イペンシ・ノキマ

映画やら音楽やら小説やら絵やらいろんなものについて/鼻に歯ブラシを突っ込むのに最近ハマ…

イペンシ・ノキマ

映画やら音楽やら小説やら絵やらいろんなものについて/鼻に歯ブラシを突っ込むのに最近ハマっている三歳の息子と妻と暮らしています/たまに異世界転生ものの小説を書いています/ときどき激しめの腰痛をわずらいます

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「絵画がわかる」ようになる最も簡単なやり方。

こんにちは。イペンシ・ノキマです。 唐突ですが、「絵画がわかるカッコ良い大人」になりたくはありませんか。 ・僕はふつうのダサダサおじさん いきなり前提を崩すようで申し訳ないのですが、僕自身はただのダサダサおじさんです。 夜になるとウィスキーを飲みながら4,50年代のジャズを聴くしぶしぶオジサンになりたかったけどなれなかった。どうやってなるの。夜になると大抵妻の目を盗んでコーヒー牛乳を飲みながらスマッシュブラザーズをプレイしています。コーヒー牛乳って飲みたくなりますよね。

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    • (16)田村涼は異世界で物乞いを始めた。〜ハズレ職業と言われた”物乞い”を使って異世界で無双する〜

       その後、俺はそつなく素材集めをこなし、無事に、以前制作したジュースと同じものをニ十本造り終えた。  “至高の美食会”と顔合わせするという話はギルドにも広まっており、クエストの達成報告をこなすと、奥からパルサーがやってきて「自分も同席したい」と言った。断る理由もなかったので「構わない」と答えたが、彼がなぜ同席したいかは、わからなかった。  そして数日後、街の噴水広場のすぐそばにある高級レストラン、メゾン・ド・レガンスにて初の顔合わせが行われた。  「あなたがあのジュースを

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         それから数日後、  「あのジュースと同じ味のものが、もう一度作れるのでしょうか? 」  突然訪問して来たアニーが息を切らせながらそう問うたのが、まだ昼の暖かさの残る、午後三時ごろのことだった。  「あのジュース、とは……? 」  「以前、私の家で飲ませていただいた、涼さん自家製のジュースです」  「ああ、あのときの……。あれと同じ味、ですか。恐らくは造れるとは思いますが……」  なんのことかわからないままそう返答すると、アニーの顔にぱあっと明るい色が広がった。  「可

        • (14)田村涼は異世界で物乞いを始めた。〜ハズレ職業と言われた”物乞い”を使って異世界で無双する〜

           豪勢なディナーを済ませたあと、  「涼くん。良かったら、“銀狼の牙”に入らないか」  とヴィクターが口にしたのは、テーブルの上にいかにも高級な紅茶が運ばれて来たときのことだ。  「僕が、”銀狼の牙“にですか……? 」  「……君の実力はパルサーから聞いている。莫大な魔術量を保有しているということもね。それに、洞窟での活躍もフレックスらから耳にしている。多数の職業のスキルを縦横無尽に駆使し、おまけに快復魔術まで扱える戦闘職の男……。彼らはみんな、君のことをいかにも嬉し気

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          (13)田村涼は異世界で物乞いを始めた。〜ハズレ職業と言われた”物乞い”を使って異世界で無双する〜

           「今回のことはすべて父親である私に責任がある。事態を最小限の被害に抑えてくれた涼殿には深い畏敬の念と、感謝、詫びの気持ちがある。もしよろしければいついつどこどこで、直接謝罪させて貰えないだろうか」  と、そのような主旨の手紙がヴィクター・ナイトシェイドから届いたのが、リリスをギルドに送り届けた日の翌週のことだった。  リリスをギルドに送り届けたあと、ギルド内でごく簡潔に簡易裁判が行われた。  ギルド内でも以前からリリスの暴挙には目を光らせていたが、彼女がチャームを使うこと

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          (12)田村涼は異世界で物乞いを始めた。〜ハズレ職業と言われた”物乞い”を使って異世界で無双する〜

           リリスを含めた彼ら冒険者は、ゴブリン討伐の為にこの洞窟に足を踏み入れていた。   ところが、奥から現れたのは特殊個体であるゴブリン・シャーマン。ゴブリン・シャーマンは周囲のゴブリンに複雑な指令を行い、その高度な命令体形によって、冒険者を翻弄する。フレックスたちもしばらく戦っていたものの、戦況は良くなかった。  すると突然、  「……もう無理! 私、帰るから! 」  と、リリスがまるでショッピングを引き上げるかのような言い方で、戦線を離れたのだという。  「お、おい……! 」

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          (11)田村涼は異世界で物乞いを始めた。〜ハズレ職業と言われた”物乞い”を使って異世界で無双する〜

           「誰か、誰かそこにいるの!? お願い、助けて!! 」  百メートルほど進んだ時のことだ。洞窟の奥からそんな叫び声が聞こえて来た。  「……まずいな、冒険者たちは全員、足をやられている……! 」  思わず俺は、そう零す。  ちょうど洞窟内に広場のようになっている個所があり、そこに三人の冒険者、それから、彼らを取り囲むように四十匹は下らないゴブリンが犇めいていた。その奥には、聞いていたとおりゴブリン・シャーマンが杖を振るっている。  「今助ける」と俺が言うと、  「気をつけて!

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          (10)田村涼は異世界で物乞いを始めた。〜ハズレ職業と言われた”物乞い”を使って異世界で無双する〜

           いくつかの魔獣討伐クエストをこなしたあと、俺はランクを一つ上げ、Eランクの魔獣討伐クエストを受注していた。  今回のクエストはブルース草原を抜けて南東に向かい、ミヨルゾ山脈の麓にあるひとつの洞窟内での魔獣討伐クエストだった。洞窟内で大量のゴブリンが繁殖し、このままでは彼らが群れを形成しオーヴェルニュの街に餌探しにやってくる、という懸念が持たれていた。そのための、今回の討伐クエストである。  洞窟内に入って十分ほど一本道を進んだ時のことだ。  「ひ、ひい! 」  という

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          (9)田村涼は異世界で物乞いを始めた。〜ハズレ職業と言われた”物乞い”を使って異世界で無双する〜

          9,フィヨル広原に来た訪問客。  その日はオーヴェルニュの街全体が小春日和に包まれていた。  アニーの母親の生家があるフィヨル広原も春にしか咲かないミッヒュの花が咲き乱れている。  広原にはサンドウィッチや軽食を持った街の住民が腰を下ろし、この暖かな陽気を楽しんでいる。  そんな平和に満ちた広原の景色に、似つかわしくないどたどたとした足取りでひとりの貴族が走り抜けて行ったのが、まだ午後も早い一時半のことだった。  「突然の訪問、失礼致します。あなたが聖女であるアニー様でご

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          (8)田村涼は異世界で物乞いを始めた。~ハズレ職業の”物乞い”を使って異世界で無双する~

          8,溶けた氷。   「……美味い! 初めて飲んだが、エールというのはこんなに美味いんだな……! 」  街の居酒屋でグラスを片手にツルゲーネがそう零したのは、陽が落ちて間もないまだ夜も早い時刻のことだ。  「……確かに、美味いな。乾いた喉に、ぐっと差し込んで来る」   「美味いは美味い。でも、もっと改良の余地がありそうにも思うな……」  と、俺が零すと、  「もとの世界はもっと良かったってやつか? また始まったよ。今日はそんなこと忘れよう! お互いの仕事の祝いで集まったん

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          (7)田村涼は異世界で物乞いを始めた。~ハズレ職業の”物乞い”を使って異世界で無双する~

          7,アニーとの夕餉。  アニーの母親が生まれたとされるフィヨル広原の小さな家。  そこで夕飯を共にしながら、俺たちは今後のことを細かく話し合っていた。  「……もう少しそこで座って待っていてください。今、美味しいサーモンが焼けますから」  本日のメニューはサーモンの香草焼きだ。  その香ばしい匂いが、すでにこの小さな家全体に溢れんばかりに満ちている。  「料理していただけるのは嬉しいですが、手伝いもせずにこうして座っているだけというのは、少し申し訳ない気持ちになります

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          (6)田村涼は異世界で物乞いを始めた。~ハズレ職業の”物乞い”を使って異世界で無双する~

          6,連名。  シスターという仕事の大半は「雑用」で出来ている。  教会にやってくる人々の言葉に耳を貸し、彼らの困っていることに手を貸し、教会の掃除をし、”生活の広場“で炊き出しの為の料理をし、傷を負った者がいればヒールを掛けに行く。  “聖女”であるアニーは本来は現場に出る必要はなかったが、彼女自身の請願によって、ほかのシスターと同じ雑務に従事していた。  あれから、彼女は西のフィヨル広原のあの小さな家に移り住んだという話だった。  そのおかげだろうか、街で偶然出くわす

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          (5)田村涼は異世界で物乞いを始めた。~ハズレ職業の”物乞い”を使って異世界で無双する~

          5,これは恋ではない。   母親が差別に合っていると気づいたのは、何歳ぐらいのことだっただろう。  確かにおかしいとは思っていた。  母が通り過ぎると途端に始まる、クスクス話。  不自然なほど母の前で零される、皿の上の料理。  庭でボール遊びをしていた貴族の少年が、「すいません」と言う前に、明らかに意図的に母にボールを投げつけたのを見たこともある。  なかでもはっきり差別を意識したのは、メイド長がメイドたちにこんなことを言い聞かせている場面に遭遇した時だった。  「私

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          (4)田村涼は異世界で物乞いを始めた。~ハズレ職業の”物乞い”を使って異世界で無双する~

          4,聖女アニー。 「この宿に泊まるのは、今日で最後にしてもらえる? 」    街の最南に位置するこの安宿の女主人にそう言われたのが、翌週のことだ。    「最後、ですか」  「ええ、最後」  「あの、ちなみに、なぜですか」  その太った女主人は、眉間に深い皺を寄せて俺を見据える。  「あなた、第四階級でしょう? ほかの冒険者から聞きましたよ。まったく、そんな身なりして、私を騙そうとして……! 」  パルサーに貰った高級な装備品を身に着けていたから、俺が第四階級の人間だとはす

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          (3)田村涼は異世界で物乞いを始めた。~ハズレ職業の”物乞い”を使って異世界で無双する~

          3,登録。  アニーに「冒険者になりませんか」と誘われ、その登録の為にギルドに足を運んだのがその翌日のことだ。  だが、  「はあ。登録、ですか」  分かってはいたことだったが、ギルドの受付嬢に露骨に嫌な態度を取られる。  この世界は徹頭徹尾階級で出来ており、第四階級の俺が冒険者に登録するなど、あり得ないことだと考えられている。  「シスターのアニーに話は通してあると聞いてここに来ているのですが……」  アニーは事前にギルドに通達を出してくれていた。本来であれば、スムーズ

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          (2)田村涼は異世界で物乞いを始めた。~ハズレ職業の”物乞い”を使って異世界で無双する~

          2,田村涼は異世界で物乞いを始めた。  “繋がり”というパッシブスキルを得て以来、俺は橋の隅で必死に物乞いを行った。  今までは誰かれ構わず施しをせがんだが、その日からは、俺はA級冒険者たちに限って狙いを定めた。  彼らはみな遠くの難関ダンジョンへ出向き、高難易度クエストをこなし、莫大な経験値と新たなスキルを獲得して街に戻って来る。  彼らと“繋がり”が出来れば、あとは自動的に俺も強くなれると考えたのだ。  そして……、  「まあいい、この実験を見られたからには、生かし

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