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日記2023/10/17 岩田早川論争とCAPMの歴史的議論

ニュースピックスにて円安の源流を辿る配信を見た。内容はエンタメとしては面白いものの、万人受けを狙い内容が全体的に薄く、ミスリーディングも見受けられた。ただ、その中で記者が岩田規久男と早川英男の対立に触れ、本質的には同じことを言っているのではないかと指摘している部分は非常に興味深かった。

この点は現代ポートフォリオ理論におけるCAPMの歴史的議論を彷彿とさせる。CAPMには一時期シャープ型とリントナー型の二つの異なるアプローチが存在し、シャープ型はシカゴで、リントナー型はハーバードで発展していった。最終的にはユージン・ファーマによって、ある前提のもとで両モデルが同一であることが確認されたが、その過程で経済学者たちは激しい議論を交わしていた。

シャープのCAPMは個人投資家の観点からモデルを考察し、個人投資家がリスクとリターンのトレードオフをどのように考慮して最適なポートフォリオを形成するかに焦点を当てていた。一方、リントナーは企業の観点からモデルを考察し、企業がどのように投資を選択し、資本コストを計算するかに焦点を当てていた。驚くことに、シャープとリントナーはそれぞれのCAPMが本質的に同じであることに気付いていなかった。

記者の金融政策や経済政策についての知識は乏しいと感じたが、記者の指摘は異なる視点が互いに補完し合い、経済の真実を解明する学問の本質をとらえている。

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