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チャリで来た。(鹿島)

こんにちは。比文一年の、じゃがたろーと申します。まずは軽く自己紹介を。
出身は福岡県の北九州市。漕艇部(ボート部)で艇を漕いでいます。
あ、体専じゃないです。ここ重要。
文化地理学コースに進もうかな、と思っています。

さて、本日12/17日(日)は、私の比文のアドカレ担当日でございます。うーん、何を話すかね・・・普段のTwitterみたく支離滅裂なオタ語りをしても何も面白くないしなぁ・・・ぬーーー

あ、そうそう、私は地理がやりたくて比文に来たのです。よし、この方面で書いてみよう。

地理がすき、と一口に言っても、実に様々な分野に派生します。そもそも地理を文系、理系どちらから捉えるかでもかなり違ってきます。簡単に言えば、文系なら人の暮らしや文化重視、理系なら地形や気候、統計重視、といったところでしょうか。つまり、フィールドワーク(巡検とも言いますが)で実際にその土地を歩いてみて、現地の人たちと交流して、というのが文系の地理です。旅行大好きな私にはこれ以上ない学問なんですよね。授業でいろんな場所行けるし。いや、まだ一回も授業で行ってないので、巡検の苦労を全く味わわずに書いています。フィー文の先輩方、無知な私を許してください。でも先輩たちも、一年の頃は私みたいに楽しいとこしかみてなかったりして。

そんな私の趣味は、スタートとゴールを決めて、どんなルートで行くか考えることです。
例えば、つくばから新宿に行きたい!としましょう。まず選択肢は二つ。高速バスつくば号で一気に東京に行くか、TXに飛び乗るか。
もしつくば号で東京駅に着いたなら、東京から新宿までたくさんルートがあります。山手線でグルっと回るもよし、中央線でショートカットもよし。地下鉄に潜るのもいいですね。
TXなら、東武野田線(アーバンパークライン)でも武蔵野線にでも乗っちゃって、埼玉から攻めるのもアリだし、ベタな北千住乗り換えもよし。秋葉原から総武線でゆっくり行くのもいいですね・・・
気分を変えて、土浦から常磐線でぶっ飛ばすのも楽しいし。
ってな感じで、出掛けたときは(かなり鉄分多めですが)思いつきのルートで目的地を目指すのを楽しんでいます。計画性のなさで失敗することも多々ありますが。

Googleマップで検索するだけでも
こんなにバリエーションがある

前置きが長くなりましたが、今回は私のお出掛けの話の一つ。自転車霞ヶ浦一周チャレンジ(かすいち)のお話です。私ならでは、というか地理オタの思考、視点なんかを共有できるかも?

さて、11月30日の朝6:00。いくら日本の東側とはいえ、冬至あたりだと明るくなるのはこの時間です。もちろん気温も一ケタ台。この日のために買ったヘルメットの初陣には少し寒すぎたかな?十分な防寒をして出発です。

とにかく寒い!!

桜から10分も走れば、りんりんロードというサイクリングコースに乗ることができます。りんりんロードは、霞ヶ浦を一周し、土浦から岩瀬まで続くとても長い道です。今日はこれに沿って走ります。岩瀬から土浦までの区間は、筑波鉄道の廃線跡を整備した区間。途中には駅の跡や踏切の跡、土浦駅に接続するカーブなどがあり、自分が列車を運転しているような気分が味わえます。沿道は桜並木になっていて、春には満開の桜を見ながら走るのも楽しいポイント。 

春のりんりんロード、土浦岩瀬間
廃駅は休憩所として整備されている
花ざかり✿

さて、40分くらい漕げば土浦駅に到着します。うーん、すでにお尻が痛い。でも、霞ヶ浦一周ルートはここがスタート地点です。阿見町や稲敷市を通って、潮来を目指して霞ヶ浦の南岸を進みます。目標は、11:00到着。Let’s Go!

午前のルート

ちょうど平日朝ラッシュの時間帯に被ったので、集団登校する小学生の列や制服を着た高校生もたくさん。事故らないように、慎重に・・・

さて、霞ヶ浦の岸につきました。ここから約50km、ひたすらに湖沿いを進みます。この近辺は、普段部活で使用する水域。いつもは水上から眺める景色を、今日は陸側から眺めます。

いつも水上から眺めている風車

少し行くと、自衛官の方とすれ違いました。阿見町には陸上自衛隊土浦駐屯地があります。そこに隣接するのが、旧日本海軍霞ヶ浦航空隊、通称「予科練」の設備跡です。かつて霞ヶ浦の空は、日本のエリート搭乗員を育てていました。若鷲の歌(予科練の歌)という軍歌は、ここをモチーフに作られました。「若い血潮の予科練の 七つボタンは桜に碇 今日も飛ぶ飛ぶ霞ヶ浦にゃ でっかい希望の雲が湧く」ここだけ聴けばかっこいいけどね、二番以降は物騒なので自重します。気になる人はリンクからどうぞ。

今、この土地は予科練平和記念館として整備されています。ちょうど私たちくらいの年齢で太平洋に散った方々のことに思いを馳せ、さらに進みます。

市街地を抜けると、一面にレンコン畑が広がっていました。冬はちょうど収穫の時期。ゴム製のツナギを着た農家さんが、腰まで畑に浸かって収穫作業に勤しんでいました。土浦など霞ヶ浦周辺は、日本を代表するレンコンの産地です。畑は10kmくらい続いていました。

レンコン畑は霞ヶ浦の象徴

ほかに途中で見つけたのは、砂利の集積場です。霞ヶ浦と陸地をベルトコンベアで接続し、湖底の砂利を採掘しているようです。砂利はコンクリートの材料。多摩川や天竜川も、砂利の採掘で有名ですね。
霞ヶ浦は湖とはいえ、漁業も行われています。かなりの頻度で漁船のための簡易的な港が現れます。主な水産物はワカサギ、エビなど。土浦駅でワカサギの佃煮を売ってたりします。お土産にぜひ。

とにかく平坦!!
さすが、少し前まで海底だったとこ

さて、背後の筑波山もかなり遠くになってきたところで、到着したのは鹿島海軍航空隊跡地。ここは阿見の予科練とは異なり、主に水上機(水面を滑走路にして飛ぶ飛行機のこと)の訓練をしていた場所です。最近はゴジラ-1.0のロケ地になったらしく。その横断幕も掲げてありました。そういえばまだ観に行ってないな、早くいかなきゃ・・・

石碑がありました

さぁ、稲敷を超えて、ついに潮来に到着です。いやぁ、長かった。どうやらここ一帯は水鳥の生息する湿地帯が広がっているそうで。鳥の撮影のために多くの方が訪れていました。

霞ヶ浦浮島湿原

時刻11:00、ついに霞ヶ浦の最東端に到達です。向こう側にはそぽたんの耳、筑波山の峰二つがはっきりと見えます。

端っこまできた!!

ここまで来れば、鹿島周辺の市街地です。えてきます。まずは潮来市。これ初見じゃ読めませんよね。「いたこ」と読みます。呪術師のイタコと関係あるのかどうなのか。さて、ここには茨城県を代表するローイング(ボート競技)の施設、潮来艇庫(通称あめんぼ)があります。

潮来艇庫
内装も艇も綺麗!!見習わねば……

東京オリンピックの海外選手の合宿や、茨城国体の拠点てしても使われました。競技者として絶対訪れたい場所。JR鹿島線の鉄橋をくぐると、すぐに見えてきました。ここが潮来艇庫。日本製鉄鹿島の実業団や地元の中高生が、ここで練習しています。ちょうど茨城県ボート協会の方がいらっしゃり、たくさんお話させていただきました。艇庫の中も見学。きれいな艇がたくさん並んでいました。いいなぁ、うらやましい。こんなきれいな艇に乗れれば、艇速も上がったような気分になります。

ここからは鹿島周辺を探索します。鹿島神宮からサッカースタジアム前を通り、工業地帯を見て回るルートです。潮来と鹿島は、北浦というもう一つの霞ヶ浦で隔てられています。鉄道の橋と車の橋二本、計三本の橋が並ぶ光景は圧巻です。東側には、鹿島神宮の水上鳥居も見えます。実は、水上に鳥居があるのは広島の厳島神社だけじゃないんですよ。

3つの橋と鳥居
ロシアのハッカー集団、Anonymousに勘違いでハッキングされた霞ヶ浦河川管理事務所くんじゃないですかヤダーーここは霞ヶ関じゃないよー

艇庫の方から教わった、鹿島神宮駅近くの食堂でちゃんぽんを注文。量もたっぷりで大満足。

らあめん屋 めん王  さん

駅の前を通ると、ちょうど鹿島臨海鉄道の車輌が水戸方面に出発するところでした。ガールズ&パンツァーの聖地、大洗を通るということでラッピング車輌もたくさんあるのですが・・・今回はハズレ。今度、ちゃんと乗りに行かなきゃ。

鹿島神宮駅と臨港鉄道の車輌

さて、鹿島神宮の参拝をしましょう。鹿島神宮は一般の神社とは違い、国家鎮護の神社とされています。境内にはさざれ石や、手水の本来の形である泉がありました。鹿も飼育されていて、さすが鹿島といったところ。立派な鎮守の森に守られた、静かな空間が広がっていました。

きました鹿島神宮!!
お清めの泉、透明感がすごい
御朱印もしつかり頂きました

ここから、鹿島アントラーズの本拠地を目指します。街道を進むと、平坦な田園地帯には不釣り合いなほど大きな施設が見えてきました。これがカシマサッカースタジアム。4万を超す収容人数を誇る、茨城を代表するスタジアムです。アントラーズは、旧住友金属の実業団から始まった、日本の名門クラブチーム。今シーズンもJ1の最前線で戦っています。周囲の街灯もサッカーボールをモチーフにしたデザイン。サッカーのまちを想起させる景観になっています。

街灯のデザインに注目⚽
ひたすらにデカい……
なんかいた

丘の上にあるスタジアムを出て、一気に海岸線まで駆け下ります。鹿島の工業地帯に繋がる大きな道をしばらく進むと、日本製鉄鹿島の高炉が見えてきました。高炉と煙突が並ぶ製鉄所の景観は、実家のような安心感があります。
最近社名が日本製鉄に変わったのでこう書いていますが、無意識だと新日鐵鹿島と言ってしまいそうになるのは良くない癖です。とくに鹿島は、もとが住友金属。旧社名の新日鐵住金から分かるように、吸収された側の工場です。現在も、社内では旧新日本製鐵系と旧住友金属系であまり仲が良くないらしく。地元の八幡製鉄所は合併前から新日鐵だったので、いまでも新日鐵という呼び方が一般的ですが、ここは住友金属が一般的な呼び名。うっかり新日鐵なんて言ってしまえば現地の方を不機嫌にさせること間違いありません。気をつけなければ・・・

現社名はNIPPON STEEL
変わりすぎだろ……

さて、鹿島の工業地帯と言えば、Y字の形をした彫り込み式湾が有名です。地理の授業で習った方も多いはず。Yの付け根は公園になっているので、日本地理の名所に自分の足で立つことができるのです。ぜひとも行かねば。若松の埋め立て地を彷彿とさせる産業道路を抜け、公園に着きました。展望台は残念ながら登ることはできず。ただ、夕日に照らされた美しい鹿島の工業地帯を眺めることができました。

公園に到着!!
美しい……
やはり安心感が違う

さて、現在時刻は16:00。あれ、朝日が昇る前に出発したのにもう夕暮れ。しかも、全行程の半分しか済んでない。
そうです。ここは日本の元最東端、日立の国。日が昇るのが早い分、日が沈むのも早いのは当たり前です。ただなぁ、夕暮れがこんなに心細くなるなんて。
行きはよいよい、帰りはこいこい。冷たい海風もいっそう心細さを増幅させます。
しかし、自分の力でここまで来た以上は、自力で帰らねばなりません。ここから霞ヶ浦の北岸を、ひたすら進んで家を目指します。
一時間漕いで、なんとかりんりんロードに戻ることができました。もうすっかり夜です。つくばに戻れるのは深夜になるでしょう。グズグズしていても帰る時間が遅くなるだけ。とにかく行方(なめがた)をめざして進みます。

帰りのルート

道も途切れ途切れで、車道を走らざるをえない区間も多い道。ヘルメットと尾灯、反射材を頼りに、自動車の邪魔にならぬよう漕いでいきます。本当は行方の道の駅で、行方バーガーなるものを食べたかったのですが、もう暗いので断念。行方市街にも寄らず、ひたすらに土浦を目指します。
夜には目立つのですが、霞ヶ浦上空はかなり多くの飛行機が飛んでいます。茨城空港や成田空港が近いからでしょう。離陸した飛行機が列をなして雲の中に消えていきました。遠くから見れば、ちょうど飛行機の光が航路を映し出してくれています。霞ヶ浦と飛行機は、今でも強いつながりがあるようです。
また、この日はちょうど満月の日。はちみつを被ったように少し茶色く輝く月が、東からゆっくりと上ってきました。つくばに着く頃にはどこまで上がっているのやら。

19:30、鹿島を出ておよそ4時間。なんとか、道の駅たまつくりに到着です。帰りの道のりもやっと半分。まだ半分。えぇ・・・と軽く絶望しながら、たまつくりの展望台を見上げました。付近にかかるのは霞ヶ浦大橋。霞ヶ浦一周をショートカットすることができるので、一刻も早く帰りたい気分の私は迷わず渡ることを選択。ここで、完全な霞ヶ浦一周チャレンジは失敗となります。鹿島を探索しなけりゃ渡らずにスルーできてたかもしれない。次回以降に回しましょう。

霞ヶ浦大橋でショートカット!!

さて、橋を渡るとかすみがうら市。土浦までのメインルートは国道354号ですが、少しでも岸川を、そして交通量少なくて明るめの道を走りたい。そこで、県道118号を選択しました。これが本当に良い判断だった。街灯がちゃんと整備されていて、起伏こそあるものの非常に走りやすい安全な道でした。そして20:30、やっと土浦市街の明かりが!!帰ってきた、帰ってきたよ私はァ!!!安心感が、折れかけていた心をしっかりと包み込んでくれました。

河川境界にも土浦の文字が……

21:00、ついに土浦に到着。朝練の時に眺める、りんりんロードの拠点となる建物(りんりんポート)まで帰ってきました。あと一息、筑波山方面に向かって、朝走った道を遡ります。そして、21:40。なんとか、自宅にたどり着きました。16時間、走行距離183kmの壮大な日帰り旅行の完遂です。いやぁ、疲れた。ほんとにお尻痛い。

走行データがこちら。

その後5日くらいは、お尻の痛みが消えませんでした。自転車で長い旅をする人、レースをする人はホントに尊敬です。

終わったその日は「もう一年はかすいちやらなくていいや」って思ってたんですが、最近は「またやろっかなー」という気持ちになっています。どうせまた帰りに絶望するんでしょうけど。人間とは不思議なもので、もう二度とやらねぇって思うこともすぐまたやりたくなる生き物です。人間の普遍的な性質じゃないかな。ジェットコースターもお化け屋敷も、ホラー映画も辛い食べ物も。なぜかリピートしちゃうものです。たぶん春にはまた自転車で旅してます。

旅には、予想できない出会いがあります。
それは人だったり、景色だったり、食べ物だったり。それぞれあるでしょう。
自分の行ったところから、どんどん地図が広がっていく感覚は、かけがえのないものです。自分だけの地図を育てていくような。それが旅の醍醐味です。
加えて自転車は、公共交通の旅とは違って、時間に縛られない柔軟なルート選択ができます。道を開拓しながら目的地を目指す自転車旅。ぜひ試して見てください。
ゆくゆくはバイクでもやりたいな。

そうそう、今回は一人旅だったんですが、仲間を集めて一緒に旅するのも楽しいですよね。ひとりで気ままに行くもよし、みんなでワイワイ行くもよし 。
特に今回みたいな長時間の場合は、心細く感じることもあります。一人旅は、自由と孤独が1セット。それはしっかり心に留めておきましょう。

さて、ここまで長々と書いて参りましたが、いかがでしたでしょうか。自分らしく、比文らしく、じゃがらしく。そんなアドカレ文になっていれば幸いです。

これからもnoteは継続していきます。
良ければこれからも、覗いてみてくださいねー!!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!

さて!!
ここからはマニア向け。霞ヶ浦と、流れ込む河川は管理者が異なります。
その境界、気になりますよね!!そうだよね!!
ってな訳で、撮れたぶんだけ境界の看板を貼ります。霞ヶ浦なのにその自治体の名前入るの!?!?って意外なのもあるので楽しんでください!!


180kmの長距離運転にもしっかりついてきてくれた自転車くんに感謝。
念入りな準備も必要です!!
ヘルメットやグローブ、ライトなどの安全装備をしっかり身につけ、
スマホの予備バッテリー、食料、財布、保険証、防寒着は確実に所持。
コケてもいいように、長袖長ズボンは絶対です。
事前にルートを確認しておくことも必要です。Googleマップも駆使しつつ、遭難しないように、無事帰れるように。家族に行き先を伝えることも忘れないようにしましょう。

それでは、よき旅ライフを。ばいばい!!


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