前期破水して4日後に娘を出産した話①

前提

仰々しいタイトルだが、本陣痛前に破水し、すぐに陣痛がこないパターンの出産になったということ。
子宮筋腫があるため帝王切開かもしれないと事前に言われており、破水当日に予定していた妊婦健診で方針がたつであろう状況であったが、結果的に普通分娩となった。

娘妊娠の前に息子を16週子宮内胎児死亡で分娩しているので、分娩自体は2度目である。詳しくは自己紹介等を確認してほしい。

もともとは妊娠前から婦人科健診で行ったことのある産院で妊婦健診を受けていたが、私の持病により転院した。息子の分娩時も転院予定だったが、その前に子宮内胎児死亡が判明したのでその産院で分娩することになった。娘のときは妊娠5か月に転院し、それ以降の妊婦健診及び出産は家から徒歩圏内のNICUとGCUもある総合病院で行うことになった。したがって、息子と娘の分娩は別の病院で行い、また、この総合病院は無痛分娩を実施していないので無痛や和痛の選択肢を全く考えていなかった。
なお、コロナ禍により入院中の外部との面会は不可であった。

背景

息子の分娩が激痛だったので、娘の出産前は妊娠雑誌や出産レポを読みあさり、どんな状況でも落ち着いて対応できるようにしたいと思っていた。ところが前期破水し、破水翌日からの連休中にも本陣痛が来ず、スタッフも揃っている平日に誘発剤を入れて出産することになった。
前期破水する可能性は少しだけ考えていたが、入院後即出産フェーズになるという想定は外れることになった。
普段暗いことばかり書いているが、少し珍しいパターンだったかもしれない娘の出産について産前の入院のことから書く。どなたかの参考になれば嬉しい。
少々長くなりそうなので記事をナンバリングして、続きは次回書く予定だ。

1 産前

(1)家での破水

なぜ先に破水したのかはわからない。
妊娠37週で正期産の時期に入ったある深夜、横になっても寝れないでいたところ、急にちょろちょろという感覚があり、羊水が出てきているのに気付いた。破水か尿もれの見分け方として、自分の意思で止められるかどうかが重要、と読み物で読んでおり、尿もれも自分の意思でどうにかなるものではなくもれるのだからわからないのでは? と思っていたけれど、これは間違いなく破水、とわかった。自分の意思で止められずダラダラ出て、"もれる" という表現はふさわしくなかった。尿もれとの区別がつきづらい破水でなかったため病院に行くか悩まずに済んだ。
破水に気付いてまず部屋の物が濡れるのを避けるために、風呂の脱衣所に急ぎパジャマの上からタオルをあてた。早く病院に電話をしなくては、と思っていたが、先にやることがあった。夫に夜用の紙ナプキンを持ってきてもらわなくてはならなかった。私はここ10年ほど紙ナプキンを使用していないため、脱衣所やトイレにナプキンを置いておらず、出産で使うかもしれないと用意した夜用ナプキンは入院セットと一緒に部屋に置いていた。夫はすぐに起き上がって動いてくれたが、まず持ってきたのは産後に使うであろうと用意していた母乳パッドだった。まじか、と思ったが見たことがないから仕方ない。時間はかかったが、なんとか正解のものを持ってきてもらい、下着も着替えて(こちらは脱衣所にあった)ようやく動ける範囲が広がった。
そこからはスムーズだったと思う。もともと陣痛がきたり破水したらどうすれば良いかフローチャートを書いて夫に説明し、いつでも見やすい場所に貼っていたからだ。これにより、夫はこの時点で私がすぐに入院すること、産むまで帰ってこられないことを理解していた。私は病院に電話してすぐに来るよう指示された後に外に出る身支度を始め、夫はもともと登録していた陣痛タクシーに連絡した。タクシーの方が少し要領を得ないやりとりになっていたが、深夜だったこともあり、すぐに自宅前にタクシーが来て、無事に夫と病院に辿り着いた。

自分自身はこの一連の行動を落ち着いてできたと思っているが、内心気が気ではなく焦っていた。早く病院に行って産まなければ、今少しでも動いたらもっと羊水が出てきて危険ではないか、もう現時点で羊水が過少になって死んでしまっているのではないか、ここまできたのにまた終わるのか、などかなり悲観していた。

<余談>
以下、病院との電話のやりとり
「妊婦健診で通わせてもらっている〇〇です。今37週で今日健診予定だったのですが、破水しました。ダラダラ出てるので間違いないと思います。陣痛はないです。」
「じゃあ破水ですねーすぐ来てもらって入院することになります。いつ破水しましたか?」
「10分くらい前です。」
「どのくらいで来れそうですか?」
「タクシー呼ぶ時間も含めて長く見積もって20分だと思います。」
「深夜の病院入口言いますねー、、、」

大体こんな感じだった。私は内心焦っていたのだが、だらだらと羊水が出ていることを伝えても電話先の助産師さんが慣れた感じだったので前期破水自体はよくあることなのだと少し安心した。
とりあえず以下のことを伝えれば良いと思う。
・妊娠週数、診察券の番号
・状況、事象が起きた時刻
・病院にたどり着く時間

(2)病院到着〜出産待機室

陣痛がないので自分で歩けたけれど病院到着後は車椅子で運ばれた。タクシーで一緒に病院まで来てくれた夫と産科病棟の入口で別れた。ちなみにその直後、病棟にいる新生児の泣き声が聞こえて、もう産まれたんですね、と案内してくれた病院職員さんに対して夫はボケようかと一瞬思ったらしいが、さすがにやめたそうだ。いずれにしろ破水したのですぐに産まれるのだろうと夫は思っていたし、私も娘が生きていようが死んでいようが今日中に産むのだろうと思っていた。

一方その頃、私は診察室のような部屋ですぐに破水と判断されて、病院着に着替え、出産の待機室(以下「出産待機室」という。)のようなところに案内された。破水してからここまで30分ほどかかったと思う。

出産待機室にはいくつかベッドがあり、カーテンで仕切られていたが、自分の他に少なくとも2人いるのがわかった。私は前駆陣痛はあったものの産まれる気配はなく、周りの陣痛中の妊婦さんの断末魔を聞きながら出産のイメージをしていた。お腹に赤ちゃんの心拍とお腹の張りをモニターする装置もつけられた(いわゆるNST)。ようやく娘が生きていることをしっかりと確認することができてかなり安心した。
その間に、前もって用意していた入院に必要な書類とバースプランを提出し(本来は出産直前の妊婦健診時に提出するはずだったものを含む)、新型コロナの検査のために鼻に綿棒を入れられたり、感染症の検査のために採血をされたり、感染症を防ぐ抗生剤を点滴されたりと助産師さんとやりとりすることが多かった。採血と点滴は定期的に行われることになるので産むまで腕にルート確保されていた。抗生剤の針は太く、私の血管は細かったために、看護師さんに苦労をさせてしまった(さらに翌日他の位置にルートを取り直すことになる。失敗も含めて合計5箇所ほど針を刺した。)。
色々しているうちに、入院して最初の食事を出産待機室でとることになってしまった。食後もぼーっと過ごし、その日の午前中は健診予定だったことなどを思い出し、まさか今外来ではなく病棟にいるとは全く想像していなかったな、と考えていた。

結局、全然本陣痛にならないので昼前には居室に移動することになった。私が到着した深夜から昼前までに、この出産待機室では2人が分娩室へ行き、2人追加され、1人が帝王切開を言い渡されるということがあった。帝王切開になる場合は旦那さんの同意書も必要らしく、陣痛に耐えながら旦那さんを待たなければならないことを知った。比較的混んでいたと思われる出産待機室での自分の場違い感がすごかったし、あんなに陣痛頑張っていたのに帝王切開になるなんて…と自分まで辛く思っていた。

(3)産前の入院

友達できるかな、という淡い期待で居室を大部屋にしてもらったが、軽い挨拶程度で最終的に友達ができるということはなかった。そもそも出産はほとんどの人がほぼ同じ入院期間で、出産日によって退院日もばらばらしているので、入院中ずっと一緒にいる人などいなかった。先にいた方は私の入院した日の翌々日に退院してしまい、そもそも私のいた部屋に人が入ってくる事が少なかった。また、私みたいに出産直前に入院している妊婦は稀で、私だけ臨月で院内をうろうろしていたのだが、入院している皆さんは産後で赤ちゃんと一緒にいることが多いので話しづらかった。結局大部屋にしたメリットはなかった。むしろ、私はつわりが始まってから産むまで常にえずいている妊婦だったので、他の人に迷惑をかけてしまったと大部屋を選んだことを後悔することになってしまった。まさか入院5日目に出産になるとは初日に全く予想がつかなかったので仕方がない。

感染症を避けるためにシャワーに入れないかと思っていたらシャワーには毎日入れた。ルートに水がかからないように対策をしてもらう必要があったが。もちろん破水している状態で病院へ行く前にシャワーやお風呂に入ることはNG行為であるので注意してほしい。私の場合は抗生剤を投与しながら感染がないか定期的に確認しており、体調に余裕があったからシャワーを浴びることができた。

食事中や深夜によく前駆陣痛があり辛かった。さらに前述したとおり常に吐き気があり、あまり寝れていなかったと思う。産前入院中の私は8時間おきの点滴と採血、食事、トイレ、シャワー、睡眠しかするべきことがなかった。身体は辛い分、時間が長く感じられて暇つぶしで動画を見ることもあった。ただ、いつ出産本番が始まるかとずっとそわそわしていたので、あの頃見ていた物を全ては思い出せない。
このように私はもちろんそわそわしていたが、夫の両親もそわそわしており、たまに進捗を聞いてきていた。それに対し「まだだ、まだ終わらんよ」と夫が返すというやりとりを数回していた。破水から時間が経っているので私の体力を心配されていたようだった。余談だが、産前休暇中に久しぶりに見ていたΖガンダムを産前入院中に見終えたのだが、最終話でのクワトロ・バジーナの「まだだ、まだ終わらんよ」が全く意味が違うのに当時の自分にかなり刺さったのはよく覚えている。

このような入院生活を送っている最中も羊水は流れ出ているが、娘はずっと元気だった。お腹に力が入ると羊水が出ていく感覚があり不安になるが、胎動があるし、おかしいと思ったらいつでもナースコールできるので、臨月に家で待機しているよりずっと良かったと今では思っている。結局破水してから4日間も羊水は出ていたけれど、感染症にもならず、私の体調も変化なかった。破水した時は焦ったけれど、案外もつものだというのには驚いた。

得られた教訓

・羊水がそこそこ出たと感じていても赤ちゃんは元気なことがある。破水してもあわてない。
・家の脱衣所にナプキンを置いた方が良い。もちろん外出時はナプキンを所持するように。
・病院への連絡だけでなく、タクシーの連絡についてもシミュレーションしておいた方がいい。
・抗生剤の針は太い。
・陣痛からの帝王切開がありうる。
・自分は入院中に友達作るの難しい(前述したのは言い訳で自分がコミュ障なだけ)。次回があるのなら、どんな状況でも個室にしてもらうと思う。
・前期破水しても病院で管理されている状態であればシャワーを浴びられるかもしれない。
・出産間近と思っていると暇つぶしもまともにできない。
・破水しても本陣痛がこないことがある。


次回、続きの出産当日の話を書く予定。出産に関しては珍しいことは特に起こらず安産だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?