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2度目の手術

大吾の2度目の手術日が決まった。
麻酔をするので電車では流石に行けないと思い車で病院に向かった。
片道約2時間、大吾と娘と3人で楽しくはないドライブだった。

手術は日帰りで行われた。手術室に送り出した後、私と娘は近所を散歩した。この病院以外周りに何にもない街を何の当てもなくただ歩いた。

娘が産まれる日は、手術を控えた私を残し、大吾たちは近所の美味しいハンバーグ屋さんでハンバーグを堪能していたみたいだが、嫌味ではないけれど、手術を受けている人がいるのに、とてもそんな気にはならなかった。

病院に戻りしばらくすると、手術が終わった大吾が戻ってきた。なんとなく顔色が悪いなと思っていたが、少し休めば大丈夫だろうと思って、娘と2人側で見守っていた。

夕方になり、医師の診察後帰宅の許可が出た。大丈夫かなと思ったが、案の定立ち上がると同時にフラフラと倒れてしまった。大きな男が倒れた為、看護師何人かで必死にベッドに寝かせて、医師の診察を待った。

医師からは夕方なので今日は入院して下さいと言われた。予想外の展開に、どうしようかと思ったが、それが最善だろうと判断し、娘と帰宅することになったが、その時は車の運転が不慣れだったのもあって、急遽電車で帰ることにした。散歩に続いて電車の旅に、娘は無邪気にはしゃいでいた。

精子は無事に採取出来て、前回よりは、状態も良かったようで安心した。
2度も手術をしてくれて感謝しなければいけないと思いつつ、心のどこかには、こうしないと授かれない虚しさも湧いた。

とはいえ、娘の為、そして親バカな私は、また可愛い我が子を抱く日を夢見て頑張るしかない。
今度は、私が頑張る番だなと思い、娘と2人1時間の電車の旅を楽しんだ。

翌日は、母に娘を預け大吾を迎えに行った。
まだ青白い顔をしていたが、とりあえず帰れることになった。
慣れない運転するのは緊張した、何より2人きりが気まずかった。何を話したかも忘れたけれど無事に家に着いた。

大吾は閉店の準備、私は、次の顕微授精の準備に入った。こんなに大変な手術をしたのに、後に大吾が顕微授精を頑張った私に投げかけたひどい言葉は、今でも忘れない。
それはまた後日伝えることにする。

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