2024/09/13(金)ぼくも君みたいだったよ
まだ相変わらずすごく暑いけれども、最近は、午後5時を過ぎれば、なんとか散歩をすることができるようになった。
ぼくの散歩の経路は、いつも同じで、横浜の坂道を登ったり下ったりの繰り返しだ。
それで、夏場以外は、原稿書きに疲れた頃、午後4時頃に同じ道を散歩をすることが多くて、それで、ある、同じ坂の曲がり角で、同じ少女とすれ違うことがたびたびあった。
たぶん学校帰りで、制服らしい格好をしている。こちらは坂を下っていて、少女は登っているから、そう見えるせいもあるのかもしれないけど、いつも下を向いている。
必ず下を向いて歩いている。
なにか悩みでもあるようでもある。
まさか、声をかけて聞くわけにもいかないけど、どうしてもその、元気のなさそうな様子が気になってしかたがない。
派手な顔立ちでもないし、たぶん溌剌とした性格でもないのだろう。でも、まじめに自分の今と、将来を考えて生きているのではないか。
そんなことを感じる。
だから、ひとりになったら、自然と考えにふけって、不安や悩みやどうにもならないことに、心を小さく痛めて歩いているのではないか。
そんなことを考えてしまう。
道順のせいなのかわからないけど、ほかにすれ違う子供たちは、たいてい何人かで笑いながら学校帰りを歩いているのに、その少女はいつもひとりだ。
夏場はぼくも外へ散歩に行かないけど、夏もそろそろおさまってくるし、もうそろそろ、いつもの時間に歩いてみようかなと、思っている。
たぶんまた、あの坂の曲がり角で、あの少女とすれ違うだろう。
たぶん下を向いて、ひとりで歩いているのだろう。
「ぼくも君みたいだったよ、でも、なんとか楽しく生きてこれたよ」と、すれ違いにぼくは、声を出さずに言うだろう。
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