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それだけじゃない

私達夫婦は結婚15年目。
長いようでまだまだ短い気もする。
夫は大学の友人だったので、知り合ってからだと20年以上の付き合いになる。

大好きで結婚したはずなのに、日常生活が長くなると、なんで結婚したんだろうと思う日もある。
とても嫌なところが目についてしまい、なかなか許せない日もある。


結婚二、三年目のとき、理由は忘れたが大きめの喧嘩になり、夫は私を殴れないから家の壁を殴り、壁に穴を開けたことがあった。

妊娠中、悪阻が酷く、匂い全般がダメになったので、料理するときは換気扇を「強」にして欲しいと何度も言ったのに、それを忘れて換気扇をつけずに料理することが何度もあった。

悪阻で寝込んでいるとき、釣りをしていた義父から、釣った魚を渡しに私達の家に行くという連絡が入り、断ってくれなかった。
義父を迎える準備も出来ないまま、家に上がられ、魚の臭いで吐きそうになった。

陣痛中、夫が自分の両親に早々と連絡をとったため、すぐに病院に来てしまい、生まれる前から病院で待機され、出産後、ボロボロの姿で義両親に会わないといけなくなった。

子どもが生まれてからは、子どものペースに合わせようとする配慮が乏しく、子どもが言うことを聞かないと怒鳴りつけた。
私がそれに対して文句を言うと、キレて家を出て行き、30分後ぐらいに帰宅、という行動パターンが何度か繰り返された。


私は時々、あの時は本当に嫌だったなぁと思い出す。
夫は私が根にもっているとは思っていないだろう。
そもそも私がそこまで嫌な気持ちだったことも分かっていなかったかもしれない。
夫は私のことを、ずっと夫のことが大好きで、喧嘩もするけれど、仲直りするとケロリと忘れてしまう妻と思っているように感じる。
けれど、残念ながら、本当の私は、そんなに可愛い妻ではない。
離婚までは考えたことはないが、少し距離をとりたいと思ったことは何回かある。

夫も私に対して、これまで色々と思うことはあっただろう。
メンヘラ気質で、かまってちゃんの部分がある私を面倒くさく感じることは多々あっただろう。
私は精神的に脆いので、よく過呼吸になったり、産後鬱や育児ノイローゼになった。
そんな私を支えるのも大変だったと思う。
もしかしたら、離婚を考えたことも一度や二度ではないかもしれない。



なぜまだ夫婦なんだろう。
なぜまだ夫婦でいてくれるのだろう。

夫の気持ちは分からないが、私の気持ちはいつも最終的には「それだけじゃないからなぁ」に行き着く。
結局、嫌なところだけじゃないから。
そうやって、のらりくらりと夫婦生活を続けられたらいいなぁと思っている。



今日、少し緊張しながら、夫に今まで離婚を考えたことがあるか、聞いてみた。
夫はプッと笑いながら、「突然、何を聞くかと思ったら。ないよ。」と言った。
ひねくれ者の私は、世間体を気にするあなただから離婚はしないよね、と思いながらも、ちょっと嬉しかった。

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