「法人がお金を預かる意味」~vol.2 本人の思い、支援者の意識
皆さん、こんにちは。東京都育成会権利擁護支援センターです。
いつもご覧いただいている方も、新しく発見してくださった方も、ありがとうございます😊✨
さて、前回は「法人がお金を預かる意味」を大きなテーマに、センターで取り組んできた連続勉強会のはじまりについて書きました。
今回も「法人がお金を預かる意味」シリーズの2回目として、連続勉強会を通して見えてきた課題、そして私たち支援者が大切にしたいことをお届けしたいと思います。
前回の投稿記事はこちら。
連続勉強会から調査への導き
たいせつなこと
連続勉強会を通して、現場からは「本当は預かりたくない」、「本人のお金を減らしてはいけない」等、消極的な声が聞こえ、支援者の日々の緊張感がヒシヒシと伝わってきました😣
本人のお金を保全することに意識が向き、本人も支援者も「本人のお金について考える機会が狭くなっている」という指摘は、支援者としてとてもグサッと刺さるものでした😱💦
そして、連続勉強会の中間報告で指摘されたことの中で、「当事者の声、意見を聞いているのか」という指摘。
この指摘をきっかけに、本人向け調査をはじめ、支援者、管理者向け調査を実施することになりました。
本人の「声」、「意見」、「意思」、「気持ち」、「見ているもの」、「見えている景色」、「感じていること」、「考えていること」。私たち支援者の仕事は、まずそれらを知ることからはじまります。そしてそれはずっと考えては悩み、見続けていくこと。
本人はどう思っているのだろうか。忘れてはならない支援の根幹です。
本人の声~見えてきた課題
本人向け調査では、本人は「事業所がお金を預かっている」ということは理解している一方で、「何のために自分のお金を事業所が預かっているのか」というお金を預かる目的については把握していない(理解できていない)ケースが多くみられました。
これは、金銭を預かる際に本人への説明が不足していること、本人と支援者の間に預り金について、定期的に振り返る機会がそもそもない、またそのような機会があっても本人が理解できるような説明がなされていない可能性がありました。
また、法人にお金を預けている人の中には、「自分でやりくりしたい」と考えている人もおり、同時に「(お金のやりくりを)支援者に手伝ってほしい、一緒にやってほしい」という本人の声もありました。
金銭を預かる根拠とは
「自分でやりくりをしたい」と考えている人がいる、と同時に「(お金のやりくりを)一緒にやってほしい」という本人の声にどのように応えることができるのか。この課題は、まず預かる根拠は一体何なのか、まさに本人の声にも上がっていた「何のために事業所が預かっているのか」につながります。
国や行政から、預り金に対する管理体制の指導・通知などはあるものの、生活支援と預り金の関係、本人のお金のやりくりを支援するということについては、具体的な方向性を示すものはありません。このため、「本人のよりよい人生を実現するため」の預かりではなく、預かる人がいないため、致し方なく預かるという消極的な預かりになっているという現状があるのだと思います。
しかし、「何のために」預かるの?という本人の声にもし回答するならば、「あなたの人生を一緒に考えて、あなたの思いや希望を実現するため」に預かっている。ということなのではないでしょうか。
つまり、金銭の預かりは日々の生活支援の一環である、ということ。
本人へ丁寧な説明を行うこと、そして本人の意思を尊重しながら、その意思に基づいた支援として、本人と一緒に本人のお金のやりくりを行っていく。
これは、これまでも現場の支援者が本人一人ひとりに向き合い、緊張感を持ちながらも行ってきたことです。
支援者は今一度「生活支援の一環として、金銭を預かる」という意識を持ち、消極的な預かりから脱却していくことが必要なのです。
支援現場での展開にむけて
自分の思いを表出することが難しい方もいる中で、本人の「意思」の確認方法や本当に「本人のために金銭が使われる」という預かりになっているのか、またそれをどのように客観的に判断することができるのかという課題は、今後の法人としての取り組みの中で追及していかなければなりません。
🤷♂️今月のへぇ・へぇ・ほぅ🤷♀️
・東京家政学院大学(現代生活学部 現代家政学科)小野由美子教授を訪問
センターでは、連続勉強会からはじまり、現在、支援現場での預り金支援の展開について、検討、議論を重ねているところですが、特に最近ではキャッシュレス決済の普及に伴い、知的障害のある人の利用の実態など、本人の消費活動の実態にも注目をしています。
先日、知的障害のある人の消費者教育などを研究されている東京家政学院大学の小野先生のもとを訪ねました。
お金は人生において必要な大切なものだけど、学校では教えてもらえないのはなぜか、と不思議😑に思っていた今日この頃ですが、現在は、特別支援学校などでも様々なプログラムがあり、本人の日常に密着した「消費者教育」が展開されているそうです。
小野先生が研究されている「消費者教育」という分野は、私たちの支援にもリンクする部分がありました。また、キャッシュレス決済については、課題はあるものの、本人が利用することのメリットについても考えるきっかけをいただきました🌱✨
📝次回は、特別編として、上記☝訪問の様子、小野先生にお話しいただいた内容をご紹介したいと思います。
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