決め手は目立たぬようにスーパーのレジ袋を使うこと

 これ見よがしにブランドが直ぐにわかる紙袋を下げて歩く、ブランドロゴが目立つ紙袋を後生大事に押し入れに保管していた時代があった。

しかし消費の低迷とインターネット通販が一般的になったせいか、まち中ではあまり見かけない風景になった。

家族と隣近所の目を気にする

 おしゃれをしたい、おしゃれな服を着るのが何はともあれ大好きな女性は多い。その中で家庭をもっている女性は買い物にそれなりの苦労があるらしい。

 目立つブランドの紙袋を頻繁に下げて自宅に帰るわけにはいかない。見ていないようでしっかり見ている隣近所の女性や家族、とりわけ娘の厳しい目、「お母さんばかり」を避けなくてはならない。 

そのためには涙苦しい努力が必要である。 

 車の場合、とりあえずトランクに保管し家族のいない夜陰に乗じてクローゼットに運び込む。なんだかコソ泥みたいだが、それぐらいの努力は致し方ない。

 さらに知恵を使う。

薄着にコートを引っ掛けお店に出かけ買い物と同時に身に着け、いつもの着慣れたコートで帰宅する、というのもありらしい。 

 新型コロナウイルス感染症によって、隣近所のマスク着用同調圧力のすさまじさに接した今、隣近所や家族の目を気にする気持ちがますます理解できるように。 

小京都のブティックでのこと

 西日本の小京都。

城址があり古い町並みが残りなんとなく落ち着いているので、たぶん、小京都と言われているんだろうと思っているまち。

そのまちで数年間仕事をしたことがある。 

 古い味わいのある商店街にあるちょっとおしゃれなブティック。結構しゃれた品ぞろえだが、ちょっと見にはお客さんはいない。しかし、二代目経営者は悠然とお店をやっているのでちゃんと固定客がいるに違いない。(当たり前だが、商店街のお店でお客さんを見かけることは滅多にないのがふつうである) 

 お店にお伺いしてお話をお聞きすると、やはり贔屓にしてくれるお客さんはそれなりにいて、季節ごとにお客さんを想定しながら品ぞろえを行い電話やダイレクトメールを送る。

リアル買い物や季節の変化を楽しみに律儀に訪れる、そんなお客さんがいっぱい。 

おしゃれな人はお店でセンスのよい店主と品定めをしながら購入するのが好きなのと、お客さんの年齢が比較的高いのでインターネット販売には慣れていないらしい。 

包装はスーパーのレジ袋が一番

お店の経営者とお話をしながら、品ぞろえやお客さんへのマーケティング活動についていろいろなお話をした。 

なんといっても頼もしいこと。
経営者自身がおしゃれでファッションに関心が高く、世間一般と地域の好みやトレンドを現実的につかんでいることだ。

別の会合でお会いした想定されるお客さんの一人と思しき女性と話をしてみても、そのことはしっかり裏づけられた。 

先端的でもなく流行遅れでもなく長く着ることができる、比較落ち着いた良質のファッションをひとり一人のお客さんを思い描きながら仕入れているわけだ。

想定されるお客さんと関連づけながら品ぞろえするというお話をお伺いし、お店の中を見回すと、地元スーパーの紙袋やレジ袋がお店の片隅にきちんと整理されていた。 

「何に使うのですか」と率直に聞いた。 

 「地域の女性たちは目立ちたくないので、地元スーパーの包装が一番歓迎されるのです」というのが、当然と言わんばかりの経営者の答えだった。 

中身がわからない一般的な包装って結構大事な場面が、思いの外多いと思う。
一昔前に女性用の下着で一世を風靡した通信販売会社があったが、箱が目立ちすぎた。その箱の宅配を見られるのはちょっと嫌なもの。

その意味で外見からは何が入っているかわからない、目立たない均一の箱で配達される、インターネット販売は工夫されているようだ。  

                         その4:2022/09/18

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