37番 白露に風の吹きしく 文屋朝康
花山周子記
白露に風の吹きしく秋の野はつらぬきとめぬ玉ぞ散りける
文屋朝康 〔所載歌集『後撰集』秋中(308)〕
まだまだ2023年の東京は暑いけれど、そんな今読むと今日の一首はまるで秋を先取りしてくれているようで、一層いいなあと思う。
秋の草の白露に風が吹く。すると露が光りながら散っていく。
それを糸を通していない玉が飛び散る様子に見立てている。
露を玉に見立てるのは当時流行の発想であった。
35番⑤で、36番清原深養父の歌で『古今集』の歌は最後になると書いたが、