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アナザースカイ

ハワイでの挙式は、高台にあるプール付きの別荘の庭で行った。海が見えてとても素敵な庭だった。

ケータリング業社が手慣れた様子で、庭に簡易の教会を作り、そこに牧師(本物かどうかは不明)が現れ式が始まった。
姪っ子が先頭で花びらを振り巻きながら、母と腕を組み私が牧師の横の彼のところまで行くといった入場。

ところが、姪っ子が几帳面で、花びらを一枚ずつ取っては投げを繰り返すためなかなか前に進めない。
「小声でいっぱい投げていいよ」と言って、やっと彼の待つ所まで辿り着いた。

母から彼にバトンタッチし、牧師の前まで進んだ。
牧師が、英語で挙式の始まりを話し出し、誓いの言葉らしきフレーズを言い出した。その後、急に片言の日本語になって、牧師の言葉を2人で復唱するようにと言われた。

牧師が片言の日本語で「あなたはいついかなる時も〜」誓いの言葉を読み上げ、復唱する時がきた。
大吾と私が一緒に復唱すると、大吾が真面目な顔をして片言の日本語を忠実に復唱しだした。

それがツボに入って、笑いが止まらなくなり、復唱どころではなくなってしまった。どうにか気持ちを落ち着かせ、指輪交換、誓いのキスを終え式は終わった。外人の牧師には気をつけた方がいい。

その後、庭で食事をして、ダンスパーティーをして式は終わった。自分で言うのも変だけど、まるで映画のワンシーンのようなパーティーだった。

その、おしゃれな結婚式を、老人のカメラマンにお願いした事以外は、成功だった。
老人は、お酒を飲んで赤ら顔でやってきた。
何枚も写真を撮ってはくれたが、どれも微妙に斜めだった。今なら、編集で斜めもすぐに直せるだろうが、今でも、斜めの結婚式の写真を見るたびに、あの老人の顔を思い出す。

その後、ハワイは私たち家族の定番の場所となった。
たった数年の幸せの日々と、不幸へと転がり続ける日々の象徴でもあるハワイは、私のアナザースカイだ。

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