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ブラザー工業による同意なき買収 - ローランドディージーがMBO価格を引き上げ


ローランドディージーがMBO価格を引き上げ

昨日から大型連休ですね。私の場合、来週もずっと休みで9連休になります。火曜日から木曜日は株式市場は動いているので、企業各社の決算や周辺情報の収集・整理を中心に、多摩川沿いのウォーキングと水泳をする予定です。家族は学校であったり、仕事ですので、暇なのは家族では私1人だけなので。
さて、ブラザー工業が同意なき買収提案をしているローランドディージーですが(前回の記事は最後に再掲しております)、今回はその続きです。
今回、ローランドがMBO価格を上げることを公表しました。次のプレスリリースになります。

https://ir.rolanddg.com/ja/ir/news/auto_20240426578103/pdfFile.pdf

MBO価格は従前は1株当たり5,035円でしたが、これを5,370円に引き上げるようです。約300円の引き上げです。ローランドの株主にとってはおいしい話ですね。

引き上げた背景は?

既にご存じの方も多いかも知れませんが、ブラザー工業のTOB提案価格が当初のMBO価格より高いのが背景です。ブラザーによるTOB価格は1株5,200円で当初のMBO価格を上回っています。

経済産業省のガイドラインにより、買収対象会社の経営陣はTOBの提案を真摯に検討することが求められており、特に、市場株価を上回る価格の買収提案の場合、それを否定するのであればその理由を合理的に株主に説明することが対象会社には求められています。従い、ざっくりと言いますと、より高い価格のブラザー工業のTOBを見送るのであれば、その理由を説明することがローランドには求められるわけです。ブラザー工業の買収により、ローランドの企業価値が全体的に損なわるといったような定性的な説明だけでは不十分かと思います。定量的に示すことが大事になってきます。

だから、当初のMBO価格を引き上げることで、ローランドの株主には、「ブラザー工業のTOBに応じるより、MBOに応募した方が株主の皆さんはより儲かります」ということが言えます。

今回のMBO価格の引き上げにより、次はブラザー工業がTOB価格をどうするか気になりますね。ブラザー工業も上場企業ですから、いくらでも値段を上げるという訳にはいきません。高い買い物(=買収)になると自社の株価を下げ、株主が反発することになります。ローランドの買収によって、ブラザー工業の企業価値を高めることのできる、高いシナジー効果が生まれるという絵を描ければ、その絵に基づきTOB価格を上げることが出来るかも知れませんが。

(ご参考)ブラザー工業による同意なき買収の前回記事

前回の記事を再掲いたします。前回の記事の最後に同意なき買収に関する経済産業省の方針なども簡単に触れていますので、ご関心のある方はご覧頂ければと多います。