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いまや故人となった「安倍晋三の悪政・失政・痴政のなれのはて」,その愚考するまでもなく指摘できる国家叛逆性

 ※-1 2016年12月18日にこの記述が最初に公開されたとき,まずつぎのような前提を留保してから書きはじめていた

 幼児並み(そのもの?)の外交的(!)手腕を発揮した安倍晋三首相は,日ロ交渉ではプーチンに対して「日本〔を〕完敗〔させてしまい〕,その合意などは負の遺産」となった。

 その1 「北方領土問題」は「私の世代で終止符」などと大言壮語した安倍晋三君だが,この首相で実現できるような外交課題なのであれば,半世紀前にすでに解決済みだったはず

 その2 プーチンには,まるっきり,子どもあつかいされた安倍晋三であった。この「世襲3代目の政治屋」に首相の資格などなかった,ただちに辞職すべきであった〔が,その後も3年半以上も居座っては,この国をドンドン劣化させた〕

 その3 自分の主観では1人前の政治家つもりでいたらしいが,国際舞台の外交では端役以下でしかない安倍晋三に,首相として期待できるものはなにもなかった〔ことは,いまの2024年になってみれば一目瞭然〕

プーチンになす術もなく捻られた安倍晋三

 

 ※-2 本日 2024年3月1日になってさきに,とりあえずつぎのような議論をおこない,あの安倍晋三君がわが国をいかほどにまで疲弊させ破壊までしてきたか,あらためて確認したい

  さて,「外交のアベ」でネットを検索したところ,最初に,つぎのごとき〈首相官邸のいいぐさ〉が顔をさらし出していた。

  a)「地球儀を俯瞰する外交 第198回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説より一部を抜粋」https://www.kantei.go.jp/jp/feature/gaikou/index.html

 この「抜粋」のなかには,当時,首相であった安倍晋三の立場を「これまでの地球儀俯瞰外交の積み重ねのに,各国首脳と築き上げた信頼関係の,世界ので日本が果たすべき責任を,しっかりと果たしていく決意です。」と解説していた。

ウラジミールには餓鬼あつかいされた晋三

 安倍晋三の「アホノミクス(これはアベノミクス + アベノポリティックス)」の為政が,内政と外交にかかわらず,この国をどれほどダメにしてきたか?

 いまとなっては「衰退途上国」だと自認せざるをえない惨状を呈しているこの国である。もはや完全に実質,貧乏国になった状況にあることは,誰も否定できない現実の様相である。

 円安効果もあって,日本のGDPの総額順位が2023年中にはドイツに追い抜かれていたという始末になっていたが,つぎはインドのGDPが日本を超えると予測されている。

 日本社会のなかでは,三食を摂ることさえ満足にできない庶民がいる事実があり,少子化の絶対的趨勢だけを観ても,この問題に対して安倍晋三がなにを実際に対策を講じえたかと観たら,特別に効果あるものは挙げえない。

 要は,「一国の首相」としてならば,本物の無策・無能・無知の政治屋であったことを,あらためて確認するためにその座に就いたような,実につまらない人物であった。

 しかも,現在の首相である岸田文雄も,その人間類型は異ならせてはいるけれども,つまりは「異次元的に同類の《世襲3代目の政治屋》」にほかならず,なにも期待などできないほど完璧にまで,そもそも「革新力も突破力も保有していなかった」(過去形でいっておく天)。この文雄もまた本当に政治屋としてならば,申し分のないガラクタ人材であった。

 b) 岸田政府は,世帯・家庭のなかで子どもが3人いるところには,大学に進学する子どもの授業料が無償になるように資金を支給するなどといいだしたりしていたが,「3人もこどもがいる家族」にだけと限っている点からして,その「哲学の貧困ぶり」をまたもや露呈させた。

 3人子どもを産んで育てている夫婦(など)は,ごく少数派である。国によっては大学授業料無償の国がないわけではない。もっとも,どの若者があるいは年配の人であっても,どこの誰が大学にいくべきか,進学したらよいのかという問題もあったが,日本では半世紀以上前には,国立大学の授業料が月千円の時代があった。

 当時,私立大学理工系の授業(だけ)で6万円以上の時代に,年間の授業料が国立ではともかく,月千円であった。その程度の授業料であれば無償にしておいても特別の支障はなかったと推測する。要は,やる気の問題であった。ただし,「大学への入学」を希望する学生の選抜(入試)は,それなりに厳格かつ難関になっていい。

 いまの時代みたく,若者たちが猫も杓子も大学に進学したところで,それも非一流大学に通って卒業したところで,この学生たちがなにを勉強して卒業証書をもらったのかすら,その意味がさっぱり判らない大学も多々ある。

 そのように多様化している「高等(?)教育の実態」のなかでは,3人子どもがいる世帯・家庭ではともかく1人は大学無償でといったごとき便法的な対策となると,場合によって教育効果(費用対効果)で問題なしとはいえない。

 特別の事情がある大学・学部・学科(学問・専攻)以外,大学へ進学する高校生は,偏差値55以上の得点を共通試験(大学受験資格試験)で取れない場合,大学進学ではなく別の進路を用意してもらい,こちらで自分の才能を開花させるための特定の技術の習得・訓練をしてから社会に出ていけるような教育体制をととのえたほうが,日本の産業経済・企業経営全体にとってより有効な方策たりうる。

 話を戻す。安倍晋三のとくに外交がどのように自国の政治をダメだらけにしてきたかといったら,それはもうこの「世襲3代目の政治屋」の落第生が,日本外交の品位・品格を完全に地に落とした顛末からも,嫌というほど思いしらされる。

 いまとなっては,以上のごときに明白となった安倍晋三のろくでもない為政の結末を「踏まえていた」のか,あるいは「いなかった」のかと問う以前に,つぎにようにおめでたい見解を示していた識者がいた。このような似非知識人は,当人の自己認識のありようはさておき,安倍晋三の取り巻き連中の1人になっていた。

 c)「戦略的だった『安倍外交』」『CIGS キャノングローバル戦略研究所』2020.09.10,https://cigs.canon/article/20200910_5343.html(産経新聞【宮家邦彦のWorld Watch】2020年9月3日に掲載)のごとき「安倍晋三擁護論」になると,しかもいまの時点(約3年半後)になってこの記述を読み返してみるに,赤恥・青恥の見解が陳列されていた。

 前段における項目の a) に紹介した「安倍晋三とプーチン」が写っている画像は,それなりにイイ写真を『首相官邸』のホームページがかかげていたとはいえ,あのプーチンには完全に「餓鬼あつかい」された日本国首相安倍晋三君は,まさに「国辱」「国恥」の対ロシア外交を展開していた。安倍はまさしく結果的に「負の政治」しか記録してこなかった。そういったみじめな結末を迎えていた。

 いってみれば,それこそどうしようになく低劣であり,政治手腕などとはとうていまともに具備していなかった「世襲3代目の政治屋」であったがために,国際政治の舞台において安倍晋三が記録してしまった《失政の事実》だけが,いまとなってはわれわれの面前に突きつけられようにして晒されている。

 「北方領土」をプーチンから返してもらいたいためだったのか,安倍晋三はこの「北方領土」ということばを,これまでの日本では長い期間使用してきたそのことばをなくさせた。だが,結果はどうなっていたか? 

 安倍晋三は結局,プーチンの企図そして策略どおりに踊らされてきただけであった。それこそお尻の毛までむしり取られるように,いいかえると,完全に「手玉に取られる」要領でもってさんざんに,つまり,いいようにだけあしらわれてきた。

 外交の駆け引きなど本当は実際にはなにもできやしなかった晋三であったにもかかわらず,「外交のアベ」などとおだてるものだから,まるで天にも昇れる気分になれたのか,この「世襲3代目の政治屋」の甘ちゃんがその気になって,自分はプーチンと対等に話ができるなどと,大きな勘違いを犯した。

 このボンボン政治屋のぼくチンは,首相在任中に日ロ(日ソ)間で交渉を重ねてきたこの北方領土の問題を,実質には「棚上げ」どころか「完全にないもの」に,変換されてしまった。プーチンはその後,ロシアの憲法まで変更させて,その「北方領土の問題」は,自国側では「存在しないモノ」化させていた。

 「いい面の皮」をさらされることになった安倍晋三は,自分の失敗したそうした対ロ政策での大チョンボを,反省して自覚することができなかった。安倍は生来,その程度の政治屋としての感性しか与えられていなかった。

 祖父の岸 信介はこの孫をどのようにかわいがっていたのか。オヤジの安倍晋太郎は息子の躾けをろくにしなかったということか。母親の岸 洋子は自分の息子をどのように育てたいと考えていたのか。

 親族・血族にそのような質問を提示したところで,なにも面白い事実は出てきそうにない。すでに,作家たちが安倍一族の歴史をあれこれ物語にまとめて公表しているが,晋三の教育環境は「だらしなく放任されていた」と観察するほかなかった。

 ということだっただからか,外国に「お遊び」に出かけるみたいに,そして手土産だけはたくさん両手にかかえて訪問しにいく「アベの外交」は,相手国の立場からすれば「鴨ン! ウェルカモ ネギ&鴨!」にしかなりえなかった。

 d) 安倍晋三の為政は,内政も外交も大チョンボを反復させてきた記録しか残せていない。内政は破壊,外交は溶融であった。

外務省で政務担当外務審議官を務めた
現在は日本総合研究所理事長

 最近,田中 均・日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問が「岸田首相の下で露呈した裏金問題 『権力に守られている』傲慢な錯覚」『毎日新聞』2024年2月16日,https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20240214/pol/00m/010/014000c と題した一文を公表していたが,このなかで安倍晋三および岸田文雄について,こう言及していた。

 安倍政権が8年という長期にわたり続いたのは,選挙に勝利しつづけ圧倒的多数をもった自民党,ならびに100人という党内最大勢力を有した安倍派の数による統治だったからだろう。

 安倍官邸への事実上の権力の集中と内閣人事局の設置による官僚人事の差配は政治に従順な官僚機構を生んだ。加計,森友,桜を見る会といった問題や学術会議,法務省人事への介入などは官僚の忖度体制ゆえの出来事だった。

 官僚だけではなく,国会議員や財界,メディアにも強い権力を牽制する機能は期待できなかった。安倍1強体制をチェックしバランスさせるシステムは働かなかった。

    ☆ 政治改革により権力監視の機能を回復できるか ☆

 岸田政権の顕著な特色は安倍派依存であったことだ。その安倍派が起こした裏金問題は自民党に対する信頼を根底から損ねた。

 しかし,岸田政権には裏金問題の事実関係を徹底的に究明するという姿勢は明らかではない。自派を含めた不明朗な政治資金の実態を明かすことが,自民党全体の信頼をさらに落とすということなのだろうか。

 岸田文雄首相は率先して岸田派の解散を宣言し,派閥解消に先陣を切ったのは確かだが,もし裏金問題をはじめ政治資金の実態を明かすことなく幕引きをしようということならば,国民の信頼を取り戻すことにはならない。

 (中略)

安倍派が5年で6億円を超える裏金を作り,かつ違法な裏金作りが20年近く続いてきたのかもしれないことは,やはり安倍1強体制といわれた権力の集中のためではなかったか。強い権力に守られているという傲慢な錯覚のためではなかったか。ここでは順法精神すら消えてしまった。

田中均のアベ・きしだ批判

 安倍晋三の第2次政権から菅 義偉政権を経て,いまの岸田文雄政権があるわけだが,この岸田がさらにつづけて,首相として迷采配を振るっている現状にあっては,その悪政の源泉として「アベノポリティックスの幼児性と混迷精神」が尾を引いていた。この事実は,いまさら強調して述べることがらでもなかった。けれども依然,その悪影響がひどいままに持続中である。

 安倍晋三は要するに,日本を壊してきたのである。最近みたネット記事のなかには「日本は経済1流,政治2流・・・」だったが,いまは「経済2流,政治4流」だと,ひどく嘆く発言があった。しかし,本ブログ筆者などにいわせれば,いまの日本は「経済3流,政治4流」というのが実感的な評価である。

 アベノミクスが鉦や太鼓の鳴り物入りで喧伝されだしたさい,これに即座に反応した経済学者浜 矩子は,安倍晋三の第2次政権が発足するやいなや,このアベノミクスのことを『アホノミクス』だと,罵倒するがごときにこき下ろしていた。彼女のこの発言は,それから10年以上が経った現時点になっているが,要は,まったくそのとおりの結末,アホらしいだけでなくその実害も甚大になっていた事実を,事前において適確にいいあてていたことになる。

 d) 伊東光晴も『アベノミクス批判-四本の矢を折る』と題した本を,岩波書店から2014年7月31日に公刊していたが,本書のアマゾン書評のなかには,つぎのような感想が寄せられていた。

 「アベノミックスが招来し,これが破綻したあとの荒涼たる日本の経済社会の姿を想像できるイマジネーションが新しい政治行動の源になってほしい」という文句を書いていたその書評であったが,この文句を連ねていた一文は,早く,2014年8月9日に寄せられていた。

 さて,現状におけるこの国はどうなっているか?

 あの「初老の小学生・ペテン総理」(ブログ『くろねこの短語』命名)が「幼稚と傲慢・暗愚と無知・欺瞞と粗暴」しかもちあわせておらず,しかも単なる「世襲3代目の政治屋」として稚児ごときであった人物が,日本の政治・経済・社会を,とことんまでメチャクチャにしてきた。

 ところで最近は,ハワイ旅行するにも円安で大変経費(旅費・宿代・食事代など)がかかり,以前に比較したら,大昔となるが田畑 実も歌っていた『憧れのハワイ航路』(1948年)が,いまの2024年にもなってなのだが,そのかたちを変えたとはいえ,相当に実感をともなった歌詞に聞こえる時代になった。

 つぎにかかげてみる画像資料は,「2024年 物価も気になるハワイ旅行の費用(1ドル 145円換算)」『淡い情報KOKO』2024年2月8日,https://hawaii-koko.com/travel-budget/ である。

ラーメン一杯 3000円がハワイでは相場(2023年9月時点の実例あり)

 安倍晋三が「悪夢のような民主党政権」とけなした時期にころはまだ,円ドルレートはおよそこの半分近くの水準にまで「高かった:円高」であった。当時は,アベの形容を借りれば,まるで「悪夢のような」「最近における海外旅行価格(の高騰ぶり)」は,まだ生じていなかった。

 最近になるや,だんだんとその悪夢が本当の正夢そのものになりつつある「海外旅行経費の高価格化現象」は,日本経済の実力低下,つまり円の価値の大幅な低落によって,確実に押し寄せてきた。

 アベノミクスのことは,その提唱がなされた直後からただちに《アホノミクス》だ(!)と,それこそ野次り倒されるくらいにまでひどく罵倒されていたが,むべなるかなである。

貧乏神である本質が暴露された
こういう指摘はけっしてバカにできない

 だが,アベノミクスおよびアベノポリティックスは,平均的な国民たちの立場からしたら,その日常生活にとって「悪政そのもの」でしかありえない,いいかえると「弱り目に祟り目」同然の「政治の執政」と「経済の運営」しか,その「ミクス」はおこないえなかった。

 結局,「世襲3代目の政治屋」のこのボンボンに,この1億2千万人以上もの人口を抱える国家・経済・社会・文化・伝統の上手な運営など,もとよりできるわけがなかった。

 しかし,だからというべきか逆には,この首相になった安倍晋三を,あの自民党の議員として選んで送りつづけた有権者たち側にも問題があったことになる。そういわれて当然なのであり,さらには,選挙のさいいつも「自分の1票を捨てている」人びとが多い実情にも,重大な問題があったことも忘れてはるまい。

 次段の記述からは,現在の2024年3月から再度,過去の2016年12月の時点に戻ることになる。


 ※-3「プーチン大統領,温泉入らず? =山口地酒は堪能」『時事通信』2016年12月16日(金)23時4分

 ロシアのプーチン大統領は〔2016年12月〕16日,首相公邸での共同記者会見で,宿泊した山口県長門市の旅館で温泉に入ったのかと問われ,「ひとつだけ温まる経験をした。それは地酒だ」と冗談を飛ばした。「(地酒は)お薦めだが,ほどほどに」と続け,笑いを誘った。

 12月15日の長門市での首脳会談の冒頭,安倍晋三首相が「ここの温泉は疲れがとれる」と太鼓判を押すと,プーチン大統領は「一番いいのは疲れないことだ」とジョークを口に上機嫌だった。夕食会で日本料理に舌鼓を打ったものの,温泉には入らなかったとみられる。

プーチンは温泉は嫌い?


 この記事のなかでプーチンが「一番いいのは疲れないことだ」とジョークを飛ばしたというくだりは,実は,今回の会談(2016年12月15・16日)に対する「ロシア側の〈基本的な態度〉」を意味していた,という解釈が一般的である。

 つまり,プーチンのほうはもともと,日本側の安倍晋三が期待するほど,この両国の会談に期待をしておらず,初めから「日ロ共同経済活動」のオイシイところだけ食い逃げする〈魂胆〉だと指摘されていた。結局,この事前の観測どおりにこの日ロ会談は終わっていた,としか解釈のしようがなかった。

 その間におけるこの日ソ会談の様子を観ていると,なぜか安倍晋三1人ばかりが異様にまで力んでいる様子が感じとれた。

 2016年12月15~16日のニュース報道に映っていた安倍晋三の表情を思いだしてみるに,プーチンと顔を合わせているときの安倍は,一生懸命に表情(笑顔を浮かべたような)を作ってはいたものの,そうではないときは,ただ「落胆したかのような気分を漂わせる顔つき」に終始していた。

 それもそうである,当時もたれた日ロ会談については,日本側にとってはなにも具体的な成果がえられないという前評判が流れていたけれども,完全にそのとおりに終わっていたからである。

 

 ※-4「『日本完敗,合意は負の遺産』北海道大名誉教授・木村 汎氏に聞く」『東京新聞』2016年12月17日朝刊

 会談は日本側の完敗だった。平和条約交渉は事実上おこなわれず,同条約に関する声明や文書が出なかったばかりか,四島での「共同経済活動」の協議開始にすら合意してしまった。今後日本は,これらの「負の遺産」をもとにして,対ロ交渉をおこなわねばならなくなった。 

 どうすれば日本の主権を損なわないかたちで,四島での「共同経済活動」が可能になるのか。妙案があるとは思えない。平和条約締結に向けての重要な一歩どころか,むしろマイナス効果を及ぼすことが危惧される。主権の所在はどうでもよいとの気分が醸成され,ロシアの実効支配が強化されるからだ。

 一つの救いは,日本の主権が侵害される場合,日本はただちにそうしたプログラムを中止できることだ。日本側が提案している「八項目」の経済協力も,今後ロシアが領土交渉に誠意を示さなければ,中止すべきだろう。北方領土への人的交流の拡大は唯一,評価できる。

北方領土をめぐる日ソ(日ロ)交渉史・年表


 プーチン氏は今回,1956年の日ソ共同宣言で明記された歯舞,色丹の二島すら日本に引き渡そうとしなかった。多くの日本人の失望と反発を買ったに違いない。そのために日本からの対ロ協力は限定的なものにとどまるだろう。プーチン氏にとり,戦術的には勝利にみえるが,戦略的には失敗したといえるだろう。

 ロシア側は大きな成果を収めていた。プーチン訪日それじたいにより,G7による包囲網を突破した事実を全世界に喧伝できたからだ。安倍首相が前のめりの姿勢を示した結果として,プーチン氏は,ロシアが得意とする焦(じ)らしや恫喝,まず高値を吹っかける「バザール商法」などの交渉戦術を縦横に駆使し,最高首脳間の「信頼」関係の存在だけにすがる日本側を子供のように翻弄した。

    ◇〈日ソ共同宣言の北方領土返還に関する条項〉について ◇

 「ソ連は,日本の要望にこたえかつ日本の利益を考慮して,歯舞群島及び色丹島を日本に引き渡すことに同意する。ただし,これらの諸島は,日本とソ連との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする」

日ソ共同宣言の北方領土返還に関する条項

 木村 汎がこのように,今回もたれた日ロ会談に与える評価はきわめてきびしい。もっとも「プーチン氏にとり,戦術的には勝利にみえるが,戦略的には失敗したといえる」ことは,戦術的にも戦略的にも稚拙な交渉しかできなかった安倍晋三側の外交下手ぶり全体に比較すれば,たいした不利を感じさせない。そのくらいに,それもプーチンのほうに「悪乗りさせる」ほどに,安倍の駆け引きがひどく下手だったに過ぎない。

 『日本経済新聞』2016年12月17日朝刊に掲載された「日ロ首脳会談 評価は」というインタビュー記事のなかで,袴田茂樹(新潟県立大学)は,「領土返還 遠のく可能性」と見出しを書かれるごときに,応答をしていた。

 日ロ(旧日ソ)会談ほど困難な外交史をたどってきているものはないが(北朝鮮との外交はひとまず棚上げしておく),この難度が一番である日ロ交渉においてとくに「北方領土」の問題が,まったく議論にさえなっていなかったのだから,安倍晋三は,首相の立場からいったいなんのためにプーチンと会談したのかと批難されて当然である。

 2016年12月17日の新聞朝刊(以下の3紙)は,なかでも問題になる日ロ会談の課題については,つぎのように報道していた。本ブログ筆者の関心を惹く見出しのみを,任意に取捨選択しつつ参照しておく。

  1)『日本経済新聞』 「領土返還 道のり遠く」「『特別な制度』主権の壁」「平和条約は容易ではない」「すぐ解決の考え捨てよ」

  2)『朝日新聞』 「領土交渉 険しさ鮮明」「日本,進展期待も肩すかし」「ロシア,日米安保懸念」

  3)『東京新聞』 「領土問題 壁厚く」「共同経済活動 思惑に差」「プーチン氏『早期解決論 放棄を」

 

 ※-5 実質的に対米従属であるこの日本国の首相,それもボンボン出の世襲3代目政治家「安倍晋三」が,そもそも,ロシアの大統領と対等に外交(交渉:渡り合いを)できるつもりであったのか

 2016年12月13日に沖縄県で発生したオスプレイの不時着・墜落事故では,海上保安庁の艦船や職員がこの事故現場(現場検証の手続き)にも近寄れず,もちろん立ち入れもできないで,遠巻きにみているだけという「日本側のアメリカ服属的な風景」が,またもや再現されていた。

 日本は米日安保体制・米日行政協定によって,まるでアメリカの「軍事的な属国」である様相が日常化,いいかえれば骨肉化している。

その後もときどきオスプレイは墜落事故を起こしている


 ということなのであれば,『日本経済新聞』12月17日「〈社説〉出方見極め冷静に対ロ交渉継続を」が,「プーチン氏からみれば,もはや,領土問題で譲歩してまで日ロ関係の修復を急ぐ理由は薄れている。安倍政権がこうした局面に対応することに関してであるが,日米や日欧関係の強化がこれまで以上に大切だ」とか,

 「日本は主要7カ国(G7)の一員として,ロシアに国際社会の懸念を伝え,正しい行動を促す役割もある。日ロはともに強いリーダーシップをもった安定政権が続く。安倍政権は会談の結果を次に生かし,局面打開への努力を続けてほしい」とかいって必死に激励してみたところで,

 ここでさらに,くわえていっておくが,安倍晋三が自民党総裁を3期6年間までを勤めていったところで,この首相の政治家として手腕:実力が今後において,とりたてて目を見張るほどにも改善・向上できなければ,どだいは無理難題でありつづけるほかなかった(実際にもそのとおりになっていったが)。

 補注)前段の主張は,現在(2024年3月1日)になってみれば,その結果が明解に指示されていた。安倍晋三は2020年9月16日,トンズラするように長期間務めた首相の地位を,ようやくになったが投げ捨てた。政治資金の問題がらみで検察庁の捜査進展状況に恐怖を感じた安倍晋三は,そうして7年と8ヵ月もつづいた首相の地位から,とうとう離れたのである。

 「『私の世代で終止符打つ』首相,北方領土巡り」『朝日新聞』2016年12月13日朝刊は,つぎのように伝えていたが,この首相はよくよくというか,ほとほとというか,自分ができもしないことをよくも,かんなクズがペラペラ燃えるかのように語れた人であった。

 安倍晋三首相は〔2016年12月〕12日,北方領土の元島民らと首相公邸で面会し,日ロ首脳会談について,「私の世代で,この問題に終止符を打つ。この決意で臨みたい」と語った。

 首相は「長い間進んでこなかった北方領土の問題の解決に向けて,一歩でも前進させるために全力を尽くしたい」とも述べた。

 国後島出身で,千島歯舞諸島居住者連盟の脇紀美夫理事長は「子どもや孫と故郷に戻れる日を待ち望んでいる。一歩でも二歩でも具体的に進めていただきたい」と話し,プーチン大統領宛ての手紙を首相に託した。

『朝日新聞』2016年12月13日朝刊


 ※-6「〈社説〉日ロ首脳会談 あまりに大きな隔たり」『朝日新聞』2016年12月17日朝刊

 すれ違いぶりがきわだつ,両首脳の共同会見だった。安倍首相が焦点を当てたのは北方領土問題を含む平和条約締結。一方,ロシアのプーチン大統領の関心は日本の経済協力。その溝は深い。

日ロ会談進捗度
なお「△ は実質では ✕ である」とみなせる


 プーチン氏が共同会見で領土問題にからんで強調したのは,1956年の日ソ共同宣言だ。平和条約を結んだ後,歯舞(はぼまい),色丹(しこたん)の2島を日本側に引き渡すとされ,国後(くなしり),択捉(えとろふ)への直接の言及はない。

 さらに歯舞,色丹を引き渡すにしても,ロシアの主権を維持する可能性にも触れた。4島の帰属の問題を解決して平和条約を結ぶという日本の立場とは大きく食いちがう。

 プーチン氏は日米安保条約にも言及。引き渡し後の島に米軍基地が置かれることへの警戒感をあらわにした。日本としては受け入れられない主張だ。

 首相が「平和条約締結に向けた重要な一歩」と胸を張った,4島での共同経済活動も具体的な中身はこれからだ。

 かつて何度か検討されたが,日ロどちらの主権を適用するかが問題とされ,そのたびに立ち消えになってきた。ロシア側は今回も「ロシアの法律にもとづいておこなわれる」と明言し,早くもかみあっていない。

 「戦後71年を経ててなお,日ロの間に平和条約がない。異常な状態に,私たちの世代で終止符を打たなければならない」

 首相はそう意気ごむが,今回〔当時〕あらわになったのはむしろ,交渉の先行きがみえない現実だ。近い将来,大きな進展がみこめるかのような過剰な期待をふりまいてはならない。

 日ロ間に横たわる戦後処理の決着をめざす首相の姿勢は,理解できる。首脳同士が信頼を育むことは,地域に安定をもたらすうえでも意味がある。同時に,日本が忘れてならないことがある。「法の支配」をはじめとする普遍的な原則をゆるがせにしてはならない。

 2014年のロシアによるクリミア併合を受け,日本も欧米とともにロシアに経済制裁を科すなかで,日本は今回,ロシアへの80件もの経済協力で合意した。二国間の信頼醸成には役立つだろうが,制裁を続けるG7の足並みを乱し,「法の支配」の原則を二の次にしたロシアへの急接近と映らないか。

 米国の次期大統領にトランプ氏が当選し,国際社会は米ロ関係やシリア問題の行方に目をこらしている。領土問題は重要だが,けっして焦ってはならない。外交の原則を崩さず,粘り強く解決をめざす姿勢が肝要だ。(日経記事引用終わり)

 なお,その後の2022年2月24日,ロシアのプーチンはウクライナ侵略戦争をしかけた。2年以上が経過したいまも,なお「宇露戦争」は終わっていない。プーチンのいいぐさを聞いていると,まるでウクライナが最初に攻めてきたみたいな妄言など,平気でなんどでも繰り返している。

 ここで,話を2016年に戻す。

 『朝日新聞』2016年12月16日夕刊1面〈素粒子〉欄は,今回(当時)もたれた日ソ会談を,こう描写していた。

 ★-1 巌流島は隣の下関。長門の会談は大幅に遅れて始まる。「小次郎敗れたり」と心中でつぶやいたかプーチン武蔵。

 ★-2 米国には調略をしかけ。ロシア政府がサイバー攻撃で大統領選に介入の疑惑。トランプ氏に隠密の援軍を遣わす。

 ★-3 内には弁慶のふるまいの安倍政権。国会では採決強行を連発する。賭場を開いて国民のカネを巻き上げようとは。

『朝日新聞』12月16日夕刊1面〈素粒子〉


 つぎは『日本経済新聞』2016年12月17日朝刊「春秋」から後半の段落のみ引用する。木村 汎の姓名〔と執筆物〕が出てくる文章である。

 ▼ スパイの腕前は現在のロシアの大統領の方が上かもしれない。対話の名手である。人心操縦術にたけ,自分は交渉相手が望むような人物だと思わせる。

 「強いロシア」をかかげ,国民の高い支持を得ているのも,旧ソ連のKGBの訓練で磨きをかけた「人たらしの術」のおかげらしい。(木村 汎著『プーチン-内政的考察』)

 ▼ 安倍首相にはどう映っているか。鳴り物入りの会談は平和条約への決意表明にとどまった。北方領土には,にべもない。モームは半年早ければ,まだ可能性があったと嘆いた。

 この問題も時機を逸したのか。トランプ旋風で再び世界は変わった。もったいぶった話術に翻弄されているうちに,北の島々はどんどん遠くなる。

『日本経済新聞』2016年12月17日朝刊「春秋」

 さて,安倍晋三君はいったい,なんのために日ロ交渉を,わざわざ首脳会談の形式でおこなったのか? 

 いわゆる北方領土がどんどん遠くに去って〔離れて〕いくような「プーチンとの一泊二日の首脳会談」は,やるよりもやらなかったほうが,間違いなくはるかによかった。

 とりわけ,安倍晋三君の持ち前であった「政治家としての資質・力量」そのものが,今回における日ロ会談を契機に一気に,より明確に露呈させられていた。

 そういうたぐいの「外交の場」になっていた。結局,やらなければよかった。下手にかっこうをつけて大勝負に出たつもりが,トンデモの結果,やぶ蛇であった。

 そう思うのは,本ブログ筆者1人だけではあるまい。ところで,安倍晋三君は1人で温泉を楽しんだのか。 

 

 ※-7「追 記:その1」

 「ロシア包囲網を無視 安倍首相 “思いつき外交” にオバマ激怒」『日刊ゲンダイ』2016年12月18日から引用する。この記事は『日刊ゲンダイ』2016年12月18日であった。

 --高級旅館に宿泊して豪華料理と日本酒に舌鼓を打って3000億円の経済協力をゲット。笑いが止まらないだろう。安倍首相との首脳会談を終え,16日夜,帰国の途についたロシアのプーチン大統領のことだ。

 他方,みっともないのは「一本負け」にもかかわらず,「日ロ間に平和条約がない異常な状態に私たちの手で終止符を打たなければならない」と語っていた安倍首相だ。あらためて,この男は外交の「ガ」の字も理解しちゃいない。

 「ウラジーミル,今回の君と私との合意を出発点に『自他共栄』の新たな日ロ関係を本日ここから,ともに築いていこう」

 安倍首相はプーチンを親しみをこめてファーストネームで呼んでいたが,世界の首脳は眉をひそめているに違いない。そもそも,国際社会でプーチンは “鼻つまみ者” あつかいも同然だからだ。

 註記)以上は,http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/196063/1

 結局,安倍外交は「地球儀俯瞰」どころか,いきあたりばったりの「思いつき」なのだ。

 註記)ここは,http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/196063/3

 安倍晋三が当時,こうした指摘・批判に本当になにも気づいていなかったとしたら,すでに重症どころか瀕死の重体であったのが,この日本の首相よる「外交の現状(当時の展開)」であった。

 「安倍の政治家としての基本体質」が度外れに虚弱であった。そもそも,なににこだわっていたせいで,プーチンに対する一方的な,それも「お返し:take」なしでの「お土産外交:give」しかできなかったのか?

 国際政治の様相を自分なりに俯瞰したうえで,日本国首相としての立場をどこかに定置させ,さらにそこからどこに・どのように舵とりしていこうとしていたのか?

 その点が,この首相から具体的にはなにも伝わってこなかった。子どものままごとに近い一国最高指導者の外交ぶりならば,手にとるように伝わってきていたが……。

 なかんずく,この人はすでに,政治家として日本の首相の地位にふさわしくない事実(采配ぶり?)をこれまで,やたら,まわりにみせつけてきた。

 その意味ではまさしく,完全なる『亡国の総理大臣』と形容するほかなかった。

 当時から確実に自分で墓穴を掘りつつあった。ただし,その墓穴は安倍1人用ではなく,国民(市民・住民)たちが入れるほどに大きいゆえ,クワバラ,クワバラ……。

 ところで「今日の2024年3月1日になって」みれば,その当人はこの世にはいない。なんとも皮肉だったという以上に,安倍晋三による「日本の外交・失敗」だけが記録されていた事実には,憤懣さえ感じる。

 その事実は思いだすたびに呆れかえるほかなかった「記憶」としても,本ブログ筆者の場合だと脳裡に刻みこまれている。

 ※-8「追 記:その2」

 「『プーチン訪日』大失敗をごまかす安倍官邸の情報操作にマスコミが丸乗り! ただのプレス発表を共同声明と」『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』2016年12月16日から引用。

 --プーチンはシリアのアサド政権の協力者であるが,そのシリアでは政府軍による市民の大虐殺が大きな問題となっており,世界中から批判が殺到している。今〔12〕月13日には,フランスのオランド大統領が「ロシアなくしてアサド政権もない。ロシアには(アレッポの)惨状に責任がある」と非難。

 EUは昨日〔2016年12月15日〕,ロシアへの経済制裁を半年間延長することで合意した。また,国連安全保障理事会も,潘 基文事務総長が「シリアとその同盟国であるロシアやイランに国際人道法に従うよう求める」と強い批判をおこなっている。

 このような情勢下にあって,日本政府は市民の虐殺に関与するプーチン大統領に対していっさい非難しなかった。

 G7のうち日本を除く6カ国はすべてシリアに即時停戦を求める共同声明を出したが,日本はそれにすら参加しなかった。そればかりかロシアの責任の重さから経済制裁の延長が検討されるなかで,日本は3000億円も貢いで協力すると発表したのだ。

 だが,マスコミはこうした日本政府の姿勢をこの間,追求しなかっただけではなく,シリアで罪のない大勢の市民が殺害されつづけている実態をまったくとりあげず,「プーチン大統領は親日家」などと歓迎したのである。これではシリアでの虐殺を是認しているようなものだ。

 “戦争犯罪者” であるプーチンをもちあげ茶番劇を繰り広げた安倍政権と,それに追随するメディア。恥も外聞もないとは,まさにこの国のことだろう。

 註記)以上は,http://lite-ra.com/2016/12/post-2777_3.html

 2016年12月以降の安倍晋三は首相としてどのように「日本の政治」のなかを遊泳していたか? 当時(2016年12月)のころまでには,すでにこの国が「衰退途上国」の段階に入っていた事実を認めざるをえなかったが,実に悲しいこの国の真相に関する一コマが,安倍晋三の行為にも克明に反映されていた。

 安倍晋三は山上徹也に狙撃され死んだことになっているが,山上以外にもこの「世襲3代目の政治屋」に対しては深い怨念だけでなく,さらには濃厚な呪詛までを抱いて者たちがいないわけではなかった。

 安倍晋三個人としての「政治屋として存在理由」がなんであったか,その真価はいかほどであったかはさておき,日本の政治にとっては決定的だったというべき「負的な大汚点」を残した人物として特記されて,当然である。

 もちろん,そんな安倍晋三でも大いにヨイショしたがる者たちがいないのではない。例のアベ・ヨイショ本ならば,たくさん公刊されている事実が,その事情を如実に物語っている。故人になった安倍晋三のことをそこまで褒めあげるのは,個々人の好き勝手ではあるが,事実認識に関して二重,三重によじれている描写ぶりは,これについてはまた別様の分析が必要になっていた。

 けれども,2016年12月の日ソ会談において記録した安倍晋三のあの「下手クソ一辺倒であった外交手腕の欠落ぶり」ときたら,これには「付ける薬などもともとなかった由来」そのものが,完全に近いほどに実証されていた。

 つまり,アベノポリティックスは内政でも落第,外交では初めから及びでなかったゆえ,評価の対象になりえなかった。それゆえ,当人の立場はともかく,国民・市民・庶民の立場からは,彼は間違いなく,トンデモ以前に位置していた『代物的な「世襲3代目の政治屋」であった』ことになる。

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