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従軍慰安婦問題の本質(9)

 従軍慰安婦問題と公娼制度とを混同させ,軍・性的奴隷問題をボカしておきたい論者のマヤカシ的理屈は,軍隊における「性の問題」というものの「歴史と本質」の,その「現実と展開」をしりたくないがゆえの,無識ぶりをみずから暴露している。

 【※断わり】 「本稿(9)」の記述は,とくに「本稿(7)(8)」から連続した内容になっている。とくに,この点には注意をお願いしておきたい。そしてこの「本稿(9)」は2014年8月6日に初出,2021年9月26日に更新され,本日 2023年8月25日に改訂することになった。

  要点・1 なにがなんでも,従軍慰安婦:軍性的奴隷という「歴史の事実」は無条件に否定しておきたい,ともかく旧大日本帝国史に「存在しなかった事実」にしておきたい,そのように自慰感情的かつ無反省に思いこみたい「単細胞の国粋・極右の歴史修正主義」者たちに固有で思考方式,

 いわば,従軍慰安婦問題に対するそれも「言論弾圧的な破廉恥だかげん」は,国際世論からのきびしい視線を投じられている事実にすら気づかないまま,現在においてもまだ,ただ「井の中の蛙」的に持続できる虚偽意識を抱きつづけている

  要点・2 旧大日本帝国軍「付設の慰安所」というものを全面的に否定したかった安倍晋三などは,感情的な反発だけで従軍慰安婦の実在を否定しようとした。すなわち,無論理によってそのように強硬に反発するだけしてきた歴史理解は,

 無教養のきわみを露呈しただけでなく,逆説的な意味においては,日本という国にとってみれば,かえって「国恥的政治屋」「逆立ちした国辱者」であった事実を,あらためてみずから白日のもとにさらした

  要点・3 安倍晋三は首相就任後2年目の2014年夏,朝日新聞社を「従軍慰安婦問題」関連の「誤報記事」をネタに使い,さんざんに脅し,締め上げてきた,だが,そのような内政「問題」に精励している最中にも「日本の政治と経済」は劣化の度合いを加速化させてきた,2020年になるとコロナ過に襲来され,せっかく順調に展開してきた「観光立国化」は頓挫。その後の日本は先進国とはいえない国情にまで陥没していた
 

 ※-1 ま え が き

 本ブログは「従軍慰安婦の本質」との題名をかかげ,旧大日本帝国軍において兵站の一端を形成していた従軍慰安婦集団と,その彼女らを収容し,「性的奉仕」を使役させるのための「施設:慰安所」との存在をめぐる話題を,連続する記述としてとりあげ議論してきた。

 しかし,本日に最初に触れるのは,いまから9年前,『朝日新聞』2014年8月の5日朝刊と6日朝刊に連続して掲載されていた「従軍慰安婦問題」に関する特集記事となる。

 その2014年8月5日『朝日新聞』朝刊は16・17面に特集を組み,まず慰安婦問題とはなにかを解説し,1990年代の報道への読者の疑問に答えていた。そしてつぎに,8月6日朝刊は,この問題で揺れる日韓関係の四半世紀を振り返るとともに,慰安婦問題をどう考えるかを専門家に語らせていた。

 補注)本日のこの記述は,2014年当時にあって,まずなされていた。本日あらためて,ネット上においてだが,「以上に該当し,関連する特集記事」を探したところ,該当する『朝日新聞』の記事はみつかったので,問題の前提をよくしるためにも,こちらの内容をさきに,次項※-2において紹介する構成になった。

 補注)本ブログ筆者が気になったのは,この記事〔2014年8月5日・6日の『朝日新聞』の該当記事のこと〕が当時においての措置であったと思われるが,その特集記事そのものを「活字(文書)を拾えない」「ウェッブ版の造り(制限付き)」になっていた事実である。

 他のすべての面の記事が拾える構成になっていたのに,なぜ,その特集記事だけがそういう処理を画面(紙面)にほどこしていたのか,若干の疑念を抱いたしだいであった。
 

 ※-2『朝日新聞』2014年8月5日・6日朝刊の記事などを事後にまとめて整理した asahi.com の報道

 以下は,表題を『慰安婦問題を考える』([英語版]も同時に報道)とかかげた特集記事の概要(骨子)を紹介する。このリンクをつぎに示してあるが,現在も『朝日新聞』の購読者でなくとも,有料記事の一部分については読める。

 註記)ウェブ版での住所は,asahi.com http://www.asahi.com/topics/ianfumondaiwokangaeru/

 以下の引照においては,文章として意味が連なっている段落以外は,〈記事の見出し〉の文句を抜き出し,並べただけのものになっている。それら記事の中身まですべてを引用することしたら,相当の分量になるので,そこまではしないことにした。また,引用に当たっては,分かりやすくする工夫として,連番などを付したりもした。

 さきに,つぎの『朝日新聞』2014年8月5日朝刊「社説」を画像資料にして紹介しておく。

『朝日新聞』社説-きわめてまっとうな反論であるが
当時の安倍晋三政権にとってはなにをいってもともかく
「目の上のタンコブ」が従軍慰安婦問題であった

 1) 慰安婦問題  核心は変わらず-2014年8月28日時点の指摘・批判-

 朝日新聞が〔2014年〕今〔8月〕月5,6日に掲載した慰安婦問題の特集をきっかけに,さまざまな議論が起きている。

 慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏の証言を報じた記事を取り消したことを受け,慰安婦問題で謝罪と反省を表明した河野洋平官房長官談話(河野談話)の根拠が揺らぐかのような指摘も出ている。

 談話作成にかかわった当時の関係者の証言を紹介するとともに,韓国社会での慰安婦問題の受け止め方を振り返り,あらためてポイントを整理した。

 補注)この杉浦信之の基本的な見地については,「朝日新聞の慰安婦特集特集はまだ初日の記事しか出ていないが,どうも『吉田清治の記事以外はすべて当社が正しい』といいたいようだ」といった,先走った=「反発心を先行させた批判」などが,右翼系の記事・記述には多く披露されていた。

 だが,従軍慰安婦問題を本格的という意味で学術研究がなされてきた結論(なりゆき?)としてみれば,そのように「吉田清治の記事以外は」すべて,朝日新聞社のほうに理があるとしかいいようがない。

 それは,「理があった」という過去的な表現などではなく,現在(本日のこの記述は2023年8月25日となるが)においても,変わらず「理がある」という認識になるほかない「その点」を指していた。この解釈は,本ブログがこの「従軍慰安婦問題の本質」という連続物の記述を通して,「一貫した主張」として堅持するものであった。

 〔記事に戻る→〕 以上につづく段落には,[ 本文を読む ⇒ https://digital.asahi.com/articles/ASG8W4CPWG8WUTIL01N.html ] というリンクが張られているが,こちらのリンクに移動して入ると,小見出しに「河野談話,吉田証言に依拠せず」「韓国,元慰安婦証言を重視」という2項目が出ている。

 2) 慰安婦問題どう伝えたか -読者の疑問に答えます

 朝日新聞の慰安婦報道に寄せられたさまざまな疑問の声に答えるために,私たちはこれまでの報道を点検しました。その結果を読者の皆様に報告します。慰安婦問題取材班)=文中の肩書は当時,記者の年齢は現在。記事は断わりのないものは東京本社版。  

 補注)なお。ここ( ↑ )に書かれていた記事の内容は,以下の引用中では出ておらず省かれており,言及されていないので,念のため断わっておきたい。 この記事を引用する直前につぎの図解資料として3点を添えておくのが便宜である。

この地図・図解についてはつぎの『朝日新聞』から借りるこれも
照合するかたちで観るのも一興
こうした当時の記録からはほとんど抜き落としてきたのが
従軍慰安婦の問題であった
もっとも日本軍の将兵たちの記憶から従軍慰安婦問題の存在が
消失するということはありえなかった
旧・大日本帝国陸海軍の赴いた地域にあっては
実質,軍営管轄の下に置かれた性的奴隷としての慰安婦の存在は
しごく当然の制度的な存在であった

 --なお以下の( )内の日付は2014年のものである。

 慰安所と慰安婦慰安所と慰安婦 慰安婦問題とは(08/05)-一番上の図解はこの記事から引用した-
 
  強制連行 自由を奪われた強制性あった(08/05)  
 「済州島で連行」証言 付け得られず虚偽と判断(08/05)
 「軍関係示す資料」 本紙報道前に政府も存在把握(08/05)
 「挺身隊」との混同 当時は研究が乏しく同一視(08/05)
 「元慰安婦 初の証言」 記事に事実のねじ曲げない(08/05)
他紙の報道は(08/05)

 補注)『朝日新聞』だけでなく,他紙=主要紙も朝日新聞社と同じに報道していたが,なぜか,安倍晋三は「朝日新聞社,憎し!」という私的感情に走ったすえ,この新聞社だけを必死になって攻撃した。権力乱用もはなはだしい「子どもの裸の王様」ぶりは,限度を超えていた。

 子どもの総理大臣に「大人みたいに話しをしろ」といっても,ムリであった。もっとも,その大人のなかにも,てんでダメで,子どもみたいな,つまり「安倍晋三」に近い「世襲3代目の政治屋」どもが大勢いて,この連中に「事実やまともなリクツにもとづいた会話・対話」は,初めからもともととうてい不可能事であった。

 「こんな首相:安倍晋三」に2010年代の7年と8カ月も日本の為政がまかされていたのだから,この国じたいがみるみるうちに実質,どんどん崩壊してきた事実は,さもありなんであった。

 関連して触れておくと,下図のごとき「報道の自由度順位」における日本の順位,その「後進国化ぶり」は,発展途上というよりは下落途中だと受けとるほかなかった。なかんずく,この下落傾向に対する「世襲3代目の政治屋」安倍晋三君の貢献には,多大ものがあった。

最新,2023年における日本の報道の自由度・順位は
つぎのようになった
以上,みているだけでなにか恥ずかしくなる順位

〔記事に戻る( ↓ )〕
 3) 日韓関係なぜこじれたか

 慰安婦問題はどのようにして政治・外交問題へと発展していったのか。日韓両政府の解決に向けた努力にもかかわらず,なぜこじれて,今に至るのか。(慰安婦問題取材班)=文中の肩書は当時(2014年)

   河野談話 韓国政府も内容評価(08/06)
   アジア女性基金に市民団体反発(08/06)
   韓国憲法裁決定で再び懸案に(08/069

 4) 米国からの視線

 慰安婦問題の解決を促している米国の識者はどう観ているのか。歴史学と国際政治学の研究者2人に話を聞いた。

  女性への暴力,国際社会は注視 キャロル・グラックさん(08/06)
 「忘れない」と言い続けよう マイク・モチヅキさん(08/06)

 5) 慰安婦問題特集 3氏に聞く-秦 郁彦,吉見義明,小熊英二-

 慰安婦問題にくわしい3人の専門家に特集紙面の記事を事前に読んでいただきました。今回の特集への感想とともに,この問題をどう考えるべきかを論じてもらいました。(以上で記事,引用終わり)

 従軍慰安婦問題に関してとなれば,以上のごとき,朝日新聞社側が事案の発生を契機にあらためてとりまとめた関連記事を読みとおせば,かなり知識量が増えることはもちろんのことだが,そのなかには,この問題に関してより客観的で公平な議論をするためのてがかりも入手できるはずである。

 この指摘は『朝日新聞』に味方していうものではなく,従軍慰安婦問題に対する概観をえるためには,ほかに手頃で適切な資料・文献がみつけにくいという観点からしても,〔2014年当時においてはとくにそうであったが〕よりマシだという意味でおこなってみた。

 従軍慰安婦問題の理解をより深めたいのであれば,単にいまの日本社会に底辺に漂流させられている「嫌韓意識」あるいは「反韓感情」に根っこにおいて呪縛されたまま,朝日新聞社の提示した見解に対面していては,いつまで経っても問題の核心には近づけない。

 それどころか,せいぜいその外側の周辺,表相に囚われてウロウロするだけで,しかもお触り程度の理解にすら到達しえないで終わる。このあたりの問題についてとなるといつものことだが,たとえばつぎの※-2にとりあげるような出来事が生じていた事実からも再確認できる。
 

 ※-3 2014年8月6日の『朝日新聞』朝刊の記事には社会面(38面)に,こういう関連する報道が掲載されていた

   ★ FLASHに朝日新聞社が抗議文『捏造,一切ない』」★

 〔2014年8月〕5日に発売された光文社の写真誌「FLASH」8月19日・26日号に掲載された「『従軍慰安婦捏造(ねつぞう)』朝日新聞記者 大学教授転身がパー」の見出しの記事について,朝日新聞社は5日,朝日新聞の報道を根拠なく「捏造」と決めつけ,名誉と信用をいちじるしく傷つけたとして,FLASH編集長に抗議するとともに,謝罪と訂正の記事掲載を求める文書を送った。

 朝日新聞社広報部は「5日付朝日新聞の特集『慰安婦問題を考える:上』で報じた通り,慰安婦問題を報じた記事に朝日新聞記者による捏造はいっさいありません」としている。

FLASHの報道 

 くわえてさらに別にであったが,2014年8月6日『日本経済新聞』朝刊は,昨日における『朝日新聞』の慰安婦問題特集記事(1回目)について,「社会1」(38面)「朝日新聞 慰安婦めぐる記事を一部取り消し 『虚偽と判断』」との見出しを付して,日経の記事じたいがいかにも〈客観報道〉であったかのような体裁をよそおいつつ,つぎのように報じていた。

 朝日新聞は5日付の朝刊に,従軍慰安婦をめぐる同紙の過去の報道を検証する記事を掲載し「済州島(現・韓国)で強制連行した」とする日本人男性の証言を「虚偽だと判断し(関連の)記事を取り消す」とした。

 男性は「朝鮮人慰安婦と日本人」などの著書がある元山口県労務報国会下関支部動員部長の吉田清治氏(故人)。2ページにわたる検証記事によると,朝日新聞は,慰安婦にするため暴力を使って無理やり女性を連れ出したとする吉田氏の証言を1980~90年代に16回報じた。

 検証記事では「済州島で再取材したが,証言を裏付ける話はえられなかった。研究者への取材でも証言の核心部分についての矛盾が明らかになった」としている。

『日本経済新聞』の報道

 要するに『日本経済新聞』の場合のこの記事は,昨日〔2014年8月5日〕における『朝日新聞』朝刊のその特集記事が,16・17面を充てての「大特集」であった事実には触れず,いかにも『朝日新聞』が間違えた報道を「過去に記録していた」(そしてその誤報を認め,これを取り消していた)という〈1面:片面〉のみを前面に出して,つまり針小棒大的にとりあげ特筆大書もしたつもりの「紙面の造り」になっていた。
 

 ※-4 関連する議論と批判-従軍慰安婦問題の理解に必要な基本知識-

 ここで参考にまで,大沼保昭『「慰安婦」問題とは何だったのか-メディア・NGO・政府の功罪-』中央公論新社,2007年から,つぎの箇所を引用をしておく。

 日本政府が1993年に河野官房長官談話で「慰安婦」問題への日本軍の関与を認め,1995年にアジア女性基金をつくって償いをおこなうことを決定したあとでさえ,政治家のなかには「『慰安婦』は公娼・売春婦であり,補償の必要はない」といったたぐいの見解を公然と主張する者が絶えなかった。

 こうした主張は事実の根拠を欠き,被害者をはなはだしく傷つけるものだった。政府はこうした言説に対して,政府の公式見解を強調し,毅然としてこれを批判し,「慰安婦」問題について責任を認めた日本政府の立場を,国内でも国際社会でも明らかにしつづけるべきであった。

 しかし,日本政府はそうした自覚的な,目にみえる努力を怠った(173頁)。

大沼保昭の見解

 安倍晋三政権も,この首相自身が慰安婦問題を絶対に認めたくないイデオロギー(事実認識とは決定的に離れた場所にいながらだが)の持ち主であった。だから,いまさらのように「今後も政府の立場説明」といいつつ,2014年8月5日の『朝日新聞』朝刊による慰安婦問題に関する,前段にその概要を紹介してみた特集記事を念頭に置き,官房長官にこういわせていた。
 
 「菅〔義偉〕官房長官は閣議のあとの記者会見で『政府としては,河野談話の作成過程の客観的な検証結果を発表した。従軍慰安婦に関する政府の立場は今後とも引きつづきしっかりと説明していきたい。いずれにしろ客観的事実にもとづく正しい歴史認識が形成されることを望んでいる』と述べ」,いつまでも,慰安婦問題の存在じたいを徹底的に否定したい気分を横溢させつづけていた。

 註記)http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140805/k10013569301000.html  なお,このNHKのニュースは現在,削除。

 現在〔2014年〕の日本政府の慰安婦問題に対する姿勢については,前掲記事の最後に登場した小熊英二(慶應義塾大学総合政策学部教授)の指摘・批判が有効である。

 要は,国際感覚の欠如,井の中の蛙的発想しかできていない「日本の常識」が「世界(先進国という意味で)の非常識」になっている事実に気づかず,それでもなお,日本側の立場には「正しい歴史認識」があるなどと錯覚しつづけている。

 そして,現在もなおそのままなのである,すなわち,2023年の夏になってもなにもかわっていないという意味で,あらためて指摘しなおしておかねばならない。

 補注)以上の段落の記述は2014年8月中になされていた。だが,いまの日本はそれから7年ほど〔そして今日の記述にさいしては9年が〕経過した。ここに至っては,「先進国である日本」という自己認識が大きくグラつかざるをえなくなった「事実」を,指摘しておかねばならない。

 前段で触れた報道の自由度という現実的な政治次元における問題のみならず,経済次元において日本がこの2023年夏時点で,いかほどまで転落してきたかといえば,たとえば,本ブログ筆者が購読する『毎日新聞』は2023年8月23日の朝刊でつぎのように報道していたとおり,「日本の経済」の低迷・停頓ぶりはますます明らかになっていた。

 しかも,この記事は2021年に関する事実に触れているゆえ,2年あとの今年(現在の状況)は,この経済統計の数値がさらに低下しているはずだとしか予測(推定)のしようがない。

 つぎに引用する本ブログ筆者の購読紙が報道したこの記事は,「ジニ係数に関した2021年調査の結果 」の「数値 0.5700」を,以下のように報じていた。

          ▲ 所得格差,過去最大水準 ▲
        =『毎日新聞』2023年8月23日朝刊 =

 厚生労働省は〔8月〕22日,所得の格差に関する2021年調査の結果を公表した。世帯ごとの格差を示す指標は,前回2017年調査からわずかに悪化し,過去最大だった2014年調査と同水準となった。

 調査対象は,新型コロナウイルス禍で初の緊急事態宣言が出るなどした2020年の所得。非正規労働者らの雇用が打撃を受けた結果,格差が広がったとみられる。

 指標は「ジニ係数」と呼ばれ,1962年から調査。0~1の間で表し,1に近づくほど所得格差が大きい。

 今回,税金の支払いや社会保障給付などを含まない「当初所得」のジニ係数は 0. 5700で,前回比 0. 0106ポイント悪化した。前回は36年ぶりの改善だったが,悪化に転じた。

2021年調査のジニ係数は「数値 0.5700」

 この国が後進国に戻れれば(?)「正しい歴史認識」など不要だなどと,メチャクチャなことはいわないにしても,その「正しい歴史認識」を求める努力を忘れた「国とその民たちになった」としたら,政治意識の次元においてはその精神構造を確実に頽廃,萎縮,衰微させる。

 『大和総研調査季報』2017年季報の〈春期号〉から,すでに以前から悪化傾向一途であた日本のジニ係数に関する統計図表を,つぎの2点を借りて紹介しておく。

非正規雇用比率の増大
これは2012の数値であるが,日本の相対的「な」貧困率が
いちじるしく高い国々のひとつである事実がみてとれる

 さて,本日(ここでは,2021年9月26日付き)の『日本経済新聞』朝刊に出ていた「訪日した外国人観光客」に関する記事,とくにそのなかの統計図表を,注意してみておきたい。2023年になってからは,コロナ禍以前の訪日外国人観光客の再来が明確になっているので,これはこれとして好ましい傾向であるが,日本国内における非正規雇用者群の生活水準の向上に直結する現象ではない。

これは2年ほど前の報道なので,最新の関連統計は
つぎの日本政府観光局の発表を紹介しておく
訪日外国人観光客は回復しつつある

 第2次安倍政権が発足した2012年12月以降,外国人観光客が急増してきたが,アベノミクスなる,いってみればロクデモない経済政策の悪影響のせいで,国民生活のほうは逆に低迷を強いられるばかりであった。

 そもそも日本に観光に来た外国人観光客は東南アジア諸国の人たちも最近は,日本は物価が安いと評判で大喜びしており,彼らも爆買いしてくれるお客様になっている。中国からの団体観光客の訪日も再開されることになり,有名な観光地で観光客が集中するところでは,インバウンド的な観光被害の発生が再起動しそうだと,すでに心配顔になっている。

 以上に記述した訪日する外国人観光客の影絵になっているのが,ジニ係数の悪化傾向をもって示唆されている日本国民たちの貧困問題であった。ネットの宣伝記事にも出ているが,「1日三食をまともに採れない子どもたち・シングルマザー世帯」の実在が,いまの日本国内では深刻な問題になっている。

 そうした日本経済のとくに国民生活側の低空飛行ぶりに端的に現われはじめてきた社会経済の様相は,2014年夏からはじまった安倍政権による政治舞台での大騒ぎ,すなわち「従軍慰安婦問題に関する朝日新聞社の誤報問題」を好餌ととらえた晋三の盲動は,国民・市民の側において理解されたよかったはずのその〈核心の問題〉を,さらに遠くに追いやってしまう原動力になっていた。

 逆にいうと,朝日新聞社による従軍慰安婦問題をめぐる誤報問題に接して国民・市民の側ではこれに快感を抱いたり,なかには快哉を上げたりする人たちが,それなりの数いた。だが,そのような政治の様相に喜んで浸っているうちに,日本の国内情勢はとくにわれわれの賃金水準に関して現実的に観察してみると,つぎに説明されるようになっていた。

 以下の書き出し部分は,菅 義偉政権時に戻っての話題・記述となっているので,その点は留意して読んでほしい。

 第2次安倍政権から菅〔義偉〕政権に至る期間においてコロナ過が襲来してから早,1年と9月が経った。そしてすでに,この両政権が継続していく以前からの実態として現象してきたものが,日本の労働者・サラリーマンが受けとれる賃金水準の立ち遅れであった。分かりやすくいえば,先進国だとみなされいる国々のなかで,日本だけ取り残されたかのような労働経済領域での好ましくない推移が,その間,より深刻な様子として拡延してきた。

   ◆ われわれは貧困化している!?
      労働賃金減少は先進国で日本だけ
        「ファクト」から考える中小製造業の生きる道(1)◆
 =『MONOist』2021年03月29日 11時00分,https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2103/29/news006_2.html(参照)=
 
 日本人労働者の平均給与が下がっており,貧困化している。日本も他の先進国同様に,経済成長を続けていると考えていたが,実際に統計を観てみると,このようにショッキングな事態に陥っている。

 労働者と一言でいっても,消費者としての面,納税者としての面,家族の一員としての面など,さまざまな側面を抱えており,そもそもが国民の一員である。その国民1人ひとりの収入が減っているから,人口がそれほど大きく増えているわけではない日本という国の収入が減っていることが分かる。

 具体的に数字をみよう。たとえば,男性労働者の平均給与は,1997年は577万円だったのが,2019年では540万円と実に約40万円も減少してきた。2020年はコロナ禍が直撃しており,最新データが出れば,おそらく減少に転じている。

 ただ,グラフをよく観ると,男性に比べると女性は,やや停滞しているものの上昇基調にある。どうやら主に男性労働者に異変が起きている。

 (中略)
   
 これを観ると,40代と60代の人数が大きく増え,30歳未満の人数が大きく減っている。ただ,それ以上に重要なのがすべての矢印が「下向き」であることである。

 男性労働者は,企業規模・年齢層に関係なく,みな給与が減っている。日本経済のなかで,男性労働者にはいわゆる「勝ち組」がなく「総じて貧困化が進んでいる」というのが統計から観る実態といえる。    

ここ30年間で日本の賃金労働者のドル換算をした
給与の実質水準は91%になった

 しかし,前段にも触れたように,日本国側の人びとが「嫌韓意識」「反韓感情」という精神次元にこだわりつづけ,とどまってきた経緯と並行するかのようにして,アベノミクスの空証文によってなのだが,われわれ庶民の日常生活(もちろん経済生活を基底とするもの)も低迷を余儀なくされつづけてきた。

 補注)さてすでに相当に有名な経済学者になっていたが,同志社大学経済学部の浜 矩子は,アベノミクスが登場するや否や,即刻, “アホノミクス” と命名していた。

 そのあまりにも早い判断は,このダメノミクスがいかに底が浅いニセノミクスであるかを警告してもいたわけで,その後における日本の産業経済がたどってきた経路は,彼女の批判してとおりまったく冴えないものになっていた。

 安倍晋三君は外交面ではロシアのプーチン君に手もなく「子どもあつかい」され,北方領土という用語を死後にするだけでなく,ほぼ半永久的にそのうちの2島の返還さえダメにした。

 アベはまさに,迷君に値する「幼稚と傲慢・暗愚と無知・欺瞞と粗暴」だけの世襲政治屋3世であった。こんな男に日本を任せられるわけがなかったゆえ,選挙日(とくに国政の)に投票所に出向かない有権者諸氏にも,この日本をダメにしてきた一半の責任がある。

〔本文に戻る→〕 とりわけ2020年に入るとコロナ過が発生しだし,これの影響のために外国人観光客の訪日数は激減してしまった。いまや日本の社会経済は,アベノミクスを基因として,さらにこれにコロナ過がくわわった二重苦の窮状になっており,いうなれば,踏んだり蹴ったりされている最中にある。
 
 補注)前段に触れたように訪日外国人観光客の統計的な復調傾向は間違いない現象となっているが,このインバウンド契機を関係部門にもたらす観光客の購買行動は,われわれ庶民の相対的な貧困ぶりを反面から映し出す鏡になっていた。
 
 というわけで,「経済領域の不調」を,せめては「政治領域(⇒内政問題としての朝日新聞社による『従軍慰安婦・誤報問題』)に対する攻勢」によって埋め合わせをしたかったかのように,しかも従軍慰安婦問題こそが朝日新聞社を槍玉に上げうる好材料として使えるかのように立ちまわった安倍晋三は,せいぜい自分個人の憂さ晴らすために,私恨をふっかけ,私闘をぶつける対象として,この新聞社に集中攻撃を浴びせていた。

 かといって,日本が世界の言論に対峙するなか,「自国にとって不利な歴史問題」である「従軍慰安婦」問題を一気に逆転させるための「この国なりの正論」を創成しうる根拠が,はたして日本側じたいにありえたかといえば,まったくそうではなかった。

 日本じたいがあらためて,この歴史問題を根本から学習しなおし,克服するための努力をする気がないかぎり,とくに欧米先進国から日本の向けられている視線のきびしさを和らげることは,これからも永久にできない。

 なにせ,この政府の首相(ここでは「元首相の安倍晋三のこと」)は,「ポツダム宣言」すら読んでいなかったほどの不勉強ぶりであった。その国際政治的な意識水準の低さといったら,救いようがないくらい低次元に沈んでいた。

 そのポツダム宣言(1945年7月26日)とヒロシマ・ナガサキへの原爆投下(8月6日・9日)の順序を,自分なりのヘリクツに併せて逆転させていたという誤認識は,日本国の総理大臣というには,あまりにもお粗末過ぎた。この程度のダメだらけの「世襲3代目の政治屋」が国家の最高指導者として長らく采配をしてきたとなれば,この国がダメになったのは必然の理であった。

 そこまで考えているのであれば--ポツダム宣言と原爆投下の歴史・事実をアベ的にウンヌンしたかったのであれば,という趣旨で指摘する話題なのだが--,まず在日米軍基地を全部撤去させてからの話でしかないはずであった。

 ところが,アベ君の目線ないしはその視野の範囲内には,日本中に散在する米国陸海空軍の重要基地の存在が映っていないらしく,不思議といえば不思議である。ある意味,原爆投下以後における時系列的な現実の様相が「在日米軍基地」の存在として,厳然と表現されている。「美しい日本へ」などとよくもいえたものである。冗談にもいえない文句であった。脳天気だなど形容する前に,彼の頭の中は「年がら年中,土砂降り状態」であった……。

 日米安保条約下,現状の日本国は軍事的にはアメリカの属国状態にある。この軍事同盟関係の本質的な歴史関係をわずかも払拭もできないで,従軍慰安婦問題の存在じたいを「いちおうは認めざるをえないにしても,なおも本心では認めたくない」もなにもあったものではない。これはけっして見当違いの議論ではない。

 敗戦直後であった,日本政府側がアメリカ軍兵士たち性処理問題の解決のために設営した「売春施設,RAA」(特殊慰安施設協会,Recreation and Amusement Association)の存在をしれば,それ以前における旧日本軍の後方支援施設に相当する「兵站問題としても捕捉できる従軍慰安婦」問題が,いかなる役目あるいは機能を期待されていたかは説明の余地がないほど明白であった。

 「敗戦後のRAA」も「戦時中の慰安所」も歴史的な通有性については,いまさら贅論など要しないくらい明々白々であった。いうなれば,アウンの応答で理解が通じる「敗戦をはさんで連続していたそれらの問題」同士であった。「戦争と平和」の問題をもじっていうまでもない「戦争と性」の問題であった。

 話題を変える。2014年度〔時点〕における日本国の防衛費(軍事費)予算は4兆8,848億円で,対「国内総生産(GDP)」比率は 5.1%であった。そして,在日米軍に対して日本国が支出している別枠の予算(「思いやり予算」など)は,都合,6千4百億万円にもなると積算されている。日本の国防費の約10分の1〔以上〕に達する金額である。

 より正確にいえば,その思いやり予算などは,日本の軍事費全体に対して約13%にも達する金額である。このアメリカに〔毎年度〕差し上げている〈金子〉が,日本の政治家に「番犬といわれたこともある」アメリカ軍に対する〈支払い〉(番犬への餌代)としては,ちと高過ぎるという問題意識はないのか?

 結語。……「幼稚と傲慢」(小沢一郎による当初の評)の安倍晋三に対してだが,従軍慰安婦〔性的軍奴隷問題〕に関して,前段に指摘したような期待(なんらかの創意と工夫をともなった議論の交換)をすることじたい,無理難題ということにしかならなかった。

 しかし,この男がその後も長期間,日本国の〈元首〉(天皇のことではない)をやっていた。漫画でも冗談でもなかったゆえ,もはやホラー(怪談)だったと受けとるほかあるまい。

 2023年の夏になってみれば,彼が2022年7月8日に「統一教会・2世」の山上徹也に狙撃され死亡した事件は,その裏にはまだ解明されていない闇域に潜伏する問題が残されていたとはいえ,いまの「このような日本になったこと」など,彼の関心の範囲にはいっさいありえなかった。
 

 ※-5 【補 述】

 「宛先:安倍晋三内閣総理大臣」という手紙がインターネット上に公開されていた。筆者はこの趣旨に賛同できる。以下(後段で引用)の,題名を「☆ ☆」でかこった「一文」がそれである。

 残念なことに,この世襲政治屋集団から主に構成される日本の執権党が,いまだに権力を牛耳ったまま,のさばっている。このままでは,この国に未来への希望は全然もてない。

 補注)2021年9月26日の時点のことであったが,こういう話題があった。

 新型コロナウイルス感染者に対する “もっとも残酷な医療上の対応措置” が「自宅療養」であった。しかも,その自宅療養とは実際には「自宅放置」を意味し,実態では「自宅無治療死」の危険状態にまで,新型コロナウイルス感染者を追いやる措置になっていた。

 それにしてもこの国は,トンデモなくひどい国になったものである。コロナ禍のなかで出てきた国民皆保険制度の一部崩壊現象は,前段の記述内容によって実証されていた。

 また,最近におけるマイナンバー保険証「機能不全の件」も,はたして,この制度が全面的に実施可能であるのか危ぶまれているほど,実にいいかげんな準備態勢しか用意できていなかった。

 現政権はいまや「後進国」の海域に舳先を向ける航路をたどりつつあるなかで,ついでに皆保険の制度を一部完全に崩壊させるという実績を上げた。「皆保険」だから一部であっても,この制度が崩壊するという現象は「皆保険」を制度的に意味しえない。

       ☆ 総理大臣をやめ,内閣を総辞職してほしい ☆                  (発信者 = Nozaki Yasunobu =)  

 現在,この国は,新自由主義,排外主義の一途をたどっています。安倍晋三内閣は,これらの流れを止めるどころか,助長させ,私たちを生きづらくさせています。

 アベノミクスに代表される経済政策は,富裕者を優遇させ,生活困窮者をさらに追いこみます。そのうえ,生活保護切り捨て政策など,貧困者を捨て置く政策へと進んでいきます。また,外交や教育においては,「愛国心」を押しつけ,日米安保のもと,米軍基地を辺野古に移転させようとしたりします。憲法改変の問題は,いうに及びません。

 東京電力福島第1原発事故の問題では,事故の収束への努力もほとんどせず,自民党の長年の政策である原発推進を固持し,再稼働に躍起になっています。他方,避難の権利を認めず,子ども被災者救援法の議論にも向き合おうとしません。そんななか,このような企業に対しては,国を挙げて支援しようとしているのです。

 その他,医療福祉の問題,死刑の問題,女性政策の問題など,安倍内閣の問題点は挙げていけばきりがありません。麻生副総理の暴言等がやり玉に挙げられ,それはそれで問題ではありますが,この内閣の問題はそのような手法だけの問題ではありません。私たち,とくにマイノリティに犠牲を強いるような思想そのものが,問題とされるべきです。

 このように,どのような角度からみてもダメな安倍内閣には,総辞職していただくしかありません。私たちが真に望む社会は,他者を尊重し共存する社会であり,つましくも豊かに生きることのできる社会です。安倍内閣のような暴力的な内閣は,これらの理想を根底から破壊するものです

 もちろん,安倍内閣が総辞職したからといって,理想の社会ができるわけではありません。ただ,そうした犠牲のない社会に向けては,安倍内閣のような思想をもつ内閣には,いち早く退陣してもらうよりないと考えます。

 註記)以上「総理大臣をやめ,内閣を総辞職してほしい」『change.org』2013年8月17日,http://www.change.org/ja/キャンペーン/安倍晋三内閣総理大臣-総理大臣をやめ-内閣を総辞職してほしい-2

 なお,この記述の年月日はむろん,コロナ過が発生するよりだいぶ以前に公表されていた。

 2021年9月26日 補注) 安倍晋三が首相を辞めたところで,つぎに現われた首相として,もっと低品質の菅 義偉がはい出てきた。この政治屋はアベよりもさらに低品質の資質の持ち主であった。

 現在,自民党では次期総裁選挙(⇒衆議院総選挙のあとに多分,次期首相になる人物を選ぶための党内選挙)が展開されている。もっとも,それら候補者たちから誰が総裁になり,つづいて首相になるにせよ,ろくでもない政治屋ばかりしかいない現状である。それこそ,われわれにとってみれば「悲中の悲」。

 補注)2021年10月4日から菅 義偉のあとを襲って首相になった岸田文雄というこれまた「世襲3代目の政治屋」は,そのなすことやることすべてが, まさしく「売り家と唐様で書く三代目」になっていた。この岸田は自分が日本国の総理大臣だという自覚がないと観察されても,なんらおかしくないほど,その采配ぶりが異常である。

 つまるところが,現状は「どこまで続くヌカルミぞ」。安倍晋三から菅 義偉,岸田文雄へとつづいた日本の「2010年代からの内政史」は,本当のところは「3・11」直後に発生した東電の福島原発溶融事故の惨状に似ている。

 その原発事故のことを「第2の敗戦」と呼ぶ人たちがいるが,自民党政治の退廃・腐敗ぶりだけは超一級品であった。

 --こうもいっておこう。

 10数年ほど前だったが,こちらの国においては「チャイナ・・・ならぬ,ジャパン・シンドローム」に近いような,つまり,東電福島第1原発事故があったよね。

 35年前であった。げに,おそロシヤ…… のあちらでは,チェルノブイリ原発事故もあったよね。

 あちらのその爆発現場にあっては,2代目となった石棺の建造物が堂々とソビエ立っている。だが,この風景が立地している場所そのものが更地になりうる時が,はたして来る可能性はあるのか?

 人類がもしも滅亡するような事件が発生する可能性が,仮に今後にあったとしても,そこにおいては依然,その石棺の建造物が「臭いものに蓋をする」ために必要でありつづけるかといえば,そうではなくおそらく要らない。

 従軍慰安婦問題(外交)を頭隠して尻隠さずの要領で貫きとおしたい気持ちも分からないわけではないが,そんなことをやっているうちに,この国の「政治・経済の評判・実態」は確実に悪くなってきた。

 島国根性を反転させるかたちでもってだったのか,大日本帝国が敗戦まで他国を侵略したり植民地にしたりした結果のひとつとして,従軍慰安婦の問題がいまにあっても,まだまだ尾を引くかたちで残っている。問題の相手国は韓国(および北朝鮮)だけではなかった。

 それを,安倍晋三のように異様なまでムキになって,従軍慰安婦問題を否定しまくってきた「過去の行跡」の記録は,結局,この問題が本来,「歴史の記録」として特筆大書されるべき重い意味を有していた事実を,かえって引き立てたことになる。

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