WS-142️⃣

椰月美智子「しずかな日々」からの出題。 品女、暁星、慶應湘南藤沢、国学院久我山、芝(2009)、湘南白百合、筑波大附属、東京都市大付、土佐塾、獨協埼玉、函館ラ・サール、 早稲田(2011)などで出題。

問一 漢字

問二 脱語挿入。副詞。選択肢になっている語の意味が分かるように。
ア × 「つらつらと」=念を入れて物事を考えたり見たりするさま。よくよく。つくづく。
イ ○2 「とつとつと」=口ごもりながら話すさま。
ウ ○1 「はたと」=動作や状況が急に変わるさま。
エ × 「しみじみと」=心の底から深く感じるさま。
オ ×「てっきり」=確かだと思っていた予想・推測が反対の結果となって現れた場合に用いる語。きっと。

問三 文法。品詞の区別。正答率が低い。「ことばの種類」という設問指示が、品詞の分類だと分からない生徒が多い。B「あたふた」の誤答が多い。
A    × 「きっと」は副詞。「ひどかった」という形容詞にかかっている。「きっと~だろう」という副詞の呼応で判断しても良い。
B    × 「あたふた(と)」は副詞。「あせって」という動詞にかかっている。
C    × 「まるで」は副詞。「ばれた」という動詞にかかっている。「まるで~みたい」が副詞の呼応。
D    ○ 「ほんの」は連体詞。「ひとかけ」という名詞にかかっている。

問四 説明選択。「変わらない」についてえだいちが、何がどう「変わらない」ことを望んでいるのか読み取る。L25「転校しなくてもすむように先生に先にお願いするんだ」、L42「ぼくは絶対に転校したくない」やL57「転校だけはしたくないんだ」から学校(クラス)を変わりたくないことが分かる。また、L64「椎野先生に相談すれば大丈夫だよ」から、この考えにすがりつき、自分に信じ込ませようとしていることが分かる。
ア   × 「押野との友情」だけが問題なのではない。不足の選択肢。
イ   ○
ウ   × 「何も変わらない」の対象は、「クラス」の様子ではない。
エ   × 「元の自分に戻るだけだと、諦めている」というのはこの後の心情。時間のズレ。

問五 ⑧心情理由記述。設問文の「転校したくない」がキーワード。「したくない」「転校」がマイナス側。L42「ぼくは絶対に転校したくない。野球も学校もたのしいし、飼育員になったらから、グッピーにエサをやらなきゃならないし」から現在の状況が分かる。背景は現在との対比となる過去。すなわちL83「ぼくは所詮、誰からも気づかれない幽霊みたいな子どもで、それが本来の自分だったんだから、また元に戻るだけなんだ」が「元」=過去。物語文の理由記述なので気持ちの言葉から考えるとズレにくい。また変化記述と考えることもできる。
<変化前/「少し前」のえだいちの状況/背景/理由との対比>
L83「ぼくは所詮だれからも気づかれない、幽霊みたいな子ども」
→「ぼく」は存在感のない子どもだった②
 ※「だれからも気づかれない」は強調表現、「幽霊みたい」は比喩表現につき①
<きっかけ/今のえだいちの状況/理由>
L42「飼育委員になったらから、グッピーにエサをやらなきゃならないし。だから、引っ越すのはいいけど、転校しなくてすむように、新しい住所から今の五年二組に通いたいんだ」
→現在のクラス(学校)になじんだ/五年二組での生活に慣れた/今の学校に行くことになった/新しい学校に通うようになった③
 ※「飼育委員」や「グッピーにエサ」など具体的内容の場合、説明不足につき①(他にも押野という友だちを得たこと、信頼する椎野先生の存在など複数の要素がある。)
<変化後/心情/結果>
L42「野球も学校もたのしい」
→みんなに混じって生きる喜びを感じられるようになった/楽しい日々を暮らしている③
A.現在のクラス(学校)に行くようになって、存在感のなかった自分が、みんなにまじって生きる喜びを感じられるようになったから。/少し前まで「ぼく」は存在感のない子どもだった。しかし、今の五年二組に通うようになって学校が楽しいから。

問六 説明選択。えだいちの様子。形式段落を読むとL72「母さんは今にも泣き出しそうに見えた」のでL73「ぼくはもうなんにも言えなかった」とある。「(牛乳を)飲んだ」という表現は、言いたいことを飲み込み、口にしなかったということ。母の言い分に対して言いたいこともあるが、L73「ぼくはもうなんにも言えなかった」のだから諦めている。
ア   × 「まったく」が強意表現。もうこの時点で「抗議をする」気持ちも失せている。
イ   × 「自信を深め、任せておいてほしいという思い」を抱いていない。
ウ   ○
エ   × 「~しか」が強意表現なので、「お荷物にしか過ぎない」は言い過ぎ。また「衝撃」、「呆然」という心情表現が線部の動作が結びつかない。

問七 説明選択。「傷つかない」ためにL86「ぼくは三丁目の空き地に行かなくなった」。その理由はL86「これからはもう二度と行けなくなるんだから、早い内に慣れておこうと思った」から。より具体化された表現はL92「押野との楽しい思い出を、もうこれ以上一つも増やしたくなかった」から。そしてL95「この短かった楽しいときを、早く忘れてしまいたかった」から。つまり楽しい思い出が増えれば、別れる時の悲しみも倍増するので、これを避けようとしていると推定出来る。
ア   ○
イ   × 方法の説明になっており、「傷つかない」の説明がない。
ウ   × 「みんなに心配してもらえると単純に考えた」訳では無い。
エ   × 「母に抗議」することは諦めている。

問八 説明選択。比喩の意味。「無機質」、「プラスチック」はどちらも無生物に関連する語で、本文ではマイナスイメージ。本来は通っている教室に対しては親しみを持つはずなのに、転校することやここまでのえだいちの気持ちによって、「無機質」に感じられ親しみが感じられないということ。
ア   × 「無機質」、「プラスチック」といった表現に結びつかない。
イ   × 先生に対し「怒り」を抱いている訳では無い。
ウ   ○
エ   × 「だれにも~ない」が強意表現。また線部の表現と「頑な」という様子は結びつかない。「頑な」は「意地を張って自分の主張や態度を変えないさま。頑固」という意味。

問九 心情選択。L121と129で繰り返される「転校するのが嫌なのね」という椎野先生の質問に対して、うなずいているので肯定。自分の「転校するのが嫌」だという気持ちを先生が理解してくれたということ。消去法の方が早い。緊張解放パターンの心情変化と考えても良い。
<はじめ>
 L115「仕方がないことを、大人は容赦なくきいてくるのだ。」
 →自分の気持ちなど分かってもらえないという反発/あきらめ
<きっかけ>
 L121「転校するのがいやなのね」
 L123「自分の思っていることを、きちんと口に出して伝えなさい」
 →「ぼく」の本当の気持ちに触れたいという真摯な気持ちを感じた
<変化後>
 線⑥「ぼくはしゃくりあげながら、小さくうなずいた。」
 →張りつめていた気持ちが緩んで涙が出た
ア   × 「痛くもない腹を探られる」とは「何のやましいこともしていないのに、疑いをかけられる」ことなのでここでは合わない。また「つらい」という心情もおかしい。
イ   ○ 「切ない」とは「悲しさや恋しさで、胸がしめつけられるようである。やりきれない。やるせない」。
ウ   × 「憎しみ」は抱いていない。
エ   × 「いつも」が強意表現で、「いつも厳しい」訳でもない。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?