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チェンソーマン第二部 アサについて予想する(1/2) コケピー事件について -戦争の悪魔から見たアサの魅力は自己顕示欲?

コケピー事件とは

クラスになじめない孤独な少女三鷹アサのクラスに鶏の悪魔のコケピーが飼育されることになった。3ヶ月後、先生が最初の宣言通りにデビルハンター志望の子がコケピーを殺す事になっていたが、当日に委員長が拒否する旨を全員で話し合って決めたと先生に言う。その言葉を待っていた先生は、これからも友達としてコケピーと暮らす事を認め、授業をやめてサッカーをコケピーと皆でしようと誘う。サッカーの最中、コケピーや皆がアサを歓迎しようとした矢先、コケピーを抱えたままアサが転倒し、その弾みでコケピーを潰して殺してしまう。

寮長の猫殺しとアサのコケピー殺しの類似性

寮長が誰も気づかないようにクラムボンを殺そうとしたが、川に沈んだクラムボンを他の孤児の子たちが見つけた。猫殺しが皆にバレたことを寮長は悔いただろう。

また、故意ではないにしろアサが鶏の悪魔のコケピーに自分で手をかけた。コケピーを胸で圧死させた直後のアサの顔の描写が周囲の反応を見ているようだった。その時のアサの気持ちが寮長と同じだったのでは?つまり、アサも寮長も自分が殺意を覚えている存在を殺した時、殺した事に悔いはないが、それを関係者に見られた事に悔いていた。

アサのコケピーヘの殺意は否定できない

「コケピー早く死んでくれないかな」と言っていたアサがコケピーに殺意を覚えていた。3ヶ月経って田中先生がコケピーを今から殺してもらう、と言った時も、"やっとか " とアサはコケピーが殺されるのを楽しみにしていた。

寮長もアサも殺意の根本原因が周りの家族的存在への嫉妬?

寮長がアサの愛猫を殺した理由。それはアサだけが家族がいる事への嫉妬。寮長が腹の底では "ここの皆家族がいない " 、つまり実の親や家族を悪魔に殺された云々ではなく、施設で身寄りのない者同士を家族とは寮長が思っていない。だからこそ、アサだけが相思相愛の愛猫を持つ事に嫉妬し、愛猫を殺した。

アサのコケピー殺しも寮長の猫殺しと同じ構造だと感じる。故意ではないにしても。

アサがコケピーを殺した理由。それは学校の人々が友達がいる事への嫉妬。クラスの中でアサは自分だけが友達がいない事から、周囲のクラスメートは皆友達と普通に仲良くしている事に嫉妬していた。コケピーも悪魔なのに皆にとけ込んでいる。そのコケピーにも嫉妬していた。

また、横に並んで歩く男子生徒、トイレに群がる女子生徒、階段でいちゃつく男女への羨望が描かれている。この事から、嫉妬を駆り立てるものへの殺意が二人に共通している。


過去に虐待された親は子に虐待する可能性が高い

アサが寮長から受けたのは心理的な虐待でもある。相手が孤児で母親代わりの存在である寮長なので、親子の虐待と似たケース。だから虐待と同じようにアサは自分が受けた仕打ちを同じ様なケースで繰り返したのではないか。親から虐待を受けた子が親と成った時に子に虐待してしまうという話は有名。正義の悪魔に転ばされた事で、間接的に、アサはコケピーを友人として接しているクラスメートに対して、アサが家族だったクラムボンにされた仕打ちを繰り返したのではないか?他者の大切な家族や存在を奪うという事だ。

戦争の悪魔がアサの体を選んだのもあながち間違いではなかった?

やや極端な言い方をすれば、アサが自分が周りの恵まれた人間に抱く嫉妬心や自己顕示欲を満たすためなら、人間であろうと殺せる…戦争の悪魔の視点から見るとアサが意外とハマり役なのでは?

やっぱメンタル弱い人間が悪魔に騙されちゃうんだよ

チェンソーマン コミックス 13巻より

自分や仲間を殺そうとする者を殺す事が戦争

戦争の悪魔だからやはり戦争の本質を捉えているのだろうか。戦争は「自国の民の命を脅かしたり、自分たちを侵略して殺そうとする者であれば殺せ」というルールが合法化されたようなものだ、という事がよく言われる。

そういう意味で、アサが自分の自己顕示欲を満たすためならば人を殺せる、という性質は力になる。アサが自分を厳しい現実から守る為なら相手を殺す。恵まれた人間関係に対する嫉妬の渦中にアサがいるよりも、アサがその嫉妬の要因となる存在を殺す。


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