見出し画像

ビジネスマンのためのさくっと分かるコーポレートガバナンス ー 政策保有株式の開示の適性さの調査まで来ましたか。政策保有株の保有が「見せかけ(ウオッシュ)とは?」


純投資とそうでない株式とは?

本日の日経新聞で次の記事がありました。

金融庁が政策保有株式の縮減に向けて一気に加速する感じですね。
企業が保有する株式は、ざっくりと純投資株式と純投資目的以外の株式に分かれます。純投資とは、株式値上がりの利益や配当金の受け取りなどによっての利益確保を目的としている株式投資のことを言います。個人投資家の株式投資などまさしく純投資ですね。株式投資と言えば、普通は純投資です。

一方で、純投資目的以外の投資株式があります。いわゆる政策保有株式ですね。この政策保有株式を持つ場合には、有価証券報告書に銘柄毎に保有株数、保有金額、保有目的の詳細を開示することが必要になります。「この政策保有株式が問題である」とこの数年言われている訳です。

今回の金融庁の目的は?

この政策保有株式ですが、削減をしている企業は多いです。既に報道のとおりです。金融庁や機関投資家からも縮減をせよとしつこく言われているためです。「政策保有株式を持つことは大問題」という世の中になってきています。一方、この世の中の批判をかわすために、政策保有株式の縮減が見せかけになっている企業もいるということを金融庁は懸念しているようです。

つまり、政策保有株式の保有は批判されているため、企業としては、政策保有株式からひとまず外し、純投資株式に変更して、その後も株価が上がっても売却することなく保有し、投資先企業の株主総会には賛成し続けるケースが多いのではないかということです。政策保有株式というのは、投資先企業の業績がよかろうが悪かろうが保有し続け、その企業の会社提案議案には確実に賛成をするのが肝ですが、その区分を純投資の名前に変更はするが、従前と変わらないというのは問題ですね。

この新聞報道によれば、こういう見せかけの政策保有株式の縮減をしている企業がないかを全上場企業を対象に進めるようです。純投資への切り替え後に1年以上売却していない株の有無なども調べるようです。純投資目的であるならば、どういう場合に保有株式を売却するのかなどの確認が求められるかも知れませんね。今年の株主総会でも個人株主からこのあたりの質問が出るかも知れません。

(おさらい)政策保有株式の見るべき視点

個人株主の方で投資先企業の政策保有株式が多いな?と考える方は、こういう視点から政策保有株式を見れば良いのかという点は次になります(企業側の方には耳の痛い話かも知れませんが、この点はご容赦下さい)。

1 どういう検証方法で毎年2回しているのか?
2 検証において社外取締役はどう意見しているのか?
3 検証をしていながら有報を見る限り銘柄数が減っていない理由は?
4 政策保有株式を保有することで企業価値がどうして向上するのか?
5 削減すると企業価値向上にどういうマイナス影響が出るのか?

(おさらい)政策保有株式に関する過去のお話

過去に政策保有株式についていくつか記事を書いてきましたので再掲いたします。
まずは、政策保有株式は何故ダメなのか?です。過去は普通だったのに、最近、ダメと言われている理由についてのお話です。

次に政策保有株式の合理性とは?についてのお話です。個人投資家よりの記事で企業の実務サイドの方には耳の痛い話ですが・・。この点はどうかご容赦下さい。