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読書記録『ふつうでない時をふつうに生きる』

マスク、まだまだ手放せない…



エッセイストの岸本葉子が綴る、コロナ禍における生活様式。
日々不便と感じること、老いのこと、コロナのこと。
混沌とした、コロナ流行が始まった当初の東京の様子が感じられる。

今となってはマスク生活が当たり前となってしまった。
外してもよいと思うのだが、なんだか癖で外せない。
それが「ふつう」になってしまった。

当たり前のこと、というのはすぐに変化してしまう。
今の常識は未来の非常識かもしれない、と思うここ数年であった。

私は介護施設で働いていたこともあり、流行から3年程、気軽に旅行に行くこと、イベントに参加することができなかった。
施設としての自粛要請は段々と緩まってはいたが、もし自分が感染をしてしまったら…という意識で適当な行動はできなかった。
幸いイベント等もオンライン化していることもあり、自宅にいながらの参加という新しい形を体験できたことは良かったと思う。
ただ、このコロナというものがいつ収束するか分からない、行動が制限される(気持ち的に)というのが結構なストレスがあったことは確かだった。

介護施設を利用しているのは、高齢者だ。
高齢者が体調を崩し、寝たきりに少しでもなろうものなら生活のレベルが一気に下がってしまう。
そうなると家族の介護負担も増加してしまう。
そう思うと、安易な行動はとれなかった。
今は仕事を辞めたので、そこまでのプレッシャーはなく過ごせている。

またコロナ感染者数が増えている様子である。
マスクは外れても、以前とは違う常識での生活様式が作られていくことであろう。

 東日本大震災の後、近所の花屋さんが言っていた。イベントの自粛で大きな花束の予約はキャンセルだらけだが、小さな花束は意外と売れている。通りがかりに一輪、一輪、買っていく人が絶えないと。
「こんなときこそ家の中を少しでも明るくしないとって、みなさん言われます」

岸本葉子『ふつうでない時をふつうに生きる』 こんなときこそ

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