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読書記録『スーツアクター探偵の事件簿』

汗、夢、怪獣!!



怪獣専門のスーツアクター志望の椛島雄一郎は、とある事故をきっかけに太田太一と出会い、二人三脚でスーツアクターの仕事に取り組むようになる。
怪獣映画の収録現場で起きる事件…ひょんなことから椛島は真相究明することを依頼され、撮影を滞りなく終了できるよう奮闘する…。

スーツアクターという職は全く馴染みがない。
そもそも、怪獣映画というのも全く馴染みがない。
それでもどんな分野においてもプロがいて、それを目指す人が必ずいること、それは狭き門であること、努力だけでは越えられないものもあること、それは知っている。
主人公の椛島は、怪獣専門のスーツアクターになりたい、という点で芽が出ずにいた。
きっと彼はスーツアクターの才能はあったが、怪獣の才能がなかったのだと思う。
そんな中出会った太田太一はスーツアクターに全く興味も熱意もない。
しかし、怪獣の才能があった。
努力し続けていた椛島は求められなかったが、成り行きで巻き込まれた太田は求められた。
そんなものだと思う。
自分がなりたいものと求められるもの、やりたいことと向いていることは違う。そんなことを突きつけられる一冊であった。
でも、夢を追い続けないと見られない世界もある。そうとも思う。


「あなたはまだピンとこないかもしれないけれど、家族を持つと、いろいろ変わるわ。良くも悪くもね。だから、今の自分がすべてだとは思わないで。自分一人ですべてを変えようとは、思わないで。人生って案外、長いのよ。だから、あきらめないで。ちょっとしたことで、人間なんて変わるものだから」

大倉崇裕『スーツアクター探偵の事件簿』 消えたスーツアクター

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