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Midweek escape

「安いから買う」はやめとけというものの

発端は3月半ば、ふとスプリングジャパンでセールが行われるというニュースが飛び込んできた。

4月は…仕事の関係で難しいか、じゃあ5月は…色々落ち着く頃合だしGW後なら色々空いていそう、よしこれなら行けるか!と気が付いたらGW明けの水曜日という最も滅入りそうなタイミングで札幌新千歳空港までの日帰り往復でラッキースプリングを予約していたのだった。北海道旅行は過去数回行っているものの日帰りは初だ、しかも現地でどうしようなど何も考えずにまぁ行ってみれば案が浮かぶでしょという雑極まる旅に出ることにしたのである。

目当ては特にないものの

さてそんな理由で有休取得も済ませて後は旅立つだけ、しかしこの段階でも北海道に行って何をするかは何も考えていなかった。まあ飛行機の時間を考えると朝食は出来れば飛行機に搭乗前の成田空港、時間を考えるにおそらくは第3ターミナルのフードコートでとなり夕食は夜遅い時間のフライトなので新千歳空港で最後の北海道グルメを満喫し、着陸後はさっさと帰って翌日のために寝たい…これくらいだった。一応何も候補がないわけではなく以下2つの候補か、あるいはそれ以外か位の考えはあった。
・函館本線北部の普通列車
・室蘭本線キハ143
結論から言えば1を採ったわけだがそもそもの発端は7年ほど前、今の会社への就職が決まった時に「これでしばらく長期間の旅行が出来なくなるかもしれないし、いっちょ派手な旅行をしたい」と6日間の旅行に出たことがあった。そこで4日目の朝に旭川から今はなき札沼線非電化区間に乗るため滝川まで721系普通列車に乗って、そこで線形の良い幹線をひたすら疾走するこの車両の良さに目覚めたのである。
ところがその後あまりご縁に恵まれず、改元のGWに北海道を旅した最終日にやはり旭川から岩見沢まで普通列車に乗ったものの滝川まではキハ40だった。これもこれで爽快ではあったものの、電車ならではの加速をもう一度楽しみたいというのは残ったままだった。
ひとまずメインターゲットは決まった、後は新千歳空港でどれくらいまでならスポッティング出来るかなどと要らんことばかり考えつつ当日を迎えたのである。

世間様は平日

そうして迎えた当日、8:25発の飛行機なのでその1時間前くらいには着いていたい…そこから家を出る時間を逆算すると…6時前。成田スカイアクセス経由の場合早いと1時間ちょいで着いてしまうのだがいかんせん本数が少なく、成田湯川以東が単線なのでダイヤの都合上このようになってしまうタイミングもある。今後の改良計画でも言及されているが全線複線化や20分毎の運転が欲しいところではある、まあそれを言えるほど個人では乗るかというと…ではあるが。

すっかり馴染んだアクセス特急3100形

アクセス特急は早朝ながら座席が概ね埋まる程度の混雑、反対側の通勤ラッシュに比べれば大幅に気楽な旅立ちだ。ところが何故か印西牧の原駅通過時に「まもなく青砥」と自動放送がおかしなことを言い始めた。結局次の印旛日本医大駅発車時に回復したものの、何だったんだろう…
ところでこのアクセス特急が走る成田スカイアクセス線は国道464号線(北千葉道路)と並走する、しかし信号待ちの渋滞が長くせっかく高規格なのにさっき抜いた電車に抜き返される始末。電車はというと成田湯川での交換待ちと追い抜きがあったもののそれを過ぎれば快調…しかし空港第2ビル駅間近で「駅ホーム混雑のため」少々の遅れとなった。

空港第2ビル駅名物 東成田駅への通路

朝の空活

ということで朝食を済ませ早々と搭乗口に、6機というコンパクトなフリートながら3種類の塗装があるのでどの塗装に当たるかが楽しみなスプリングジャパンだが、今回は二代目?の大きく"SPRING"とだけ書かれたJA01GRである。元々の就航時には最大派閥の初代"SPRING AIRLINES JAPAN"カラーだったが一昨年に変更された。最新の"SPRING JAPAN"カラーに今後変わっていくはずで、今後も興味深い。

過渡期の塗装になりそうな二代目SPRINGカラー

機内はおおよそ6割強程度の搭乗率か、自分が指定されたのは通路側で中央席が空いていたという状況。着陸時に若干揺れたものの全体としては快適なフライトとなった。

🛫DEP:NRT/RJAA
RWY34L
🛬ARR:CTS/RJCC
RWY01R
SJO IJ833
Planned:0825-1010
Actual:0843-1000
Spring Japan
🛩Boeing737-81D
JA01GR 39429 /4413
SPRING JAPAN livery

新千歳空港は平成最後の日以来の訪問である。当時はJALの国内幹線向け大型機はボーイング777-200で元JAS機やJA8xxx番台が羽田との間を行き交っていたり当時既に消滅が決定していたバニラエアが残っていた時代である。たった4年間で大きく変わったところであろう。

エアドゥのB767 JA613A
同じくエアドゥのB737 JA12AN
道内および東北方面便に使われるANAボンバルディア
JA816AとJA12AN、そしてJA745A
良い感じに並んだエアドゥと鬼滅の刃ジェット
どっこい現役の777-200 JA714A

20年以上ぶり…!?

色々撮って気分も盛り上がったところで本題の乗り鉄に向かうこととしよう、地下に向かい快速エアポートに乗り込む。分岐駅通過列車の特例により改札を出なければ札幌駅まで乗れるのだから気楽なものだ。

みんな大好きでっかいどう看板

4年前、前回は苫小牧方面から空港入りして千歳市宿泊だった(翌日札幌に向かったのも普通列車)ので札幌への出入りに快速エアポートを使うのは実に20年以上前以来、781系の「ライラック・エアポート」で相当な混雑だったことを今もおぼろげながら覚えている。そんないかにも大量輸送に向かなさそうな先代に対して当代快速エアポートの看板を掲げるは3ドアロングシートにuシートを携えた高性能通勤電車、何もかもが自分の知っていた快速エアポートとは別物だった。

733系3000番台(札沼線運用)
この色のキハ261もすっかり馴染んだ

北の都を目指し

ノープランにも程があり札幌駅に着いてから改札内の指定席券売機で慌ただしく特急券を買って乗り込むはライラック号、すっかりこの区間の電車特急として定着したと思いつつ函館本線を北上していく。ちょうどTOMIXの新製品でセイコーマートが出るなんて報に触れつつセイコーマートが車外に見えたり。ちょうど時間も時間だったので札幌駅で求めたたこめしおにぎりとJR北海道お馴染みの緑茶「うら」に手を伸ばす。しばらく持ってきた本を読み進めながら北の大地を乏しい知識で理解しようとしているとにわかにトンネルが増えていく。終着旭川を告げる鉄道唱歌のオルゴールも流れてきた。

接続のサロベツ号 最果てに向かう
実は初見のH100

旭川では初の対面になる"DECMO"H100型電気式気動車、旭川ー名寄だとこの車両の投入でスピードアップが成ったとのことでもありこちらも是非乗ってみたい車両だ。

特急が続く函館本線

旭川駅の発車標は函館本線とそれ以外に分かれているのだが、3方向にちょうど普通が出ていくタイミングであるにしても最も重要な幹線であるはずの函館本線に普通の姿がほぼ無いことに驚かされる。2時間以上普通が出ないことに特急列車に集中している需要を感じざるを得ない。

本命、北の普通電車

最寄のセイコーマートにホットシェフは無かったので滝川までお預け、今来た道を早速折り返す。特急であっという間に来た行きと違い、帰りはほとんどの駅を拾っていく鈍行旅だ。と言っても鈍行というには俊敏な721系がお供になる。

721系基本番台の真骨頂?

ここの普通電車を求めた理由は以前乗ったときに雄大な石狩平野を疾走する快速ぶりに惚れ込んだというのは勿論あるものの、もう一つこれが楽しめる期間はきっとあまり長くないという予感もあるためだ。JR北海道期待の最新鋭車両「737系」だが2両編成ワンマンの電車で今後室蘭本線以外に増えるとしたら?その際の最有力候補こそがこの区間だろう。転換クロスシートに身を委ねてこの区間を駆け抜ける普通電車を楽しみたいなら早いうちに手を付けておいたほうが良いのではないだろうか。

石狩平野を駆ける
JR北海道の普通電車はここから始まった

滝川ー旭川は神居古潭を抜ける納内ー近文の約19kmを抜きにしても各駅間概ね7kmはあり駅を出るとひたすら真っ直ぐ伸びる線路を伸びやかに加速して石狩平野を疾走する普通列車とはにわかに信じがたいような走りを楽しめる。乗車した列車で旭川から滝川の約53kmを41分だから表定速度はおおよそ78km/hといったところ、地元のスピードで鳴らすつくばエクスプレスの快速(全区間)と並ぶ速さだし何ならこれより遅い特急列車なんていくらでもある。特急は更に速いわけだが普通列車の走りも実に魅力的である。
普通列車の旅というとローカル線の気動車、それこそ先刻のH100や前任者のキハ40というイメージが強いが、実はこういった地方幹線の電車というのが味わい深いと思うのは筆者だけだろうか。JR時代の俊足を売りにしてデビューした電車でその走りを満喫する旅というのもなかなかオツなものである。そして列車は終着滝川駅に到着、かつて帯広や釧路に向かった分岐点だ。

流石にその時間では無理

最短の乗継パターンでは岩見沢行きまでの20分待ちだが…この時間でセコマに行って帰ってくるのは厳しい。やってみようとしたものの途中で無理を悟って1時間後の普通を待つことにした。岩見沢ー滝川であれば普通列車は概ね毎時1本あり、待つのもそう無茶な選択肢ではない。
…というわけでセコマに行きホットシェフコーナーに飛び込む、「北海道グルメ」と聞いて五指にこれが入るような人はきっと少なくないはず。丼ものが注目されがちだがホットシェフはおにぎりもなかなかに魅力的、それに名物のガラナを添えればこれぞ北海道旅行という顔ぶれが出揃う(個人の感想です)。

揃った揃った

新発売というフレーズに惹かれたデミカツ丼は卵がいいアクセント、濃厚なソースの味にも満足できる一品だ。塩さばおにぎりもボリュームが十分、そしてこれらを温かいまま頂けるのも大きい。
食後は再び駅構内に入りたまたま居た根室本線のキハ40を撮影。釧路の車両とのことだが富良野ー新得が正式に廃止になってしまうことが確定した今となると今後が気になる配置だ。旭川辺りになるのか、あるいはさて…?

キハ40 1749
反対側から
特急カムイ号 トップナンバー
長距離列車が出入りするホームらしい案内

ここから岩見沢までも引き続き721系、転換クロスシートの3両編成だ。滝川駅出発時にはガラガラで一区画数人といったところだったがこれは最後までは続かない、途中の美唄でかなりの人数の高校生が乗り込みほとんどの席が埋まる。なるほどこの時間だと下校時間かと納得して岩見沢までほぼそのままの混雑で向かう。結局岩見沢で札幌方面に向かう731系と733系の普通に乗り換えたのは半分程度、そこからは6両編成で再度車内にも余裕ができる。

滝川で発車を待つ721系、この後下校列車に

帰りは白石で千歳線の普通に乗り換えて千歳まで行く、何が来るかと思えば改めての721系。快速エアポートはロングシートが求められるほどの混雑になるが、普通は転換クロスシートでゆったりと乗ることができた。北広島駅で快速エアポートを待ったのだが、時間があるのでそのまま普通を終点の千歳まで乗り通す。

ふと50系を想わせる
しばし憩う
あっという間に夕暮れ

日常へ戻る

快速エアポート、行きとは違う車両はすっかり旧知の仲のようになった721系。数分で新千歳空港に着き展望デッキに出る。

羽田への折返し中 JA02XJ

早速視界に入るはJALのA350-900の中でも「革新のシルバー」ロゴがポイントのJA02XJ。この機体は現在16機いる同機種の中でも思い出深い存在で一昨年末に福岡に行った際に羽田から搭乗した初のA350だった。その後も何度か出会う機会があったり、ふと飛行機の音に気付いてFlightrader24を開くとこの機体だったということも度々ある。

JA15VA

続いてはJA15VA、元バニラエアのピーチ機である。外から見る分にはレジ番を見ておおっとなる程度ではあるが、何か少し違った番号を見るとなんだか得をした気分になる。

JA337J

続いてはJALのオーソドックスな737-800、JA337J。JAL就航空港になるべく多く訪問したいなどと考えて旅行のルートを組んだりするのでどうしても亜幹線はローカル線の利用が多くなる…そうなると必然的にお世話になることが多い機体だ。気が付いたら家の車よりもずっと乗る機会が多いかもしれない(自家用車より飛行機の方が身近って…)。

JA751A

夕方のスポッティングの最後を飾るは現在の国内線機材で最大のボーイング777-300、JA751Aが来てくれた。やはり70m級の機体は往時のジャンボジェットほどではないかも知れないが迫力が凄まじい。

晩餐は海鮮で

慌ただしく搭乗手続きを終えて一気に保安検査を通過、時間が時間なのでサクッと食べられる夕食を求めて売店に向かい、寿司とザンギのサンドイッチをいただく。気が付いたら北海道のグルメを結構堪能できたななどと自画自賛しているともう搭乗の時間。後ろ髪を引かれる思いで搭乗するはJA04GR。

成田でも沖止めだったので全景を撮れず…残念!

🛫DEP:CTS/RJCC
RWY01L
🛬ARR:NRT/RJAA
RWY34R
SJO IJ840
Planned:1955-2135
Actual:1953-2112
Spring Japan
🛩Boeing737-8AL
JA04GR 61776 /6223
SPRING AIRLINES JAPAN livery

初のスプリングジャパン夜間での搭乗および成田空港第3ターミナルへの到着となった。しかし自分が乗った席は3席埋まっていたのに別の席は誰も居ないと謎の席の割り振り…どういうロジックなのだろう。JALグループは夜間のフライトに際し離着陸時は暗くしている、どれくらいだろうと思ったら最低限の明かりを残して本当に真っ暗になったのは驚いた。

降機時の機首

着陸後はバスで到着ロビーに、バスの中からフィンエアーのA350やエミレーツのA380が見られた…アクセス特急まで時間あるのだから撮りたいななどと思いつつもバスは到着ロビーへ、さあここからは日常に戻るまでだ。

空港第2ビル駅からアクセス特急…なのだが京成本線の快速が直前に入ってくる。車両は3052F、元々アクセス特急運行開始時に新造されて3100形デビューまで使用された車両だ。空港第2ビル駅名物の「乗ってはいけない」箇所でドアを開けるさまはなんとも言えないシュールな哀愁が漂っていた。

元々こっちだったのに

その後やってきたアクセス特急は今をときめく3100形、なんだか見覚えがあるなと思ったらなんとびっくり行きに乗った編成。意図したものではないとはいえ、日帰り弾丸旅行の奇妙な因縁を感じたラストとなった。

お互いどんな一日だった?

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