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ビジネスマンのためのさくっと分かるコーポレートガバナンス ー PBR1倍超え6割。何故PBRが最近ホットな話題なの?(前回のお話の続き)

前回のお話はこちらになります。

経営がリスクに晒されます

今回はこの続きです。PBRが最低でも1倍を超えるのが今の世の中の要請ということは認識されているビジネスマンの方は多いと思います。再三にわたり新聞報道もされていますしね。では、PBR1倍割れだと何がマズイのでしょうか?

それは会社の経営の安定性が欠けるリスクが大ということです。これはどういうことかと言いますと、アクティビストに入られ、会社経営がアクティビストによって揺さぶられ、安定した経営に支障が生じるリスクがあるということです。

アクティビストの武器はコーポレートガバナンス・コード、東証の要請などです。東証がPBR1倍割れの企業は問題企業と見ており、つい先日の日経新聞でも株価を意識した経営の開示企業リストを大きく1面に取り上げる時代です。このような中、PBR1倍割れの企業はアクティビストにとって絶好のターゲットと言えます。だって、株価を上げるための方策を講じることは東証の要請に沿うのものであり、多少、強引な施策をアクティビストが要求しても根本においては、東証の求めと方向性はあっているのです。

アクティビストが企業に行動を起こすと結構大変です。企業の経営陣は年中、アクティビストを意識して経営をせざるをえなくなります。会社が何かコーポレートアクションをするにしても、常にアクティビストから横やりが入らないか留意しながら行動をしなければなりません。大型の設備投資もそうです。

アドバイザー起用コストも馬鹿になりません

また、アクティビスト対応コストもそれなりになると思います。アクティビストに入られ株主提案はじめ本格的な行動を起こされると、企業は色々なアドバイザー(専門業者)を起用することになります。弁護士なども典型ですね。

私自身、いくつかの大手法律事務所と長きに亘りM&A、買収防衛策はじめ色々な案件で付き合いをしてきましたが(ここ最近はなくなりましたが)、正直、超大手法律事務所の弁護士費用はそれなりの額になります。当然と言えば当然ですが。

法律事務所以外にもフィナンシャルアドバイザー、IRアドバイザーはじめ色々と専門業者を起用することもあると思います。これらアドバイザーを起用することの費用がトータルで結構な額になると思います。

昔、ある企業が投資ファンドにかなりの株式を買い占められた案件で、たしかその会社は営業利益が10億円程度しかないのに、決算資料を見たところアドバイザーフィーが2~3億円あった記憶があります。営業利益の3分の1がこの費用で出ていくとなると結構なインパクトですね。

アクティビストに株式を持たれ本格的に攻められると(株式は持たれているがアクションを起こされていない企業も相当あります)、その段階が進むと事業の自前での対応は限界があり、どうしても専門業者を起用せざるを得ないと思います。東証へのプレスリリース1つとっても法律事務所に作成したもらうことになります。こういった費用がかなりかかるということです。

費用がかさんだ結果、社内の従業員の人件費が削られるなんてことになる場合もあると思います。

こんなことを考えると、色々なリスクを未然に防ぐという観点からPBR1倍を達成することは企業の経営陣の重大な役目の1つと言えますね。