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公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ(第5回会議)- 上場企業は大量保有報告制度の動向は要注視ですね


第5回会議が11月1日に開催されました

先日、アマゾンで「新解釈 コーポレートファイナンス理論『企業価値を拡大すべき』って本当ですか?」(ダイヤモンド社)という書籍を注文しました。筆者は1985年に野村證券に入社され、IBコンサルティング部門などに在籍し、現在は大学院の教授をされている方のようです。

私は、20年以上前に野村證券のIBコンサルティング部門の方と何度か仕事をしたことがあり、また、当時の私の勤務先の後輩女性が野村證券のIBコンサルティング部門に転職したこともあり、IBコンサルティング部門と聞くと懐かしい当時が思い出されます。週末に届く予定ですので、読んで面白い内容でしたら、ブログでも紹介したいと思います。

さて、ワーキング・グループですが、第5回会議が開催されたようですね。事務局資料は次のとおりです。

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tob_wg/shiryou/20231101/01.pdf

これまでの会議で議論されてきた内容から大きな変化はないように思います。大量買付制度、大量保有報告制度、実質株主の透明性が論点として議論されたようです。ちなみに、第4回会議の時のnoteの記事を再掲します。

大量保有報告制度は上場企業の実務担当者は要注視です

個人的に関心が一番高いのは、大量保有報告制度ですね。

アクティビストを企業が認識する端緒がこの大量保有報告制度ですので、上場企業各社の実務担当の方は大量保有報告制度の在り方がどう変化するかは注意する必要があると思います。事務局資料から、大量保有報告制度に関する記述は次のとおりです。

1 企業と投資家との実効的な対話を促進するため、「重要提案行為」の範囲を限定又は明確化することについて、どう考えるか。
2 協働エンゲージメントを行う際に、「共同保有者」の解釈の不明確さが支障となっているとの指摘を踏まえ、共同保有者の範 囲の限定又は明確化することについて、どう考えるか。
3 大量保有報告制度の実効性を確保するための方策の要否及びその内容について、どう考えるか。

少しだけ補足します。1点目ですが、大量保有報告制度上、金融商品取引業者に対しては、大量報告報告書の提出頻度などを緩和する制度が設けられていますが、その適用を受けるためには「重要提案行為」を行わないことが必要とされているところですが、その重要提案行為をどう考えるべきか?ということですね。

2点目は良く聞く課題の1つですね。大量保有報告で保有割合を算出する際には、共同して株主としての議決権その他の権利を行使すること を合意している者(「共同保有者」)の保有分を合算する必要があるところ、共同保有者の範囲をより明確にすることを検討するということかと思います。

アクティビストである投資ファンドが他の投資ファンドなどの物言う株主と意思を通じて水面下で株式を買い進めていながら、大量保有報告を提出せずに保有割合を増やすケースなどが背景にあるかと思います。

ところで、事務局資料は優れものです

ところで、毎回思うのですが、この事務局資料は良く整理されています。東証の市場区分に関するフォローアップ会議の事務局資料もそうですが、金融庁、経済産業省、東証などの会議の事務局資料を整理して、ポイントは記憶しておくと色々な局面で役に立つと思います。

私の場合、事務局PDF資料の重要な箇所は、後で読み返すときにポイントが分かるよう黄色でハイライトを付して、会社のパソコンのフォルダやデスクトップに置いておくとともに、ハイライトを付した中でポイントになる数値などはメモに手書きして暗記をするように努めています。こうすることで、機関投資家とのエンゲージメントであったり、また自分の投資先企業のIR部門や株主総会で質問する際に使える知識となります。