箱根駅伝2025復路振り返りと来年度の展望(創価大学)

続いては復路です。復路の総括としては、創価にとっては耐える展開だったの一言に尽きます。本来であれば自信を持っていた6区川上くんで前との差を詰めて追撃開始…と行きたかったところでしょうが、前を走る各大学のランナーに56分から58分台の走りをされてはなす術なしでした。シード権を争う他大学の6区が軒並み好走していたので、単独走の創価には厳しい展開。7区の織橋くんの好走がなければ激しいシード争いに巻き込まれていたと思います。ここで踏ん張れたのが最終的にシードを確保できた要因だったと思います。

復路の各区間の振り返り

6区川上 59:33(トップとの差+6分23秒、チーム順位5位、個人区間13位)

2年連続の山下りを託されたのは川上くん。本人も57分台をターゲットに走り出しましたが、どうも前を走る大学との差が詰まらない。それもそのはず、すぐに前を走っていた駒澤伊藤は最終的に57分台のペース、早稲田山崎、中央浦田も58分台、青山学院野村に至っては前人未到の56分台の走りをされては厳しすぎました。結局単独走で耐える展開となり、区間順位も13位と創価としてはアドバンテージにしたかった山下りで厳しいスタートとなりました…

川上くんは昨年9月の絆記録会で体調不良でレース後に倒れたということがあったので、体調は万全ではなかったのかという不安を感じました。これは今回の箱根だけでなく、今後の駅伝、競技生活に影響しないのかが気になるところです。

7区織橋 1:03:09(トップとの差+6分22秒、チーム順位5位、個人区間8位)

6区の悪い流れを変えてくれたのが織橋くんでした。ここで連続で区間二桁順位が続いていれば、復路の選手の区間成績を見ても、おそらくそれを巻き返せるだけの力はなかったと見ています。激しいシード争いに巻き込まれていた可能性があったところで、よく踏ん張ってくれました。

単独走が苦手と本人も言っていたのでどうなるか心配でしたが、その心配も杞憂でした。区間2位で走った6位國學院辻原には差を詰められましたが、後ろを走っていた城西以下の大学との差は大きく詰められなかったことが大きかったと思います。

8区石丸修 1:05:54(トップとの差+8分2秒、チーム順位4位、個人区間11位)

8区を走ったのは今年度出雲、全日本でエントリーメンバー入りしていた石丸修那くん。直前の日体大記録会で28分50秒切り、上尾ハーフで64分一桁と一年生の中では山口くんに次いで記録を伸ばしていたので、榎木監督も期待をかけていたと思います。

前を走っていた4位中央佐藤がアクシデントによる大失速もあり、順位を1つ上げましたが、走り自体は区間中位と耐える区間となり、6位だった國學院との差も殆どなくなる展開となりました。最後の遊行寺の坂が苦しかったとの本人の弁もありましたが、シード争いの大学が軒並み好走していたので厳しい展開の中でよく耐えてくれました。

9区吉田凌 1:10:20(トップとの差+9分42秒、チーム順位5位、個人区間13位)

復路の最長区間を任されたのは2年連続担当の主将吉田凌くん。昨年は区間15位と苦しみましたが、今期はハーフで61分台を出すなど、まさに復路のエースとして臨んだ9区でしたが…

ほぼ同時に襷リレーをした國學院上原に早々にリードをつけられ、終盤も後ろを走る城西桜井の区間賞の走りや中央吉中の好走もあり、結果的には3位争いが絶望的になり、後ろとの差も詰められ7位争いに巻き込まれる位置での襷リレーとなる厳しい結果となりました。

この一年は凌くんを中心に箱根駅伝で総合優勝を目指すために率先してチームを引っ張ってくれたおかげでここまでこれたと思うので、本人は納得のいかない結果だったと思いますが、昨年を上回るタイムで走破してくれたのはせめてもの意地だったと思います。

10区小池 1:11:01(トップとの差+12分16秒、チーム順位7位、個人区間13位)

アンカーを任されたのは夏以降に怪我で苦しんだ小池くん。今年の前期の活躍からはエースとしての働きを期待されていましたが、夏合宿途中に怪我をしてから復帰までに時間を要し、箱根直前の甲佐10マイルでも本来の調子とは程遠い49分台と、明らかに不安を抱える状態での走りだったと思います。

本来の小池くんのスタイルなら前を走る國學院、早稲田の3位争いに加わるべく突っ込んでいたと思いますが、自身の状態も万全ではない中でチームのシード確保を最優先に順位をキープすべく走ったのかなという印象です。

最終的には後ろを走っていた中央、城西に抜かれて最終順位は7位になってしまいましたが、チームの最低目標であるシード確保を達成してくれたのは良かったです。

今回の走りは本人も全く納得がいっていないと思うので、来年度は万全な状態に戻した上で三大駅伝での活躍を期待しています。序盤から突っ込んで攻める姿勢は響くんを彷彿させるので、本人も口にしていたように、響くんのように頼られる存在に成長してほしいですね。

来年度の展望

三大駅伝で好走してくれた響くん、凌くん、小暮くんが抜ける穴は大きいと思います。

特に、響くんが担当した2区はいずれもチームを首位付近に押し上げる活躍を見せていたので、来年度はそれが期待できない中でどこまでチーム順位をキープできるのか。個人的にはいずれの駅伝も5位目標が現実的なところになると思っています。選手層に上積みがなければ全日本、箱根はシード落ちも十分ありえる、そんな厳しい展望を予想しています。

出雲だと今期の三強に加え、27分台トリオがいる中央、箱根2区で規格外の走りを見せたエティーリという大砲がいる東京国際、早稲田も新入生に都大路で大活躍だった八千代松蔭鈴木、佐久長聖佐々木が新たに加わり、トップ5の争いが今年度以上に熾烈になります。

全日本も青山学院、駒澤、國學院、早稲田、城西に加え、予選を通過するであろう中央、東京国際や、今年度シードを獲得した帝京、立教との争いが予想され、来年度は全日本のシード権確保のハードルは今年度より間違いなく上がると思います。

いずれの駅伝もこの中で5位というのは絶対に無理とは思わないですが、決して簡単に達成できる目標ではないと思うので、ここで5位以内に入れるようなら創価はNext Stageに行ったんだなと思います。

ハーフの持ちタイムを伸ばす

個人的には5000m13分台、10000m28分台の人数を増やすのと並行して現3年生以下からハーフ62分台の選手を増やす必要もあると感じています。

【ハーフ62分台】
黒木、蓮、大空、織橋、川上、小池、修那、浦川、山口

【ハーフ63分30秒切り】
竹田、池邊、川田、篠原、根上、有馬、榎木、西山、山瀬

上に挙げた選手達がハーフで62分台、63分30秒切りを期待している選手です。現4年生に比べ下級生はハーフに弱い印象があるので、ハーフの持ちタイム63分30秒切りの選手をどんどん増やしてほしいですね。

というのも、出雲の6枠、全日本の8枠に出走するには5000mだと13分50秒切り、10000mだと28分40秒切りが最低でも求められるレベルとなっており、全員が全員このタイムを超えるのは現実的ではないと感じます。

ハーフに長けた選手を最低でも2人は用意して復路の9、10区で区間上位の選手を用意することは箱根駅伝でシードを確保する上では重要になってくるのかなと感じます。

出雲、全日本の主力候補

今年度の駅伝に出走した石丸惇、黒木、大空、織橋、小池、川上、スティーブン、石丸修、ソロモン、山口が軸になると思います。ここに全日本の最長区間の8区を野沢が担うことが予想されるので、彼らの牙城(5000mなら13分50秒切り、10000mなら28分50秒切り)を崩すには、他のメンバーは相当ハイレベルな記録を春先から連発しないと、一度だけではエントリーに絡むのは厳しい争いが予想されます。

現在の主力候補である石丸惇、小池、山口は三大駅伝の主要区間で走ってもらわないと困る選手だと思うので、特にこの3人の成長には期待しています。来年度はチームの柱になってもらいたいですね。

来年度の三大駅伝エントリー(予想)

出雲
石丸惇→小池→スティーブン→大空→石丸修→山口

全日本
織橋→小池→石丸惇→石丸修→山口→大空→スティーブン→野沢

箱根
織橋→スティーブン→小池→野沢→山口
川上→大空→石丸修→石丸惇→黒木

今のところはこんな感じで予想していますが、最終学年のラストチャンスを狙っている蓮、竹田を筆頭に、池邊、篠原、山瀬の今期10000mで28分台に乗せたメンバーがどれだけ持ちタイムを上積みしてくるか、ハーフだと有馬、浦川、榎木、大岩、川田、根上が63分台前半まで持ちタイムを伸ばしてくるかでメンバー争いも激しくなってくると思います。

そこに、2年目の飛躍が期待されている西山が5000mで13分台、10000mで28分台に乗せることができるか、高校時代ロードの強さに定評のあった迫が練習を積んで持ちタイムを一気に伸ばせるかなど興味は尽きません。一筋は三年目あたりから10000m、ハーフに適応できれば最高で、現時点では出雲出走を目標に1500mのスピードを磨いて創価のスピードスターになってほしいですね。他にも中村、八田、野尻も同期が箱根を走って目の色を変えてタイムを伸ばしてくると更に面白くなりそうです。

新入生に関しては、ロードに定評のあるメンバーは夏合宿までに一度10000mを走ったり、函館ハーフや仙台ハーフなどを経験してほしいですね。5000mの13分台より、10000mで29分前半、ハーフで63分台で走れると全日本以降でエントリー入りのチャンスが出てくると思います。逆に言えば、出雲は現状の上級生の牙城を崩してエントリー入りするのは至難だと思います。新3年は10000mまでの距離の持ちタイムは抜群ですからね。

こう見ると10000mのタイムは順調に伸びているなと感じるのですが、逆に距離が伸びると信用できる選手が一気にいなくなる印象で、現状ハーフの距離を高いレベルで走れそうなのが野沢、石丸惇くらいしかいないのではという不安があります。ハーフの持ちタイムを1月後半からのハーフマラソン、学生ハーフで2本とも高いレベルで安定して走る選手が1人でも台頭してきてほしいなと願うばかりです。理想は新たに62分台ランナーが3人出てくると来年度が一気に楽しみになりますが、果たしてどうなるか。

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