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北朝鮮拉致問題(1)ー 蓮池 薫は拉致加害者でもあったのか

 ※-1 古川利明『〈さるぐつわ〉の祖国』(第三書館,2011年)は,北朝鮮拉致被害者の蓮池 薫は拉致加害者でもあったと指摘した

 本日のこの記述で吟味する問題は,こう表現することもできる。すなわち「忘れられる前に忘れられた問題」があったといえそうだが,それは「北朝鮮による日本人拉致被害者」をめぐって起きていたと推定可能なある事例として,あの国の工作員要員として拉致され,そして利用された場合にみいだせる。

 付記)冒頭の画像は古川利明『〈さるぐつわ〉の祖国-朝鮮拉致被害者たちはなぜ日本で「何もしゃべれない」のか?-』の表紙カバーから切りとって借りた。ここでは,その表紙カバー「表・裏」全体も紹介しておく。

表紙・カバー「表」
表紙・カバー「裏」

 本文中からも,本日のこの記述全体に関係する箇所となりそうな頁を,まえもって紹介しておく。 

蓮池 薫は横井邦彦を拉致しようとした

付記)この記述は初出は2016年5月4日であったが,ここに提示されていた疑問はいまだに,当事者から説明あるいは批判などがなされたことはなく,完全に無視されている。

 安倍晋三の第2次政権が2012年12月26日に成立・発足していたが,北朝鮮による日本人拉致問題の利用価値は,晋三にとってこのうえなく良質の具材であった事実にみいだせる。
 

 ※-2 古川利明『〈さるぐつわ〉の祖国-朝鮮拉致被害者たちはなぜ日本で「何もしゃべれない」のか?-』第三書館,2011年9月

 本ブログ筆者は2016年になってからだったが,Amazon の通販でこの本,古川利明『〈さるぐつわ〉の祖国-朝鮮拉致被害者たちはなぜ日本で「何もしゃべれない」のか?-』(第三書館,2011年9月)を購入し(ちなみに本体の価格は¥192-で,+ 送料)読んでみた。

 その感想としては,いままではっきりと認識できていなかった「当然の事実」,すなわち,蓮池 薫を代表的な人物として挙げて話題にすることになるが,彼は第1義的にはもちろん「拉致被害者であった」ことは事実であったけれども,北朝鮮にすっかり洗脳されてしまい,あの国の工作員として日本に潜入(密入国)し,第2義的には「実際に日本人を拉致する側(加害者)の立場」になって,「北朝鮮のために働いていたその事実」があったことに関して,いろいろ湧いてきた。

 補注)この点(事実)は,蓮池 薫『拉致と決断』(新潮社,2012年)を注意深く読めば,さらに理解できる問題性である。北朝鮮の支持者は『在日朝鮮人』(主に日本で生まれいままで生きてきた朝鮮総聯系の人びと)であっても,その洗脳をあらためて「洗い流す作業」には非常な困難が控えていた事実からも,前段の指摘の妥当性・合理性が理解できる。もっとも「北朝鮮のために働く事実」というものの内容は,なにも拉致の任務・作業だけではないが……。

 補注)公平を期すためにまえもって,つぎの記事も紹介しておく。こちらはこの記述が前後して述べる内容に疑義を呈している記事である。

 「蓮池さんが日本人拉致? 『週刊現代」特ダネの真贋』」(『JCAST ニュース』2006/12/26 19:08,http://www.j-cast.com/2006/12/26004615.html?p=all)

 しかし,この記事は,北朝鮮という国の特殊性をまともに踏まえた記事ではない。常識など通用しないあの国家体制をどう理解するか,相当慎重な態度・視座が要求されている。

 古川利明『〈さるぐつわ〉の祖国-朝鮮拉致被害者たちはなぜ日本で「何もしゃべれない」のか?-』は,本文の316頁以下で,本日のこの記述がとりあげようとする中身に言及していた。

 なお,前段『J-CASTニュース』の記述が引照していたのは,『週刊現代』2007年1月6・13日合併号に掲載されていた「◆つぎの記事◆」の内容であった。この内容を以下に紹介する。

  ◆ 横井邦彦稿,家族会の暗部 蓮池 薫さんは
      拉致工作員として日本に上陸していた(反米嫌日戦線)◆

 a) 拉致家族も拉致実行犯であったことを隠して,世論操作する安倍内閣。本日発売(2007年1月時点の話),週刊現代の衝撃スクープだ。

 この記事によれば,社会主義労働者党を結成した横井邦彦氏が北名古屋市鴨田小教諭だった1986年3月18日,卒業式予行演習後の体育館に侵入した蓮池氏に声をかけられ,他の複数の工作員により拉致されそうになったという。

 横井氏の証言によれば,国政選挙の候補予定者(同年7月の参院選に出馬落選)が失踪すれば,警察が黙っていないと告げると,蓮池氏は,拉致を断念し「口外したら命はないぞ」と捨て台詞をいい去っていったそうだ。

 出所)つぎの画像はツイッター画面( https://twitter.com/zr8k )から拾ったが,横井邦彦と名のっている人である(現在はハンドルネームに変更されており実名はかかげていない)。そのつぎにかかげた古川利明『〈さるぐつわ〉の祖国』316頁の「画像の人物」と一致するものにみえる。

街宣中の横井邦彦
生きているシーラカンスとは多分
横井邦彦自身を示唆
横井邦彦・画像2葉
前段の街頭で情宣活動をしている横井が一番若い時で
つづいてこの段の左側から右側へと加齢

〔記事に戻る→〕 「蓮池氏ら拉致被害者5人が帰国してから,内閣府拉致問題・連絡調整室,外務省北東アジア課,新潟警察の3つの部署が,5人に対し個別に任意で話を聞いてきました。なかでも一番詳しく聴取したのは,内閣府拉致問題・連絡調整室です。内閣府には『蓮池ファイル』と呼ばれる膨大な証言録があって,外務省も必要に応じて問い合わせていました。

 当時このファイルを管理していたのは,現在,首相首席秘書官を務める井上義行氏ですが,実際にファイルを作成したのは,蓮池氏への面会担当者でもあった小城徳勇氏です」(外務省元北朝鮮関係者)。蓮池氏は,「金 日成政治軍事大学を卒業して,烽火大学に進学した」と横井氏に話したという。

 これが真実としたら,蓮池 薫氏はスパイのエリートであったこととなる。横田めぐみさんもスパイに日本語を教えていたそうだし,拉致被害者が拉致実行犯になる可能性を否定することはできない。いままで,マスコミは一部を除き,拉致家族会のいいなり報道に終始していた。

 補注)もちろん蓮池 透・薫の兄弟側は,以上の話題に対してつぎのように反論していた。議論の中身に公平性と中立性を保持するうえで必要と判断し,引用しておく。

 〔日本〕政府の拉致問題対策本部は〔2006年〕12月25日,記事に対して「まったくの事実無根だ」とする文書を『週刊現代』発行元の講談社に送付した。蓮池〔薫〕さん自身も「荒唐無稽な作り話」と,抗議文を送付した。

 註記)「蓮池〔薫〕さんが日本人拉致? 『週刊現代』特ダネの真贋」『J-CASTニュース』2006年12月26日19時08分,https://www.j-cast.com/2006/12/26004615.html?p=all

蓮池〔薫〕さん自身が日本人拉致?

〔記事に戻る→〕 宮崎 学は〔2006年〕10月の一水会フォーラムにて,拉致家族会に対するこのような報道の姿勢を批判している。それと,気になるのが,拉致問題に関しての報道のあり方なんです。これも,悪役と被害者というものをきわめて対照的に描いている。事実,被害者は宮崎 学被害者なんですがね。被害者の立場にあまりにも感情移入しすぎている傾向がある。僕はそのように思います。

 補注)宮崎 学は,日本の評論家・ノンフィクション作家・小説家,1945年10月25日京都府京都市伏見区深草福稲高松町生まれ,2022年3月30日死去。3億円強奪事件の犯人と疑われた体験をもつ。早稲田大学在学中は学生運動に走ったが,社会人となってからは,執筆家として実力を発揮した。反社会的集団としてだけヤクザ諸組織を観察する世間の価値感を,徹底的に批判しつつ,その問題性を説明していた。
 
【参考画像】-宮崎 学「訃報記事」など-

宮崎 学「訃報記事」
グリコ・森永事件の関連を疑われた宮崎 学

〔記事に戻る→〕 ですから,これは劇場型ということであれば,あるとき,これは醒めるときがくる。そういう種類のものだろうと。これは,皆さんご異論があるだろうと思いますが,拉致被害者が小泉純一郎がいって帰ってきた。何人か帰されてきましたが,この時に僕がいったのは,残された人たち,あるいは殺された人たちがいますね。

 この人たちと,帰った人たちの関係はきちっと報道されているのだろうか。つまり,一番しっているのは帰ってきた人たちなんですわ。その人たちは責務としていう必要がある。僕はそう思ったわけですね。すぐに批判を受けたわけですけれども。報道のあり方として考えた場合に,そう思うわけです。

 簡単に想像できるのは,残された人は,北朝鮮に反抗的な人,帰ってきた人は,北朝鮮に忠誠を誓っている人,美しい国の北朝鮮に「愛国心」をもっている人ってこと。まさか,祖国北朝鮮を裏切り,日本に帰らないだろうと思われた人たちのみを,北は日本に「一時帰国」させた。

 北朝鮮が拉致事件に関して当事者でありながら強行な態度に出ているのは,帰国した拉致被害者が,拉致の実行犯でもあったことに起因しているのではないか? 安倍政権の支持率維持〔これは第1次安倍晋三政権時の話であるが〕に,拉致問題が利用されている現実をどう思っているのか?

 蓮池氏よ,真実を語ってくれ。

 b) 正直にいいます。いまさら隠していてもしかたがありませんので,私がしっていることをすべていいます。私(横井邦彦)は1986年に,日本で蓮池 薫氏に会っています。正確には,拉致されそうになったという方が正しいいい方だと思います。拉致被害者が日本で拉致未遂事件を起こしていたなどという話は,にわかに信じがたいからこれまで黙っていたのです。

 補注)蓮池 薫が北朝鮮に拉致されたのは,1978年7月31日。なおこういう指摘がある。蓮池が2002年10月15日に「帰国後,地村〔保志と富貴恵夫妻〕から『先生』と呼ばれていたことなどから,帰国者5人の中でも目付役的な存在と目されたが,本人はこれを否定」。

 註記)http://nyt.trycomp.net/jokyo/05.html この住所は現在〔2023年5月30日時点では削除状態。
 補注)ただし,朝鮮語(韓国語)における「先生」の語感は日本語とは異なるので,注意が必要である。

 テレビで蓮池 薫氏が飛行機のタラップから降りてくるのをみたときには,「あのヤローだ」ということはすぐに分かりましたが,この時期は私とマルクス主義同志会の関係が極端に悪くなっており,最終的に私がマルクス主義同志会から追い出され,赤星マルクス研究会をつくり,ホームページを立ち上げるという私の人生の大きな転回点だったので,私自身が拉致問題どころではなかったということも大きな理由のひとつです。

 それに,赤星マルクス研究会を立ち上げてすぐに,「実は私は」などと名乗り出ることは,私自身の売名行為のようで気に入らなかったし,あのころはまだ蓮池 薫氏の家族が北朝鮮に残っており,彼に「お前,あの時のヤツだろう」などというのも酷だと思ったので黙っていました。

 しかし,いまの私は失うものはなにもないです。だから正直に言います。私は,1986年当時愛知県の小学校の教師でした。私の勤務していた小学校は愛知県西春日井郡西春町にある鴨田小学校という学校でした。

 1986年3月の下旬のことでしたが,そのとき私は視聴覚担当をしていたので,鴨田小学校の体育館で,卒業式の練習を終えて,1人で会場の放送用具の整理をしていました。蓮池 薫氏はそこへやってきました。そこで30分ぐらい彼と話をしました。

 彼の話は彼が拉致被害者であるということと,いろいろな理由で北朝鮮につれてこられたり,自分の意志で北朝鮮に来たりした日本人は100人以上いるということ,自分はそういう人たちの “面倒を見る立場” に置かれているということ,北朝鮮の赤軍派で内部闘争があり,北朝鮮当局が田宮を指導部からはずしたがっているということ,北朝鮮に来れば田宮の代わりに私を指導部に入れたいということ,私を北朝鮮に連れて行くために,“潜水艦ではない船” で秘密裏に日本にやってきた等々でした。
 
 もちろん私は,はっきりと蓮池 薫氏の申し出を断りました。日本の革命運動を北朝鮮でやるということの意味がまったく分からない,日本の革命運動は日本でしかできないのではないかということと,私と北朝鮮政府の見解は大きく異なっており,私は北朝鮮を社会主義国家だと思ったことはないというのが断わった主な理由でした。

 そうしたら蓮池 薫氏は,ここまで秘密を漏らしたらこのまま返すことはできない,力ずくでも北朝鮮に連れていく,というとんでもないことをいいだしたのです。しかし,残念なことに蓮池 薫氏はそれを実行することはできませんでした。私は,蓮池 薫氏に彼が私を拉致することができない理由をはっきりと説明しました。

 いうまでもないことですが,私は1986年3月いっぱいで小学校を退職し,社労党(社会主義労働者党)から参議院愛知地方区に立候補することが正式に決まっており,それはもう記者会見を開いてマスコミにも伝えていたからです。国政選挙の立候補予定者が突如としていなくなることの意味を考えなくてはならない,これは普通の人がいなくなるのとはまったく意味が違うのだと,

 しかも私は,労働者階級の利益を守るために立候補するといっているのだから,私を拉致することは朝鮮労働党が日本の労働者階級にケンカを売るのと同じだと,朝鮮労働党が日本の労働者階級の敵となってなお生存を続けることは絶対的に不可能であるというようなことをいった記憶があります。

 私と蓮池 薫氏が話をしている間に,夕方だったのではっきりとはみえませんでしたが,私たちのまわりには数名(2,3人)の不審な人物がいました。蓮池 薫氏は私の話を聞いて,そのなかの指揮者とおぼしき人物のところに相談にいって,数分の間,話をした後で私のところへ戻ってきて,今回はあきらめるといって去っていきました。

 なお「指揮官とおぼしき人物」は,横田めぐみさんのダンナ称する人物とよく似ていたような気がしますが,蓮池 薫氏のように数十㎝の至近距離で直接言葉をやりとりしたわけではないので,はっきりと断言できません。このとき,蓮池 薫氏は私にくだらない脅し文句をいくつかいったような気がしますが,それはすべて忘れてしまいました。

 以上が,私がしりえた出来事のすべてです。

 c) それで,拉致被害者が全部は死んではいないという根拠ですが,ひとつは,蓮池 薫氏は拉致被害者のなかでも多くのことをしりうる立場にあり,彼が私にいったことの多くはそれなりに当たっていたということ。

 ふたつめは,蓮池 薫氏のように北朝鮮で特別の任務を与えられて生きていた拉致被害者は彼だけではなく,そのほかにもいるのではないかということ。そして,そういう人びとは殺されたり強制収容所に送られる理由はないので,彼らがいまだに生きている確率は高いということです。

 なお,こういうことは被害者である私が語るよりも,加害者である蓮池 薫氏が語るべきことがらなのではないですか。なにしろ彼は当事者であり,すべてを語るといっているのだから,私の拉致未遂事件を含めて,すべてを語る責務は私にではなく,彼のほうにあると思います。

 なお,蓮池 薫氏が私のところに来た理由は,彼が私を赤軍関係者と誤解したためです。この誤解についてですが,実は,浅間山荘事件で逮捕された連合赤軍のK氏はどういうわけか,浅間山荘で逮捕されたとき,私の名前と住所と電話番号を書いたメモをもっており,そのことで私の実家にはパトカーが2台も来た。

 そこで私が不思議に思うのは,田宮たちが北朝鮮に渡ったのは1969年で,連合赤軍事件が起こったのは1972年であり,この事件の関係者たちはすべて長期投獄されている。したがって,蓮池 薫氏が私を赤軍関係者と誤解するというのは,理解しがたいものである。

 日本国内の赤軍関係者ならば,私と彼らがまったく異なる政治的な立場に立っていることぐらい,私が説明しなくても彼ら自身が一番よくしっていることがらであるし,北朝鮮の赤軍派ならば私の存在じたいをしらないはずである。

 むしろこういう誤解は,私の実家に来たバカなパトカーの関係者のものであったろうし,私に対する拉致計画そのものが,客観的にみれば,社労党(社会主義労働者党)の選挙運動に対する悪質な選挙妨害以外のなにものでもなかったのだから,この計画の主たる発案者は,むしろ北朝鮮政府ではなく,日本国内にいるわれわれ社労党(社会主義労働者党)の参議院選挙への参加をこころよく思っていない勢力なのではないかと考えるのが妥当であろう。

 そういう点では,これは語られなければならない,闇に葬ってはならない政治的な事件だったと思います。北朝鮮政府(金 正日政権)が,日本の反動勢力とつるんで,日本の労働者階級の選挙闘争を圧殺しようとしたという事実は,歴史のなかにどうしても書き残さなければならない重大な出来事であると私は思うから,あえて真実を語るのです。

 註記)http://ameblo.jp/souldenight/entry-12014029253.html この住所は以下に画像としても表記しておく。

 再言しておくが,以上の『週刊現代』2007年1月6・13日合併号(32頁。表紙のモデルは藤原紀香)の記事は,古川利明『〈さるぐつわ〉の祖国-朝鮮拉致被害者たちはなぜ日本で「何もしゃべれない」のか?-』2011年9月にも,そのままくわしく紹介されている内容であった。

『週刊現代』2007年1月6/13日合併号・表紙

 ※-3 途中にはさむが,古川利明『〈さるぐつわ〉の祖国-朝鮮拉致被害者たちはなぜ日本で「何もしゃべれない」のか?-』(第三書館,2011年9月)に対するアマゾンのブック・レビュー紹介

 ★-1 しゃし「この本が一番しっくりきました」2023年05月29日-5つ星のうち 5.0

 2020年9月24日に日本でレビュー済み目次だけでも書いてある内容がわかります。この本が世に出ているのに,ここに書かれてあることが世間の主流になっていないことが拉致問題の闇の深さなのだと思います。

 内容を声高に吹聴できないのは,私自身が誰のことも守ることができないからです。この本にたどり着かれた方は読むべきです。ひとの命は木の葉のように軽い,だけどそこにはひとりひとりのかけがえのない人生がある。日本はもとより世界各地でハラハラと人や生き物の命が消えてゆく毎日に,本書を読んだ私は何ができるのでしょうか。

 いつかテレビで見た記者会見で横田早紀江さんがめぐみさんの人生について話していました。「めぐみの人生は北朝鮮に捉えられ,夢をかなえることも家族とのささやかであたたかい生活をおくることが出来なくなってしまいました。めぐみの人生は拉致をする国家があるということ,人の尊厳や人権を踏みにじる国家があるということの証のために神さまが使わされた,濃厚な濃厚な人生なんだと思います。」と。

 細かいところは違うかもしれませんが大まかに私が聞き取った内容は,こうでした。聴いたときに感じた違和感が本書を読んで,胸にそっと収まりました。いまもめぐみさんのため,北朝鮮に居る拉致被害者,帰還できなくなってしまった方々のために闘っておられるのがよくわかりました。古川さん書いて下さってありがとうございました!!!!!3人のお客様がこれが役に立ったと考えています役に立った

 ★-2 レポート広島フアン「北朝鮮拉致問題」2013年2月8日-5つ星のうち 5.0

 北朝鮮拉致問題の内部をさらけ出したいい本だと思う。類似書は多くあるがこの内容の本は多くない。3人のお客様がこれが役に立ったと考えています役に立った

 ★-3 ただの面白くない変な人「『〈さるぐつわ〉の祖国』感想」2020年8月20日」-5つ星のうち 5.0

 日本で2011年10月に発売された本ではあるが,膨大な資料を元にしっかりまとめられており読みごたえのある1冊。第3章においては,めぐみさんの安否や,2002年に報じられたキム・ウンギョンさんのインタビューについても詳しく書かれている。とくに第6章の項目,家族会・救う会の実態があまりにも絶望的な内容で書かれている。この組織を長年信用していただけに残念だと感じた。

 ※-4 蓮池 薫が口に出せない拉致事情が残っている

 本ブログ筆者は,古川利明が創価学会・公明党に関して公刊した本はすべて通読していたが,この『〈さるぐつわ〉の祖国』は当時(2016年),古本で入手し,初めて一読することになった。

 『週刊現代』2007年1月6・13日合併号の記事となった横井邦彦「『蓮池 薫さんは私を拉致しようと日本に上陸していた』-実名告白」の意見・主張が,そのまま全面的に事実・真実であるかについては それを十全に判断できる材料を筆者側はもたない。

 だが,古川利明の本書をあらためて読んだところで,蓮池 薫に関して「いままでなにかすっきりしない〈なにもの〉」かが,ボンヤリでも把握できたような感じにはなれた。

 一番肝心なのは,こういうことがらである。蓮池 薫などが日本に当初「一時帰国できた」のは,これは北朝鮮を専門とする研究者に聞かなくとも判る基本事項であるが,北朝鮮当局の期待(つまり指示・命令)を絶対に裏切らない者(⇒日本人拉致被害者)だけを選りすぐって,日本に送りこんだという事実である。この点は,強調し過ぎてし過ぎることのけっしてない注意事項となる。

 この注意点を確実に前提に踏まえて考えれば,横井邦彦「『蓮池 薫さんは私を拉致しようと日本に上陸していた』-実名告白」『週刊現代』2007年1月6・13日合併号(32頁)の記事は,けっして荒唐無稽ではなく,かなりありそうな実話(真実)として信用することもできる。

 北朝鮮国内において人民(国民・大衆)たちが,実際においてどのような独裁国流の日常生活を強いられているかについていえば,日本国に暮らしている人たちにあっては,想像もつかないほどきびしい現実がある。

 在日朝鮮人のうち敗戦後9万数千人もの者たちが「故郷」ではなかった地域である北朝鮮に移動した結果,どのような不幸と悲惨が彼らに発生し,さらにくわえては,日本に残っていた親類・縁者まで襲いかかってきたか? すでにその事実史を語っている書物が公表されている。

 補注)参考文献。小島晴則編『幻の祖国に旅立った人々-北朝鮮帰国事業の記録-』高木書房,2014〔平成26〕年。本書は,いかにして「朝鮮人を日本から少しでも多く北朝鮮に追放したか」に関する証拠文書集である。

 いうなれば,在日朝鮮人を体よく北朝鮮に送りこんだ:追っ払った(韓国では『北送』と称しているが)「日本〔国〕側における北朝鮮への帰国事業」は,在日朝鮮人と日本人妻ら9万3340人を,新潟港から北朝鮮に送還していた。

 北朝鮮が『地上の楽園』(!?)だというウソ話を信じこまされていった在日朝鮮人たちは,あの国における現実が実際には大きく違っていた事実そのものについては,北朝鮮の港に着いて船を降り立つそれも直前に,出迎えに来ていた北朝鮮の人民たちの風采を,船上からかいまみた瞬間から,否応なしに気づかされるハメになっていた。

 蓮池 薫が拉致された1978年ころまでには,在日朝鮮人の「帰国事業」は終末期になっていた。北朝鮮に拉致された日本人被害者たちがその後「完全に洗脳されてしまい」,さらには「拉致する工作員の立場」にまで自分の人生を変えさせられることは,ありえない話ではない。日本人拉致被害者とてあの国のなかで生き抜いていくためには,しかたなくも採った人生の行路であったかもしれないのである。

 本ブログ筆者は,蓮池 薫『拉致と決断』(新潮社,2012年)を,あらためてもう一度,読みなおす気が出てきた。

 以上に言及したごときに,蓮池 薫が北朝鮮に拉致され虜囚であった期間,自分の置かれた境遇を通して,どのように履歴を形成していったかの諸事情(過去の経緯すべてについて)は,日本に生還できてからそのすべてをさらけ出すことは,とうていできない相談であったはずである。この点は適切に理解してあげねばならない問題点である。

 蓮池 薫『拉致と決断』新潮社,2012年という本は,事実(真相)を100%書いていると受けとめないほうが,読者の立場からは賢明でありうる。数字的にいえば70%位までは真実(実相)を表現していると受けとめてみればいいかもしれない。残り30%は,けっして語りえない素材として薫は隠蔽せざるをえない部分であった。

  古川利明『〈さるぐつわ〉の祖国-朝鮮拉致被害者たちはなぜ日本で「何もしゃべれない」のか?-』2011年9月の細目目次が以前,古川利明自身のブログ,「さるぐつわの祖国 単行本」『古川利明の同時代ウォッチング toshiaki.exblog.jp』に記載されていた。現在も執筆されているブログである点のみ紹介しておく。

 最後になるが, 古川利明『〈さるぐつわ〉の祖国-朝鮮拉致被害者たちはなぜ日本で「何もしゃべれない」のか?-』2011年9月の目次を章立てのところで抜き出し,ここであらためて紹介することにしたい。

 はじめに--日本に帰国後も嵌ったままの「さるぐつわ」(ここだけ細目の目次も紹介しておく)

  日本の警察は拉致情報をリアルタイムで無線傍受 / 横田めぐみさん拉致の「任務完了」も傍受 / 盗聴機関の秘密優先で立件せず / 拉致被害日本人は「数十人から三百人」/祖国に帰っても取れない「さるぐつわ」の正体は?

  第1章 拉致問題は “元日本人” 金 正日の “ウラの朝鮮戦争だ”
  第2章 「金大中拉致」と「日本人拉致」をつなぐもの
  第3章 タブーとしての「拉致問題」
  第4章 直撃・帰国者五人の “見えないさるぐつわ”
  第5章 「蓮池 薫が私を拉致しに来た」(元小学校教諭・横井邦彦)
  第6章 「食い物」にされていった「拉致問題」
  第7章 「さるぐつわ」と「拉致問題」の核心 Q&A
  あ と が き

 拉致被害者,家族会メンバーは皇室並みの “神聖不可侵” / 「さるぐつわ」の要因は「北」だけでなく「日本」にもある /「北朝鮮での真相」を語ることが拉致問題解決の第一歩

 註記)さらには,http://toshiaki.exblog.jp/13676379 の参照を勧めておきたい。 

古川利明『〈さるぐつわ〉の祖国』目次紹介

 ※-5 む す び

 現在まで,日本国の自民党政権は,安倍晋三政権⇒菅 義偉政権⇒岸田文雄と維持されてきた。こられ3つの政権はすでに都合,11年半も続いているが,とくに安倍晋三政権の時期,「北朝鮮による日本人の拉致問題」は,日本の政治を適当に操作するためであれば,有権者に対してぶら下げる「格好の疑似餌」的な政治用具として,きわめて利用価値の高いものであった。

 ところで最近,現首相である岸田文雄が,こういう意欲を表明した。

 岸田文雄は5月27日,東京都内で,北朝鮮による拉致問題の「国民大集会」に出席し,金 正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との首脳会談実現に意欲を示した。「首脳会談を早期に実現するため,私(首相)直轄のハイレベルで協議をおこなっていきたい」と(『毎日新聞』5月27日報道)。

 この直後,北朝鮮側からは「日朝首脳『会えない理由ない』 拉致問題は『解決済み』と主張」する反応があった(『朝日新聞』5月29日報道)。

 北朝鮮側は「日本の拉致問題について要求することは全然及びではない」と断定してきた。岸田文雄は,拉致問題を基材にして北朝鮮との外交をおこないたいという方針にみえるが,あまりにもあの国との政治交渉の仕方をしらなすぎる。

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