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投資ファンドのオアシス・マネジメントが花王に企業価値向上を求める


オアシス・マネジメントの花王に対する要望

本日はJR山手線の田町駅から品川駅まで朝9時からウォーキングをしました。時間は30分ジャストです。私の場合、1分間の歩数が120歩ですので、約3600歩程度ですね。普段歩くコースではないのですが、見慣れない景色をウォーキングすると色々と気づくこともあり、時々、家から少し離れたところでウォーキングするのもよいかも知れないと思いました。

さて、先日の日経新聞にも報道がありましたが、香港系投資ファンドのオアシス・マネジメントが花王(4452)に対して低採算ブランド削減やマーケティング経験のある社外取締役任命といった企業価値向上策を求める声明を出したようですね。オアシスは、次のとおり「A Better Kao」というキャンペーン資料を公表しました。

https://www.abetterkao.com/wp-content/uploads/Oasis-A-Better-Kao-Presentation-ENG.pdf

全文英語でかつ相当程度のボリュームもあるので、読むのが非常におっくうだなと思っていたところ、日本語で「より強い花王」に関するオアシスの声明なるものも次のとおり公表されていました。

https://www.abetterkao.com/wp-content/uploads/Statement-by-Oasis-on-_A-Better-Kao_-JPN.pdf

この声明によるとオアシスが花王に求める事項は次の5つのようです。

1. 主要な化粧品及びスキンケアブランドの国際的な成長に重点を置く
2. グローバルな経験を有する最高マーケティング責任者(CMO)又は同等の人材を直ちに起用し、マーケティングに対するアプローチの変革を行う
3. ブランディング及びマーケティングの経験を有する社外取締役を任命する
4. 低採算のブランド及びSKU を削減する
5. 情報開示の透明性を向上させる

私は花王株は保有しておらず、花王の現在の業績等が分かっていないので上記の要望の背景が深くは理解できていませんが、マスコミ報道をいくつか見ると、花王の利益率や自己資本比率が他社の水準を下回ることを指摘しているいるようですね。
ちなみに、花王の営業利益率を同社の統合報告書で見ますと、次のとおりです。この数年は右肩下がりのようですね。

18年12月期:13.7%
19年12月期:14.1%
20年12月期:12.7%
21年12月期:10.1%
22年12月期: 7.1% 

花王の見解

花王もすかさず次のとおり意見を公表しています。

当社株主である運用会社のOasis Management Company Ltd.(以下、オアシス・マネジメント)より、当社に対して2024年4月3日、経営戦略などに関する主張が公開されました。当社の取締役会と経営陣は、経営戦略に基づき長期的な視点で株主価値の向上に努めています。オアシス・マネジメントの主張では、2023年度決算で示した積極的なポートフォリオ管理と構造改革について、残念ながら十分な理解がなされていません。花王は、中期経営計画「K27」において、主力ブランドへの投資によるグローバルな成長を追求しています。当社の価値提案を強化し優れたリターンをもたらすために、オアシス・マネジメント及びすべての株主と直接かつ建設的に関わり、また、課題を解決するための新たな視点を歓迎します。花王は中期経営計画「K27」の戦略を遂行し、今後も当社、従業員、株主の利益を最優先に行動することに全力で取り組んでまいります。

花王「当社株主による主張について」

オアシスの花王株の保有比率が気になりますが、大量保有報告書を出していないところを見ると5%未満なのだと想像されます。
最近の投資ファンドの提案を見ると、数パーセント程度の株式取得にとどまり、他の機関投資家の賛同を得るような提案をして、企業側の行動を促すケースが結構多いのですが、花王のケースではどうするのでしょうか。

時価総額が数千億円規模の企業も注意が必要

花王の時価総額は2兆円を超えます。このような大型銘柄に対しても投資ファンドが企業価値向上を提案する時代です。オアシスは、少し前にはアルプスアルパインの統合でもたしか大々的に行動を起こしたかと思います。

日本の投資ファンドのアクティビストのターゲット企業は、時価総額が数百億円規模の中小型銘柄が多いですが、海外の投資ファンドは資金も潤沢のため、投資先企業の時価総額も大きいのが特徴かと思います。

アクティビストとしての行動も精緻化してきております。これに加えて、企業価値向上を東証が後押しする時代です。時価総額が数千億円規模程度の企業は、今回の花王の事例を自社に当てはめ、今後の動きをしっかりと見て、シミュレーションしておくことが大事かと思います。

今後、本件の動きをウォッチしていきたいと思います。