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【読書記録】青崎有吾『ノッキンオン・ロックドドア2』【解かないほうがいい謎なんてない】

しばらく前に1巻の方を読んでいて、久しぶりに2巻を読了しました。
ドラマの内容を思い出しながらの読書となりました。


ドラマ最終回のなんともいえない後味。
原作ではもう少しスッキリとしたものでした。
ドラマでは、主人公2人の関係性が何とも依存的で不安定な感じがしたのですが。
原作ではそれが薄味になっていて、ほっとしたところがあります。
ドラマでは4人の関係性が崩れたように感じましたが、原作では今後も変わらない関係でいてくれるような希望が持てました。

小説としては1巻同様非常に読みやすいです。
1話完結でミステリとして分かりやすい本になっています。

以下、印象に残った文章を引用します。

 さて、”犯罪者は現場に戻る”とよく言われるね。この古い言い回しは古いがゆえにある程度正しい。彼らは往々にして現場に戻ってきたがる。見物目的の愉快犯もいるが、多くはそうではない。君たちも旅行に出たあとで、家の鍵をちゃんとかけたか心配になったことがあるだろう。それと同じだ。彼らは心配になるんだ。自分の犯行に落ち度はなかったか。消し忘れた証拠はないか。それを確かめずにはいられないんだ――

p.71

「久しぶりに、みんなに会おうかと思うんです。それで、謎を解こうかと」
「いいことだね」
「そうでしょうか」
「解かないほうがいい謎なんてこの世には存在しない」
「どうしてです?」
「謎を解くということは、選択肢が増えるということだから」
「逆な気がするけどな。だって謎解きって、答えを一つに絞る作業でしょ」
「重要なのは答えの出し方ではなく、出した答えをどう扱うかだ」教授は淡々と話した。「たとえば、君が密室に閉じ込められたとする。ドアの鍵を見つければ、君は二つの選択肢を持てる。外に出るか、部屋に留まるか。鍵の使いどきは君の自由だ。だが鍵がなかったら?君の選択肢は部屋の中しかない」
「……ずっと部屋にいるつもりなら、鍵は必要ありませんよ」
「でも君は部屋を出たくなった。だからここに来た」

p.197

「これはただの私の経験則だが。信頼できる友人が突拍子もない行動を取ったとき、そこにはきっと――誰かへの優しさがある」

p.260


(引用は全て教授の言葉でした。とっても良いキャラです。)


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