GS-022⃣

茂木健一郎「どうすれば頭がよくなりますか?」 城北で出題された文章。

問一 接続語

問二 理由選択。「英語が苦手」という話題を探すとL19「なぜ、こうまで日本人は英語が苦手なのか?」という問題提起の文があるので、その答えを読む。するとL24「<つまり>、ながらく日本は文化の輸入に頼る『翻訳文化』に馴染んできたわけだ」とあり、その結果L65「外国のものを、次々に翻訳アレンジしてしまうので、英語そのものでコミュニケーションする機会が格段に減ってしまった」とつながる。
ア   × 「英語を話すこと自体が苦手としている」ことが理由で「英語が苦手」では説明にならない。
イ   × 「英語を話すことを軽視してしまった」とは書かれていない。
ウ   × 「日本では外国人の比率が低かった」ことが、「英語が苦手」が原因ではない。
エ   ○
オ   × 「漢字文化を大事にしてきた」が根拠なし。

問三 説明選択。線部延長すると「世界の潮流をここに感じる」となる。指示語「ここ」を開くと、L15「シンガポール」。ここでは人口のL15「三~四割を外国人が占め」、L17「英語が一番の公用語となりつつある」状況である。これに関連しシンガポールではL12「誰もが普通に英語でコミュニケーションしている」。これを「世界の潮流」としている。「潮流」=時代動きや流れ。背景にはL74「グローバル化」がある。
ア   × 「国際都市が世界の中でどんどん増え」ている状況のことではない。
イ   ○
ウ   × 「英語教育」の話題ではない。
エ   × 「英語を話せる人を更に増やしていこうとする」という話題ではない。
オ   × 「国際化を進め」るために、「外国人を多く自国に受け入れ」ているとする根拠なし。

問四 適文補充抜き出し。15字指定。問二と関連。線③を含む段落は問二でみたL19「なぜ、こうまで日本人は英語が苦手なのか?」という問題提起の文に対する答えが書かれている。結論はL24「<つまり>、ながらく日本は文化の輸入に頼る『翻訳文化』に馴染んできた」からである。本問では「日本の歴史や文化」の「特徴」を「(   )という特徴」の形で答える。「翻訳文化」についてL26「『翻訳文化』とは、文字通り外国のものを取り入れ日本化する作業だ」と定義文で説明されているので、ここから抜き出す。

問五 理由選択。「自由」、L34「自然」、L35「美術」「音楽」「哲学」といった言葉はL34「明治初期に入ってきた西洋の文化や考え方に対して、それぞれに日本人が工夫を凝らして新しい日本語をつくって名づけていった」もの。その結果L43「日本人は、自分たちが慣れ親しんだ日本語の表記で、西欧から輸入されたものを言い表すことができるように」なったため、「自由」という言葉が「もともと日本語にはなかった」と言われると「意外」に感じる。
ア   ○
イ   × 「われわれにとって重要な考え方である」とする本文中の根拠なし。
ウ   × 「常に」が強意表現。「人間にとって最も大切なものは自由であると学校などで常に教え込まれてきた」とする根拠なし。
エ   × 「その本質をわれわれは普段からよく考えている」とする根拠なし。
オ   × 「日本人は昔から自由を愛してきた」とする根拠なし。

問六 説明抜き出し。4字指定。問五と関連。「自由」「自然」「音楽」「哲学」が具体例。L36「日本人が工夫をこらして」創ったL38「新しい日本語」。これをL38「翻訳してつくられたこうした新しい日本語は『和製漢語』という」の「こうした新しい日本語」で受けているので、ここから抜き出す。

問七 具体例選択。不適選択であることに注意。線部延長すると「つまり、日本人は外国から来た新しいものをあまりにも器用にアレンジし、自分たちの固有の文化に取り入れて、そして日本独自のハイブリッドな文化をつくりあげていくことに長けてきてしまった」となる。「ハイブリッド」の意味は語注に「異種のものを混合させること」とある。つまり「外国からきた新しいもの」と日本独自のものという、異種のものを混合する文化。
ア   ○ 「西洋からもたらされた言葉」+日本語→外来語。
イ   ○ 「中国から伝来してきた仏教」+日本の「様々な僧侶」→異なる宗派。
ウ   × 歌舞伎は日本にもともとある独自の文化。
エ   ○ 「西洋から導入した新たな学問や芸術」+日本語→新しい言葉。Ex.自由、自然など。
オ   ○ 「西洋が開発した自動車の生産技術」+日本人→世界一の自動車輸出国。

問八 ⑧説明記述。45~50字指定。「翻訳能力」・「コミュニケーション」が指定語句。設問文に「具体的に」とあることに注意。因果関係で説明する。線部延長すると「ただ、今では<かえって>その翻訳の器用さが、裏目に出てしまった感がある」となる。続けてL63「それが英語を使ったダイレクトなコミュニケーションには、凶と出てしまったのだ」となっており、「翻訳の器用さ」が「コミュニケーション」にとっては「裏目に出てしまった」のだと分かる。また、「翻訳の器用さ」の言い換えがL60「日本人の翻訳センスやアレンジ能力の優秀さ」だと分かる。「裏目に出る」とは「良い結果を期待していたのに悪い結果になってしまうこと」。
<「裏目に出てしまった」の説明/結果>
L63「それが英語を使ったダイレクトなコミュニケーションには、凶と出てしまった」
L65「英語そのものでコミュニケーションする機会が格段に減ってしまった」
→英語によるコミュニケーションの力が発達しなかった/英語によるコミュニケーションが苦手になってしまった/英語でコミュニケーションする力が低くなった④
※「凶と出てしまった」は説明不足につき②
<原因>
L60「日本人の翻訳センスやアレンジ能力の優秀さ」
L62「翻訳の器用さ」
→日本人は翻訳能力が優れている/日本人は翻訳能力の優秀さゆえに④
A.日本人の翻訳能力が優れていたために、英語によるコミュニケーションの力が発達しなかったこと。

問九 ⑤理由記述。15字以内。線部延長すると「グローバル化がますます進み、英語が世界共通言語として広まっていくなかでは、翻訳能力によりいち早く近代化した文化圏よりも『英語を使うしかなかった』文化圏の方が優位になっていく」となる。前者の例が日本、後者の例がシンガポール。後者の言い換えがL69「翻訳文化が栄えておらず、アレンジ能力が乏しい文化圏」なので、ここが根拠になる。
A.翻訳能力が乏しかったから。/アレンジ能力が乏しい文化圏だったから。⑤

問十 理由選択。(4)には要約の「つまり」が入るので、前後は同内容。「和訳の一方向」は、入ってきた外国語(>英語)を日本語に直すこと(=翻訳)なので、受け身、消極的な姿勢である。これに対し「英訳する努力」とは、日本語を外に向け外国語(>英語)に直すことなので、自ら働きかけることから、能動的、積極的な姿勢といえる。その背景にはL79「これからはインターネットで瞬時に諸外国の文化とダイレクトに接続する時代」であり、L82「文化交流にも速度が求められる時代」だから。以上がL84「日本も英語を使って直接、世界のファーストステージに立つことを考えなければならない」という結論に結びつく。
ア   × 積極的/能動的な姿勢に関する内容が不足。
イ   × 「すべての人々が英語を話すことは当然の義務」は言い過ぎ。
ウ   × 「翻訳文化は漢字文化圏でしか通用」しないことが理由ではない。
エ   ○
オ   × 「完全さに欠けている」ことや、「無用な誤解を生じやすい」ことが理由ではない。

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