【権利】同意のない治療
普段、医療を提供する側にいる。
しかし、今年の春、父の体調が悪化したのを機に医療を受ける側、患者の家族としてたくさんの医療従事者の方たちのお世話になってきた。
そこには、こんなネットワークで助けていただけるんだ!!
と赤の他人の私達家族に全力でサーポートしてくださる方もいれば
心無い言葉に傷ついたこともあった。
父は18年ほど難治性の持病を持って生活をしていた。
といっても、【闘病生活】という言葉とはかけ離れた通常の生活が送れる程度の病気だった。
家族ですら、忘れて生活をしていた。
それが、急激に悪化したのが今年の春。。
『トイレに行くのもしんどい・・・』という父の言葉に何か良からぬことが父の身体の中で起きていると感じかかりつけ医を受診した。
診察後、即入院の診断を受けた。
その日を境に、私達家族は父の【闘病生活】を支え、父を【看取る準備】が始まった。
最初の違和感は、入院1ケ月後の父の『帰りたい』と言う言葉からだった。
話を聞くと10年以上担当してくださっていた主治医の先生が3月で移動になり今回の入院から主治医が変わり、その先生と上手くコミュニケーションがとれないという訴えだった。
そうは言っても父の容態からでは『退院しよう!』なんて素人判断はできず、ずるずると時間が経過してしまった。
その迷っている2週間程で、父は顔つきが変わり鬱っぽさがみられるようになってきた。
いたたまれず退院を希望すると主治医の先生から
『今後救急車を呼んでうちにくるなんてことしないでくださいね。救急で来てもみれませんよ!!延命治療は無しということでいいですね?』と目が虚ろな父に約束を迫った。
私達家族は初めてそこで父の入院生活の1コマを見たような父の退院願望の理由が腑に落ちた。
見かねた私は、今後父の病気が悪化してもそんな説明なかったなどのクレームを入れないこと、看取りの覚悟があることを伝え退院した。
父が、今回の入院期間で自宅での生活が困難なほど筋力が落ちていることも知らずに・・・・
帰宅後は怒涛の毎日。。。
ケアマネージャーさんを筆頭に父が自宅で最低限のサポートを受けることができるよう手配をしていただいた。
その迅速な対応、きめ細かな配慮に今でも感謝しかない。
退院して心から良かったと家族一同安堵し、看取りの介護が始まることに腹をくくることができた。
そこから4ケ月。父の状態は下降をたどる一方ではあったけれど、父の最後の日を少しでも人間らくし生活できるようサポートを続けてきた。
しかし、3日前の往診から状況が一変した。
肺の音が少し悪い、血液検査の炎症数値が少し高い。と肺炎疑いの診断が出た。
以前入院していた病院への検査入院を勧めらた。
私たち家族は介護生活が振り出しに戻るようなことになるのを拒み、せめて違う病院にしてほしいとお願いしてみた。
しかし回答は、『無理です。そこしかありません。到着したら嫌だとか言わずあちらの指示に従ってください。カルテ上にすべて記載されますよ。受け入れてもらえなくなりますよ。』と言われた。
紹介状を置き、自分で救急車を呼んで行くよう指示をし、その日の往診は終了した。
崖っぷちの私たちは、言われるがまま救急車を呼び以前の病院へ向かった。
待っていたのは、前回と同じ医師だった。
検査結果・・・まさかのコロナ陽性。
『今回はコロナ肺炎の所見はみられません。細菌性の肺炎の可能性があります。抗生物質の点滴を開始します。コロナ肺炎の所見はみられないがコロナウイルスに効くお薬も点滴開始します。自費で10万円です。』とパソコン画面を見ながら淡々としたお話だった。
その後、1枚の紙を渡され目を通すと治療計画書だった。
そこには、説明になかった必要に応じてステロイド点滴を開始と記されていた。
以前の退院時に、本人含め家族が延命治療、積極的治療は希望しないこと、看取りの覚悟で退院をすることを伝えていた。
この4ケ月で父はより一層認知、食事、排せつが難しくなっていた。
その父にそのような点滴は必要ですか??と尋ねてみた。
応えは、『普通の治療です。一般的な治療です。』と言うことだった。
今の父に『普通』『一般的』をはめられても正直ピンとこない。
検査の為入院をしましょうと往診の先生から指示を受け、恥をすて救急車で訪れたけれど・・・希望していない方向へと進んでいるような・・・
とどめは、コロナなので面会一切禁止。
その夜、父から『迎えにきて』LINE(涙)
父は、いつまで私たちの顔を忘れずいてくれるのだろうか???
まな板の上の鯉となった私達家族のお話をしてみました。
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