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再生可能エネルギーの利用・展開を真っ向から妨害する「原発(原子力という電源)の採算性」はお先真っ暗だが,世界中でこの原発を導入する国が多いというまさに地球にとって最大の無駄・最悪の危機(1)

 ※-1「原発コストは太陽光発電の何倍? アメリカの最新試算でわかった驚きの数字 次期基本計画でどうする日本政府」『東京新聞』2024年8月21日 06時00分,https://www.tokyo-np.co.jp/article/348660 という報道

 この記事全文をともかく引用するかたちで,本日の記述を始める。かつて「原発は安全・安価・安心」だと,仏陀でもキリストでもアラーでもないのに,「愚にもつかないオオボラが吹かれた」ものであった。21世紀の現段階になってもなお,そのような原発信仰を告白できる者がいたとしたら,「この人,間違いなくクルクル◉-だ」と思われてよいのである。

『東京新聞』から

 いまどき,原子力をエネルギーに利用して電力を生産する方法は,けっして最善・最良・最適の選択ではありえず,もはや電源としては完全に「劣後の位置づけ」しか有しえていない。それでも,この原発による電力獲得をめざすという選択は,その兄貴分である原爆との基本的共通性が強く意識・前提されるからだった,と説明するほかない。

 なお,本日(2024年8月24日現在)まで,最新の報告では世界に存在する「稼働可能な原発の統計」は436基である。

〔ここから『東京新聞』記事を引用する ↓ 〕
 --原子力発電のコストが上昇している。米国の最新の試算では,すでに陸上風力や太陽光より高く,海外では採算を理由にした廃炉も出ている。日本政府の試算でもコストは上昇傾向だ。〔2024〕年度内にも予定されるエネルギー基本計画(エネ基)の改定で,原発を活用する方針が盛りこまれれば,国民負担が増えると指摘する専門家もいる。

 ◆-1 岸田政権は「原発を最大限活用」
 (なお,この◆の連番「◆-2」はだいぶあとにずれこみ,行論上,途中で a) b) c) の符号になる連番が割りこんでくるので,事前に断わっておきたい)

 政府は福島第1原発事故後,エネ基で原発の依存度を「可能なかぎり低減」する方針をかかげてきた。しかし岸田文雄政権発足以降,2023年のGX基本方針などで「原発を最大限活用」と転換。エネルギー安全保障や二酸化炭素の排出抑制を回帰の理由にかかげるが,事故の危険性にくわえ,コスト高騰のリスクもはらむ。

 補注)多分だが,もしかすると「原発問題のイロハ」すらよく理解できていなかった岸田文雄君だったからこそ,経済産業省のいいぶんを丸呑みにしての意思決定をしていたというべきか?

 否,それ以上に,イソップ寓話に出てくる「〈牛〉をまねた〈カエル〉」のように自分の姿を,かっこうよく大きくみせたかったのか,彼は「原発の再稼働」どころか「その新増設」までも,2022年8月下旬段階に決めていた。

 日本におけるエネルギー事情をめぐる現状は,原発が再生可能エネルギーの普及・拡大を妨害している。そして,これからもその妨害の度合を深めるという原発政策を,岸田文雄君は採った。この「世襲3代目の政治屋」は,まことに愚かな方途に向けて,走り出していたことになる。

 もっとも,彼が首相の座に留まれるのは9月下旬までであるから,この意味では本当に無責任な方向づけをしたことになる。最後っ屁にしては,垂れ流しも同然の◉ソ同然の決定をしていたものである。

 すなわち,この人,9月下旬に予定されている自民党総裁選には出馬しないということになっていたから,安倍晋三や菅 義偉に負けない悪政を記録しただけの首相として名を残すことは,確定した。しかも,在任中は,いうことがコロコロ変幻していたし,要はいわせる人にいわせてみるに,この「世襲3代目の政治屋」の頭中は,やはり「空っぽ」だったというみたてになるほかなかった。

 もっとも,この8月下旬の時点ですでに次期自民党総裁で一番人気の小泉進次郎であっても,こちらの「世襲4代目の政治屋」のほうは,もう完全に頭中はガランドウ(つまり仏像の祀られていない〈伽藍堂〉の意味だが)の兆候を,以前からよくしらしめる言動を重ねてきた。

 それゆえ,下手をするとこれからも,自民党政権が岸田文雄⇒小泉進次郎とつづくとなれば,日本の政治は空っぽどころか真空状態になりかねない。

 きっとセクシーな不倫活動だったと思われるが,進次郎は政治資金を高級ホテル代に充てて逢瀬を楽しむ習慣があったらしい。だが,いまとなっては妻,滝川クリステルの尻に敷かれる実生活事情にあるというのだから,このまま彼が日本の首相に就くことになったら,女房がすだれの向こう側からこの国政治に実質,口だしをしかねないという不穏な予測さえなしうる。

 これ冗談半分の話題であるが,その残りの半分は,クリステルがトップレディーになったときには「不測の事態」が惹起されないとは,保証の限りではないとかなんとか,いいたくもなった。

再生可能エネルギーの利用率が低い日本は
原発を再生エネの普及に噛ませた関係で
再生エネの拡大を大々的に妨害している

 さて,話しを本論にもどす。上の図表は,8月17日の本ブログ記述中で利用した図表であったが,この日本は現状,再生可能エネルギーをできるだけ多くを,まともに導入し活用する方向そのものからは,故意に目を背けてきた。そうした実に「愚かな選択」に舵をとっている。

 2030年には,原発(原子力)が電源全体に占める比率を「22-20%」にまで引き上げるという基本姿勢を日本は構えているけれども,再生可能エネルギーの普及をいままで故意に大幅に妨げておきながら,「炭酸ガスの排出」においても「熱そのものの排出」においても多大な熱量を発散させている原発であるにもかかわらず,なにゆえかその比率を上げようと必死でありつづけてきた。

 「3・11」後における日本の電源構成は,原発の比率は1割まで到達してきたものの,あと5年ほどでそれをまだ「22-20%」にまで増やすという経済産業省の狙いは,再生可能エネルギーの比率向上を直接・間接に邪魔しながらでないと,なかなか達成できないみとおしであった。

 もちろん,原発以外の火力発電も,その燃料の調達が完全にといっていいほど海外からの輸入であるから,これにも代替させる電源として「原発の再稼働・新増設」を想定する狙いが強く意識されていた。

 だが,そもそも再生可能エネルギーを十全に活用できていない九州電力や四国電力では,すでに原発が「お邪魔虫」となっており,その生産された再生エネの電力を捨てさせるといった根本的な矛盾の発生を,当たりまえのように強いている。

〔記事に戻る→〕 米国では2023年,民間投資会社ラザードが発電所新設時の電源別コスト「均等化発電原価(LCOE)」を発表。原発のコストの平均値は,陸上風力や太陽光発電の平均の3倍以上だった。経年比較でも原発のコストは上がりつづけ,2014年以降,太陽光や陸上風力より高くなった。

2022年をはしょった図表である

2022年2月24日「ロシアによるウクライナ侵略戦争」が
開始された影響が再生可能エネルギーのコストにも現われていた

一方の原子力(原発)はこのようにじわじわとコスト上昇中であるが
これでもまだ「意図的に隠されたコスト要因」が
まともに計上されていないので要注意

 「均等化発電原価」とは,発電所を新設した場合のコストを電源種類別に比較する指標。建設,設備の維持管理,燃料購入にかかる費用を発電量で割って算出する。日本では,1キロワット時の電力量を作るのに必要な金額で比較することが多い。

 経済協力開発機構(OECD)や国際エネルギー機関(IEA)の国際的指標として使われる。単純なコストだけでなく,補助金など政策に関連する費用を含めて算出する場合もある。

 国内では,経済産業省の作業部会がLCOEを計算。2021年の調査では2030年新設の想定で,原発のコストは1キロワット時あたり最低で 11.7円。前回2015年,前々回2011年を上回った。一方,陸上風力や太陽光のコストは2021年でみると,原発とほぼ変わらなかった。

原発には甘々で再生可能エネルギーは渋々に認める
コスト計算の中身とその水準

 補注)以上のごときコスト計算は実は,もともと「原発にだけは別途,甘々に評価・計上されていた」。

 すなわち,「行きはよいよい帰りは怖い」という形容がぴったり当てはまる「原子力というエネルギー利用」の末期現象の,それこそ末恐ろしい姿は,いま引用中である『東京新聞』のこの記事のなかであっても,一言,二言(数回)しか出てこなかった。

 しかし,つまりは「廃炉」(工程)の問題となって,それもごく近い将来に必らず問題となって現われるモノだが,たいそう「恐ろしい,コストにかかわる困難な事情」として,つまり,「コスト高が容易にドンドン積み重なっていく要因」となって登場する事実を,このまま軽視していたら,そのうちトンデモなく痛い目に遭わされること必定である。

 --だが,ここではいったん『東京新聞』の記事からは離れて,つぎにこういう説明を聞いておくことにしたい。

 以下の記述は,「【2024年度版】日本の再生可能エネルギー由来電力の割合は?」『ASUENE MEDIA』2024年1月31日,https://earthene.com/media/131 を参照した説明となる。

 a) まず「日本のエネルギー事情」

 日本は今後,2030年度までに再生可能エネルギーの割合を36~38%程度とすることを目標としていた。経済産業省の『エネルギー白書 2023』によると,2020年度の日本のエネルギーに占める化石燃料の割合は88.9%と高い水準にあり,

 その内訳は石油38.4%,石炭26.5%,天然ガス24.0%で,化石燃料のほとんどを輸入に頼っている。この事実は,安定的なエネルギーの供給が大きな課題となっていた。

 b) 日本における再生可能エネルギーによる発電割合

 2020年度日本の再生可能エネルギー電力比率は約19.8%であった。これは主要国対比でみた場合,相対的に低い水準であった。たとえばカナダでは,再生可能エネルギー電力比率が67.9%であり,欧米に比べ同比率が低い中国でも27.7%であった。

 日本も再生可能エネルギーによる発電設備容量は世界第6位,太陽光発電導入容量は世界第3位となっているが,国内電力需要に対して再生可能エネルギーによる発電量が追いついていない。

 補注)この段落の説明は「誤導的になっていた」かもしれないゆえ,補足しておく。

 すでに言及したとおり,日本においては再生可能エネルギーに対してはすでに出力制御が,九州電力や四国電力においてはなされてきていた。その結果だけをみても,「電力需要に対して再生可能エネルギーによる発電量が追いついていない」というのは,モノゴトの反面しか観ない評価であった。

〔記事に戻る→〕 日本が2030年度までの目標とする,再生可能エネルギーによる発電割合を36~38%にするためには,さらなる再生可能エネルギー導入の推進が求められる。

 補注)すなわち,その再生可能エネルギーの占める割合を増やすためには,原発による発電比率(絶対量)を落とす必要があることは,ほかの火力発電と同じでしかありえない。ところが,なぜか,原発の電源比率が再生エネの比率を上げるさい「大きな妨害要因」になっている現実が,適切に説明されておらず,その関連する論点がボカされていた。

 なんといっても,炭酸ガスじたいも出す発電方式であった原発である。地球温暖化の問題に触れるとなれば,原発そのものが高熱を排出する装置・機械そのものである事実を,軽く観て,無視しうるかのように説明をすることは許されない。つまり,ほかの火力発電から,なにゆえ,原発だけを温暖化(CO2 )問題からは除外できるのか? そのための「詐文を書くこと」は許されないのである。

 c) 主要国の発電電力量に占める再エネ比率の比較

 2050年までの脱炭素社会を実現するために,日本は再生可能エネルギーを最大限に活用していく方針となっている。ここでは再生可能エネルギーの導入に関して,日本がかかげる目標と今後の普及の見通し,現在日本が実施している取り組みの内容を紹介する。

この図表の作成方法は
再エネの諸種類をなるべく誇大的に読めるように
そして原発は控えめに観てとってもらえるように工夫されている

 d) 日本がかかげる目標

 2022年4月に資源エネルギー庁が発行した「今後の再生可能エネルギー政策について」は,エネルギーミックス改定において,2030年度の温室効果ガス46%削減に向けた野心的目標として,電源構成比の36~38%を再生可能エネルギーとすることが発表された。

 その内訳は,太陽光発電が14~16%程度,風力発電が5%程度,水力発電が11%程度,地熱発電が1%程度,バイオマスが5%程度であった。

 その他の電源構成については,原子力の割合を20から22%,石油や石炭,天然ガスなどの化石燃料の割合を41%にする方針である。

 補注)ここでの表現方法(直前の2段落)は,順序としては,再生可能エネルギーを優先させた修辞(構文)になってはいるものの,実質は「その逆であるはずの現状」を,いくらかでも韜晦して(紛らして)おきたいがごとき説明になっていた。

 d) 新たな「エネルギーミックス」実現への道のり

 2023年2月10日に,「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されていた。ここでは,エネルギーの安定供給や脱炭素分野で新たな市場を生み出し,日本の経済成長につなげていく方針が示された。

 さらに同年5月31日には,「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律(GX脱炭素電源法)」が成立した。

 このように再生可能エネルギーによる電源構成比を36~38%にするという目標に向けた取り組みは加速しており,再生可能エネルギーの普及が拡大することが期待される。

 出典)以上,資源エネルギー庁『令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書 2023)』。資源エネルギー庁『エネルギーの今を知る10の質問』(2023/02),経済産業省『今後の再生可能エネルギー政策について』p1(2023/6/21)などが出典として提示。

出典

 以上の説明については,電力会社側の立場(意向)を観たかぎりでいえることだが,当該「時節」になると「再生可能エネルギーに対する出力制御」を措置すべき(そう対応するほかない)みとおし「じたい」を,ともかく解消させようとする方針などに関してとなると,これをなるべく具体的に示そうとはさせない方針や立場で,換言すると,その方途に向けてはけっして積極的に進もうとはさせないとする「基本路線」の問題が残されていた。

〔ここで『東京新聞』記事に戻る ↓ 〕

 ◆-2 専門家「再稼働でも再エネ新設と同程度」

 東北大の明日香寿川(あすか・じゅせん)教授(環境政策論)は,「原発の建設費用は1基あたり1兆~2兆円」と説明。コスト上昇の要因として,事故対策費用がかかる上,量産がむずかしいことを挙げる。

 「最近の原発は事故対策を強化した新型炉が中心で,技術が継承されておらず,高くつく。太陽光と風力は大量生産で安くなったが,この効果が原発では働きにくい」と指摘する。

 経産省はエネ基の改定に合わせ,年内にも最新のLCOEを発表する見通し。明日香氏は「今年は2021年と比べ,原発新設のコストが上がるのが自然。再稼働でも再エネ新設と同程度という調査もある。政府は原発の活用を進めるうえで,はっきり『安いから』とはいわないだろう」とみる。

 ◆-3 原発活用でも「電気代下がるとは考えにくい」

 海外でも日本と同様に,原発推進にかじを切る国は増えている。しかし,原子力資料情報室の松久保肇事務局長は「近年はコスト高で原発の廃炉や計画断念,建設遅延が相次いでいる」と指摘。

 実際に国内の原子力研究者らでつくる研究会のまとめでは,米国で2011年以降,13基が経済的な理由で閉鎖された。松久保氏は「国内も,原発の活用で電気代が下がり,国民の負担軽減になるとは考えにくい」と話している。

【関連記事】「福島第1原発の事故処理費用は23兆円… 2023年末に2兆円引き上げ 収束の道筋が見えず,さらに膨らむ恐れ」

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 本日は,以上の記述でひとまず終わりにしたい。つづく内容は,「※-2 原発(原子力)の3重苦-コスト高・危険膨大・不安満載-」という項目を立てて論じていくつもりである。この※-2を書きはじめるとまた分量が大幅にふえそうなので,本日は以上をもってひとまず終えることにした。

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【付記】「本稿(1)」の続編はできしだい,ここの「リンク先住所」を指示する。
  ⇒ 『リンク先住所』

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