【読書】SF短編コンプリート・ワークス9 宇宙船製造法
SFを”少し不思議な物語”と藤子・F・不二雄は考えて物語を作っているらしい。私は”少し不思議な”という言葉が好きです。
さて、今回紹介する作品は『SF短編コンプリート・ワークス9 宇宙船製造法』です。特に気に入った物語について感想を述べていきます。
宇宙船製造法
この物語は『十五少年漂流記』から着想を得た話だそうです(作者のあとがきから)。
危機に直面した人間の”素”の感情を見ることができます。
暴力的な人、統制する人、打開策を考える人、従う人など映画のような物語でページを捲る手が止まりませんでした。
ふたりぼっち
ひょんなことから別世界の自分と交流できるようになった学生の物語です。
もし、別世界が存在するとしてその自分は、上手くやっているのだろうか?
この物語を読んで、別世界の自分もたいして、今と変わらないのだから、何事も行動を起こそうと思いました。
ベソとこたつと宇宙船
こたつの中が宇宙船の中に繋がっていたら、、、という物語です。
『ドラえもん』の映画で畳の下に宇宙とつながっているみたいな話があったのを思い出しました。
やることなすことすべてがうまくいかないベソ少年が最後のコマで、
といい、雪の中飛び出していく。
誰だって、自分に自信がつけば何にだって挑戦できる。そう思わせてくれる物語でした。
影男
「私の前世はいったい何だったのだろう?」一度は誰もが疑問に思う事である。前世が誰であっても、今現在は何も変わらないので私は気にしないことにしている。
この物語の最後に違和感を感じた。
おそらく、おじさんがいなくなったから時間の縺れが解消され、他の人物の記憶からもその出来事が消されたのではないかと考えた。
山寺グラフィティ
昔、亡くなった幼馴染に似た少女が青年の周りに表れる物語。
作風、背景がつげ義春に似ており影響を受けたのかなと、勝手に思いました。
この物語は感動しました。青年が未練たらしくないのがまたいい。
ぜひ、読んでみてください。
収録作品
宇宙船製造法
ふたりぼっち
ベソとこたつと宇宙船
影男
山寺グラフィティ
恋人製造法
マイロボット
コマ―さる
書籍情報
SF短編コンプリート・ワークス9 宇宙船製造法
藤子・F・不二雄
2023年7月4日 初版第1刷発行
小学館
#SF短編コンプリート・ワークス
#藤子・F・不二雄
#読書感想文
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