廃品回収にあった日記

大学時代、俺は寮に入っていた。
毎年寮祭を行なっていたのだが、予算を作るために日曜日に町内で廃品回収をしたりしていた。
空き瓶は酒屋でお金になったし、古新聞古雑誌は当時はまだ普通に居たちり紙交換で交換出来ていた。
この活動は、前夜祭、後夜祭とかでは、うるさくするので、その説明もあった。寮前に作ったステージで、バンド演奏とかもするからね。

で、廃品回収から帰って来た後輩が、俺の部屋に飛び込んで来た。
面白いものがありました、と言うのだ。
古びた大学ノート。
どうやら日記やポエムである。
書いたのは中学生から高校生になった女の子。
もう成人して、親が棄てる古雑誌とかの中に混ざっていたのだろう。
その後輩は中に少し目を通したらしい。大事なノートなら返しに行こうと思ったのだ。
その子にしたら読まれるのはとても恥ずかしい内容だった。
彼女は、どうやらケメのファンらしかった。

1970年代のシンガーソングライター。メジャーではないが、ラジオ番組をニッポン放送で持っているくらいの知名度や人気はあった。

俺が知っていたのは、受験生時代に勉強しながら、このあおい君と佐藤君を聴いていたからであった。なかなか面白いラジオ番組だった。
だから番組の中で流されるケメの歌も色々聴いていた。

この大学ノートには、ケメへの想いが綴られていた。
そして中学で習った英語を使って、英語を使ったポエムも。最初は大文字と小文字の使い分けも出来て無かったが、途中から筆記体になったりしていた。
俺がいまだに覚えてるのは、
If I were a bad.
I culd fley to you.
と言う間違いだらけの文章である。成績は良くない女の子だったらしい。

俺はなんかツボって、このノートを朗読して、カセットテープに吹き込んだ。
それで部屋で後輩たちと飲む時に流して、大笑いしたりしていた。
今思えば、悪趣味w
だが、まだ20くらいのガキだったから、こんなもんだよね。

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