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心象風景  景福宮蓮

おおらかに 咲き誇る 蓮の里の一角で
すんと 静かに 背筋を伸ばし
空を 見上げる 蓮の花

その佇まいは 可憐にして 高貴

白い手の 爪先だけを 
ほのかな 桃色に染め
そっと 虚空へと 差し出して

葉に 残る水滴は 昨夜の 雨
決して 涙などでは ないのに…

纏う 空気は
憂いを はらむ

恋しい 方が いるのでしょう?

ふと そんな言葉を かけたくなる

風が 流れて
花びらが 震える

会いたい……と

吐息のような ささやきが
7月の 風に さらわれ
消えてゆく

花の名は 景福宮蓮
美しい 皇宮の名を 戴く
蓮の花が 揺れている


(写真は埼玉県行田市 古代蓮の里にて撮影したものです。)

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