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プライム上場企業の英文開示は待った無し!

今月18日に東証の市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の第13回が開催されました。グロース市場の機能発揮に向けた今後の対応等についても議論されたようですが、同時にプライム上場企業に対する英文開示の拡充も議論されたようです。

https://www.jpx.co.jp/equities/improvements/follow-up/nlsgeu000006gevo-att/bkk2ed0000004de2.pdf

この資料の中に海外投資家へのヒアリング結果が記載されており、以下のような内容です。

・特に⼤企業を中心に近年の英⽂開⽰の改善を評価する声がある⼀⽅、一部大企業において依然として日英の差が改善していないことに関する不満や寄せられたほか、⽐較的規模の小さい企業においては英文の情報が非常に限定的であることが投資の制約になっているとの意⾒も 
・また、日英の開示のタイムラグが、海外投資家にとって大きなディスアドンバンテージとなっており、開示情報の速報性を求める意⾒が多数
・ ⼀⽅で、投資スタイルによってはタイムラグがあっても情報の網羅性を重視する意⾒も
・優先的に英⽂開⽰を促進すべき書類としては、決算短信や決算説明会資料を挙げる意⾒が最も多く、定性情報も含めてタイムリーに開示することが求められている 
・適時開示についても、マーケットに影響のある重要な情報を含むものとして重視されており、日英同時開示のニーズも強い
・なお、銘柄を広くリサーチし、企業概要を把握する段階では、有価証券報告書が有用との意⾒も

英文開示が不十分であるが故に海外機関投資家の投資制約になっているのが最大の課題ですね。

プライム上場企業は英文開示が待った無しの状況になってきましたね。プライム上場企業でも規模の小さい会社はかなり多く、十分なリソースのない会社の英文開示対応は結構大変かも知れません。決算関係資料は、即時性が大事です。日本文の決算短信が出てから3日後に英文決算短信が出ても意味がありません。決算関連資料は日本語と英文の開示が同時であることは必須だと思います。

ただ、今の時代、翻訳機能がかなり発達しています。翻訳機能を使うことで数秒で翻訳が可能です。私の場合、外国人の役員のための役員会資料や海外投資家のための開示資料の英文を相応の時間をかけて作成していたのですが、数秒で翻訳が出来たときは、最初驚きました。

①この翻訳ツールを活用して英文を作成 ②その後、細かいニュアンスの精査は社内にいる外国籍の方によるネイティブチェックをするか、スポットで外部の翻訳会社にレビューさせ ③最後に英文開示文の冒頭に「この英文は日本文の翻訳であり、日本文と英文に齟齬がある場合には日本文が優先する」というディスクレーマ―を付記しておくことで対応はさほど大変でないかと思います。

プライム上場企業で英文開示が十分でない会社は、今後対応が求められることになるので、翻訳ツールの導入はしていた方がよいかと思います。