何社かの転職で落ち着く30歳前後

毎日何回もテレビで流される転職サイトの広告、スマートフォンでお気楽に登録し、お気楽に紹介されるような雰囲気で伝えられる。
転職支援会社に履歴書を作成して訪れ面談、あるいは新聞や転職情報誌の社員広告を見ながら、探した昭和の時代とはは大違いだ。

かつては「中途採用」という扱いで、伝統的な企業では生え抜きの「新卒採用者」とは、明らかに出世に差があった。そのあたり、さすがになくなってきているようだ。
ただ、依然として「中途採用」という言葉は健在なのは、ご愛敬か。
 
何かやりたい、それがわからない
入社3年以内の退職は7・5・3、中卒は7割、高卒が5割、そして大卒は3割と言われ半世紀、定着率をどう上げるかかが、企業にとってある意味で生命線だった。そのため、面接の仕方を変えたり、事前の適性と思いのミスマッチを避けようとしたり、お互いに涙ぐましいい努力をしてきた。
 
実際に会社に入って仕事をやってみないと、本当のところはわからないのは事実。「何かやりたい、何ができそうか」悩み続け、挑戦できるうちに挑戦したい、と20歳代で思うのは自然だと思う。
今の日本の会社、長くいてもメリットがないとは言わないまでも、かつての年功序列賃金や終身雇用なんか、とっくに崩壊している。
新入社員が定年退職の近い社員の元気の無さに接したら、「ここにいても」と思って当然。 
 
「天職に巡り会うかもしれない」症候群
転職支援会社は、転職という市場を常に活性化させるため、ある意味で商品である転職希望者を増やすために刺激を与え続けている。
「それは適職ですか。それは天職ですか」、こんな質問をメディアを通じて投げ続けてくる。日頃の仕事に疑問や不安を持っていたら、転職サイトに登録するのは当然の成り行き。
「天職に巡り会うかもしれない」症候群とは言い過ぎだろうか。
 
「天職は結果的に一番長く続いだ職業」というのが、長年の経験と観察から生まれた結論である。傍から見て適職と思っても、本人はそうでないことが案外多い。 
 
何社か経験して、30歳前後で落ち着く
いろいろな人にお会いし、これまでの転職や職業的漂流を聞いてきた。20歳代は何社か漂流し30歳ぐらいで落ち着くことが多く、お互いに努力してもこの流れは変えられないと思う。
 20歳代で転職していないのは、一部の大企業と公務員に限られるのではないか。日本企業の雇用の特徴である終身雇用、年功序列は、一部の企業に限られていた・いるというのが、真実であるように、「ずっと同じ会社」というのが、世の中では普通でないのかもしれない。
                        その29:2023/07/13

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