第2次政権時(2012年12月26日から2020年9月16日)に重ねて観察してみる必要もあった。この安倍政権の時期にはジェンダーギャップ指数は10位落ちていた。ともかく,政治次元の出来:評価があいもかわらず悪い。
結局,悪政・失政・愚政のオンパレード政権を構築・展開させた「安倍晋三君のセイでこうなったよね」といわねばならない難所が,実にたくさん発生していた。
また,岸田文雄君が首相になってからは「116⇒125⇒118位」という推移で,全然パッとしていないどころか,先進国だったつもりのこの国にしては,どん底付近をうろつきまわっている。
※-3 日本におけるジェンダーギャップ指数の改善に関連する具体的な問題「別姓」で焦りはじめた財界
以上のごときに,毎年6月になると恒例で公表される「ジェンダーギャップ指数」に関連しては,『日本経済新聞』2024年6月11日朝刊5面「経済・政策」欄に,つぎのような記事が出ていた。注目に値する報道ではなかったか感じた。つぎにかかげる記事は,2つの記事から合成してある。
以上のごときに,最新のニュースで話題になった「ジェンダーギャップ指数の〈日本的特徴-その推移と事情-〉」の全体像をしるための記述をおこなってみたつもりである。
ここではさらに,つぎのごときの関係するある記事(▲-1)の参照を勧めたうえで,べつのまた関連するある記事(▲-2)の意見も紹介しておきたい。
▲-1「ジェンダーギャップ指数とは 問題点をわかりやすく解説」
『 kaonavi 人事用語集』2023年7月27日,https://www.kaonavi.jp/dictionary/gender_gap_shisu/ (これは題名のみ紹介)
▲-2「2022 ジェンダー・ギャップ指数世界 116位,男女格差を埋めるには」『読売新聞』2022/07/13 07:05,https://www.yomiuri.co.jp/otekomachi/20220712-OKT8T345422/
この▲-2の記事は「【特別寄稿】 世界経済フォーラム日本代表 江田麻季子」が執筆していた。2年前の記述であったが,ジェンダーギャップ指数の問題を再考するうえで参考になる議論を披露していた。
以下に引照する。
世界経済フォーラムが〔2022年7月〕13日に発表したジェンダー・ギャップ指数(経済,政治,教育,健康の4分野で男女の格差を数値化したもの)で,日本は先進7か国(G7)のうち最下位,世界146か国中116位(2021年は156か国中120位)であった。
安倍元首相が2014年に「女性の活躍推進」を成長戦略の柱に位置づけたのを機に女性活躍をめぐるさまざ々な施策がとられてきたが,依然として男女格差が色濃く残っている。
世界経済フォーラム日本代表の江田麻季子が,フォーラムのジェンダー・ギャップレポートについて,大手小町に特別寄稿した。
補注)なおこの「大手小町」とは,「読売新聞が運営する女性向け掲示板で,女性のホンネが分かる「ネット版井戸端会議」の場です」との説明があった。
江田麻季子はつぎのように論及していた。
a) 多様性はイノベーションの源泉
ダイバーシティーは,もちろん男女平等のみを意味とするものだけではない。一方で,女性は少数派のなかで最大のグループであり,女性が活躍できないということは,その企業や組織に少数派を登用し多様性を深める能力が乏しいことを意味する。
世界経済フォーラムによる最新のジェンダー・ギャップ指数では,日本は再び,G7諸国のなかで最下位となった。これは,女性だけでなく,他のマイノリティーグループも取り残されていることを明確に示すものである。
多様性はイノベーションの源泉であり,とくに経済成長率の低い日本にとっては,国の成長に欠かすことのできない要素である。日本でも,男女共同参画の意識が高まり,ようやくオープンな議論になりつつあるように感じる。
世論も男女平等を後押ししているようで,性別にとらわれない考え方が浸透し,ほんの数年前なら笑って見過ごされたような行動や言動を見直す動きが出てきている。
東京オリンピックを前に,開閉会式の演出の統括だったクリエイティブ・ディレクターが,ある女性タレントの容姿を侮辱するような案を伝えていたとして退任を余儀なくされた。
さらに,政治や経済の分野でも,徐々に女性がリーダーシップを発揮するようになってきている。昨春,経団連は,75年の歴史上初めて女性の副会長にディー・エヌ・エーの創業者であり会長の南場智子氏を任命した。
政府の政策面においても,男性の育児休暇取得を促進するなど,進展がみられる。2022年6月,岸田内閣のもとまとめられた,「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針),「新しい資本主義のグランドデザインおよび実行計画」では,人への投資が大きな焦点になることが示唆されています。
補注)昨日(6月12日)までの報道でも,このことば「骨太」という用語がほかの案件で岸田文雄首相の口から出ていたが,いまごろになってまた,コトバだけの「骨太」の表現という実態と受けとるほかないとなれば,この「世襲3代目の政治屋」に向けては「おまいう」だと反発するほかない。
コトバで現実を糊塗するな,ことばで飾るな,言葉だけでなにかが成就できたかのように虚言するな,などといってみたくなる。
〔記事に戻る→〕 賃上げや能力開発の推進と並んで,「多様性の尊重と選択の柔軟性」がかかげられ,性別に関係なく働ける環境づくりや柔軟性の確保が求められている。
もっとも注目されるのは,男女間の賃金差の開示を企業に義務付けることである。また,より多くの女性の雇用の制約となっている社会保障制度や税制を,実態に即して見直すべきとも言及されている。
このように政策・制度面,とくに女性の雇用促進の観点からみると,今後の男女共同参画の環境は一定の改善が期待される。
そして少し前と比較すると,日本における男女共同参画に関する問題意識の浸透,課題の明確化,基本方針における手当や対策が,ある程度進んできたといえる。
b) 女性の社会進出を阻むもの
一方で,日本では制度面での改善はあるものの,社内の雰囲気から男性が育児休暇を取ることをためらう傾向があり,家庭での家事分担も女性に偏っているため,結果的に女性の社会進出を阻んでいることも事実である。
男女共同参画の動きが加速するか,それとも「男女共同参画」があまり改善されないまま一過性の流行語になってしまうかは,政府が政策的に主導するだけでなく,民間企業がどう対応するか,個人の意識や行動がどう変わるか,変わることができるかどうかにかかっている。
「新しい資本主義のグランドデザイン」の発表と同時期に,「女性版骨太の方針2022」も発表され,女性の活躍と男女平等の観点から重点課題が絞られていた。
ここでは,昭和の時代に形成された諸制度,男女間の賃金格差などの労働慣行,固定的な性別役割分担意識などの構造的問題が指摘され,女性の経済的自立や,男性が家庭や地域社会で積極的な役割を果たすことについても触れている。
補注)ところで,「昭和の時代」といっても敗戦をはさんで大きくさまがわりしてきたのが,この昭和の足かけ64年なのだから,このように「昭和の時代の一言」で,この時代がひとくくりにできるかのように語るのは,完全に間違っている。
おそらくこの昭和の時代というのは,高度経済成長時代に日本が入っていた「1960年代前後あたりからバブル経済崩壊前後まで」をとらえたつもりで使用されている。
けれども,その後の「失われた10年」を3周回以上も反復しているこの日本において,現在の語るさいに「昭和の時代」をもちだし,比較論史的にとりあげるのは,たいした意味がない。
歴史はノスタルジアで語りつくせるものならばともかく,もっと史実に即した議論・解明が要求されている。なによりも感傷的なものいいに偏った説明は,それこそまともな説明にはなりえない。
〔記事に戻る→〕 このなかでも指摘されているように,男女共同参画は,ある特別な救済策で解決できるものではなく,個人の意識を含め,構造的な問題をひとつずつ解明し,解決していかなければ達成できない。
ダイバーシティーを取りこむ力は,性別に限らず,国籍,年齢,人種といった多様性の要素をさらに確実なものとし,社会全体の機運の醸成,オープンな議論,一人ひとりの意識と行動の変化をさらに生み出すのである。
そうしたなか,男女共同参画の実現には,政府,民間企業,市民社会が一体となって取り組む必要があるけれども,とくに若い世代が社会問題に関心をもち,社会起業家として活躍する事例がみられるのは心強い。
世界経済フォーラムにおいては,日本政府(内閣府男女共同参画局)および企業と協力し,とくに,経済分野における男女共同参画を加速させるために「ジェンダー・ギャップ解消・アクセラレーター」イニシアティブを立ち上げている。
資本主義のあり方が見直されているいま,官民一体となって社会的課題に取り組む事例として,ポジティブな変化の一翼を担えればと願っている。
政策や制度の枠組みは整いつつある。官民協力は,これらの枠組みを活用して,ジェンダーギャップを埋めるだけでなく,より包括的な社会の構築に向けた変化を起こすために不可欠といえる。
江田麻季子のいいぶんはもっともなことがらばかりである。基調としては確かにそうであったと肯定できる。だが,この主張を妨げている日本的な現実のほうが,産業界のなかでは優勢であった。
その改善のための方向性を確実に示す努力が不可欠であることは当然であるが,それを阻害し,排斥する日本社会の慣習,因習,陋習が企業経営のなかで,まだまだ残存しているとなれば,
「資本本主義のあり方が見直されているいま,官民一体となって社会的課題に取り組む事例として,ポジティブな変化」というものが期待できるかといったところで,そうは簡単にものごとが進捗するわけではい。
現状の日本産業界,最近は自動車製造業が大問題を惹起させている。経済産業省のつぎの言及に概要は訊いてほしいが,このままだとトヨタが東芝のようになるとさえ心配する声まで挙がっている。
その問題の概要については,つぎを参照されたい。
★「自動車メーカー5社の型式指定申請における不正行為について」(国土交通省による型式指定申請における不正行為の有無等に関する自動車メーカー等の調査報告の結果等の公表に関して)『経済産業省』https://www.meti.go.jp/press/2024/06/20240603009/20240603009.html
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